この記事をまとめると
■GRヤリスに2026年モデル「26式」が登場
【試乗】劇的進化ではないが確実によくなっている! ステアリング形状まで変えた「26式GRヤリス」を公道で試した
■新ステアリングの採用とそれに合わせたEPSチューン、新銘柄タイヤの採用がトピック
■比較対象として2025年モデル「25式」を連れ出し試乗した
異例の頻度で行われる年次改良
GRヤリスは2026年モデルでさらにモータースポーツ色を強めた。もともとラリーやジムカーナ、サーキット走行を強く意識して開発されたモデルだったが、今回の改良では、その方向性がより鮮明になった印象だ。一方で、公道での日常的な使い勝手や快適性という視点から見ると、2025年モデルがもっていたバランスのよさも改めて見えてくる。
まず外観で目を引くのはエアロダイナミクス関連である。今回試乗した2026年モデルのボンネットにはエアアウトレットが、リヤフェンダー後方にはスポイラーが装着されているが、これらは従来から”Aero Performance Package”として装着されるものだ。
コクピットに乗り込むと、最初に気付くのがステアリングホイールの変更だ。2026年モデルではステアリングの直径が5mm小径化されている。この効果は想像以上に大きい。もともとGRヤリスはコンパクトなボディを武器とするクルマだが、小径ステアリングによって操作感がさらにシャープになり、ドライバーとの一体感が高まったと感じられる。
ステアリングスイッチのレイアウトも変更された。レーシングカーのステアリングホイールを思わせるスイッチの配置となり、一見すると競技車両のような雰囲気を醸し出している。ただし実際の機能は運転支援システムやレーダークルーズコントロール、オーディオ操作など一般的な内容である。見た目の演出は競技色が強くなったが、日常的な使い勝手を損なうものではない。
メーター表示も特徴的だ。ブースト計、水温、油温、油圧、Gメーターなどを表示できるほか、ドライブモードによって表示デザインが変化する。ECOおよびNORMALでは円形タコメーターを主体とし、SPORTでは回転計が横バー表示へ切り替わる。こうした演出はモータースポーツの遊び心を感じさせる部分だ。
ドライブモードはECO、NORMAL、SPORT、CUSTOMの4種類。さらに四輪駆動制御側にはNORMAL、GRAVEL、TRACKが用意されている。前者は主にスロットル特性、後者はGR-FOURの駆動力制御に関係していると考えられる。
2025年モデルではメーター内に前後駆動力配分の表示が確認でき、2026年モデルでも引き継がれた。この表示は四輪駆動の働きを視覚的に確認でき、従来モデルのから制御を知る表示機能として必要なものとされていた。
トランスミッションは6速MT。両モデルともiMTを装備している。iMTスイッチON時にはシフトダウン時には自動的に回転を合わせてくれるため、ヒール&トゥを使わなくてもスムースな変速が可能だ。さらに坂道発進時の後退防止機能も備わる。
実際に走らせると、2026年モデルはシフト操作がやや重く感じられた。新車状態ということもあるのか、軽快に連続シフトを繰り返すというよりは、ひとつひとつ丁寧に操作したくなる感触である。ただし横方向のストロークは短く、シフトゲートの位置関係は明確だ。
タイヤの変更が乗り味の大きな差を生んだ
走り出してもっとも大きな違いとして感じたのはタイヤである。2025年モデルはミシュラン・パイロットスポーツ4Sを装着していた。これは非常にバランスのよいタイヤだった。路面の細かな凹凸やハーシュネスを巧みに吸収しながら、接地感も十分伝えてくれる。公道で使用するスポーツカーとしては非常に扱いやすく、快適性も高かった。
それに対して2026年モデルはブリヂストン・ポテンザ レースを採用する。この変更によってキャラクターが大きく変わった。グリップ性能は明らかに向上しているはずだが、公道ではその恩恵を引き出す場面がほとんどない。そのかわりに感じるのはケーシング剛性の高さによる乗り心地の硬さである。荒れた舗装路ではガタガタ、コトコトとした入力が直接伝わり、突き上げも強い。快適性という観点では2025年モデルのほうが優れている。
ただし、この評価はあくまで一般道での話だ。GRヤリスのパフォーマンスパッケージは本質的にサーキットやジムカーナ、ラリーを視野に入れた仕様である。ポテンザ・レースはサーキット走行を強く意識したタイヤだ。日常使用を重視するならミシュラン装着車のほうが好ましいが、サーキット走行を前提にするなら今回の選択にも納得できる。
オプション設定の縦引きサイドブレーキも象徴的な装備である。ラリーカーを思わせるこのレバーは、電制カップリング制御との組み合わせによってサイドブレーキターンを可能にしている。
もっとも、一般的なサーキット走行ではサイドブレーキを使う場面はほとんどない。ジムカーナやラリーのタイトターンでは有効だが、タイムアタック主体のサーキット競技では車両の姿勢変化を利用して曲げていくことが多い。
それでも、この装備が与える特別感は大きく、GRヤリスというクルマの世界観を象徴するアイテムになっている。現在、コンパクトな四輪駆動スポーツカーは極めて希少な存在となった。かつてはランサーエボリューションやインプレッサWRX STIがあったが、その系譜はほぼ途絶えた。GRヤリスは現代に残された数少ない本格4WDスポーツであり、しかもコンパクトなボディサイズを維持している。
一方で、公道ではその性能を引き出せる場面が限られる。だからこそ、このクルマを購入するならサーキットやジムカーナコースを積極的に活用したい。GRヤリスの本当の魅力は、そうした場所で初めて見えてくるはずだ。
2026年モデルはステアリングの小径化や競技指向のタイヤ採用によって、よりモータースポーツ寄りの性格を強めた。快適性や扱いやすさでは2025年モデルに軍配が上がる部分もあるが、競技ベース車両としての完成度はさらに高まっている。
GRヤリスは万人向けのホットハッチではない。むしろ競技の世界へ踏み込むための入り口として存在するクルマだ。その意味では2026年モデルは、GRヤリス本来の立ち位置をより鮮明にした進化といえる。その本領はサーキットで試さない限り明らかにできない。
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みんなのコメント
ステアリングの外周近くまでボタンが配置されてるのよね
ステアリング持った時に親指の付け根側が触れて押しちゃいそうでストレスあった 走行支援系のボタンだけ残してあとは減らしてくれって思ってた
音楽のスイッチなんてハンドルにいらねえっての