99の進化版 従来以上に増した個性
1970年代末に登場したサーブ900が、99の進化版だった理由は、開発資金と期間が限られたため。フロント周りを約200mm、ホイールベースを約50mm伸ばし、安全性と乗員空間を確保。全長は4737mmあるが、全幅が1689mmと、比較的スリムだ。
【画像】生粋のスウェーデン車:サーブ900 ブランド末期の9-3と9-5 同時期のボルボも 全117枚
サスペンションは、前がウィッシュボーン式にコイルスプリングで、後ろはトレーリングアーム式。前輪駆動なことと、パナールロッドを採用することで、広い車内空間が生み出されていた。後席を倒せば、リアに大人が横になれたほど。
2025年の基準では、900が大きいとは感じない。スタイリングを手掛けたのは、同社のデザイナーだったビョーン・エンヴァル氏。最近では珍しい2ドアということもあって、900の個性は従来以上に強まっている。
サルーンでもコンバーチブルでも、サイドシルを覆うようにドアパネルが伸びている。うっかり足を近づけても、コートの裾が汚れることはない。ドアを閉めると、ガシンと噛み合う上質なノイズが響く。
特別感が薄い内装 考え抜かれたダッシュボード
今回ご登場願った3台の内、明るいメタリック・グリーンが2ドアのサルーンで1989年式の900 i。ダーク・グリーンが1983年式のターボ・カブリオレで、ワインレッドが1984年式のリフトバック、T16となる。
900 T16と900 iの内装は、頑丈そうなプラスティックと当時らしいベロアで満たされ、特別感が少し薄い。それでも航空機から着想を得たというダッシュボードは、レイアウトが考え抜かれている。
すべての位置が直感的で、座ってすぐに操作を把握しやすい。リバースにレバーを入れない限り抜けない、サイドブレーキ横のキーホール以外。
カブリオレに、横転時へ備えたロールオーバーバーは備わらず、強固なフロントピラーが乗員を守る。内装はレザー仕立てで、ルーフは電動で開閉する。リアウインドウがガラスなことと、荷室が殆ど侵食されないソフトトップは、当初から強みだった。
ヘアピンを3速で鋭く立ち上がれるT16
ターボ・カブリオレの低圧ターボは、900 iの滑らかさと、900 T16のトルク感を巧みに両立している。一方でT16の最高出力は177psあり、路面状態が優れない区間でも、心強い動力性能を担保する。
いずれも、トランスミッションは5速マニュアル。レバーの動きは、余り心地良いものではない。Cピラーが太く、斜め後方の視界は大きいものの、パワーアシストされるステアリングは反応に優れ扱いやすい。
デュアルサーキット・ブレーキは、滑らかに制動力を生み出す。少し活発に走らせると、アンダーステア。ブースト圧を維持するコツを掴めば、太いトルクを活かし、T16はヘアピンカーブを3速のまま鋭く立ち上がれる。
太いテールパイプからは、喉を唸らせるような低い響き。アクセルペダルを踏み込むと、フロントタイヤが軽くもがく。それでも、大きくラインが乱れることはない。
最後の本当のサーブ 使える普通のクルマ
サーブは、2011年に自動車製造から手を引いた。当時の親会社だった、GMの経営不振の影響を直接的に受けたといえる。
1990年代以降、本当のサーブは生まれなかった、と主張するファンもいらっしゃるだろう。9000は、フィアットとランチア、アルファロメオの共通プラットフォームをベースにしていた。2代目900や9-5は、GMのプラットフォームがベースだった。
筆者は熱心なサーブ信者ではないが、初代900の魅力を心から理解できる。オシャレ好きに愛されたモデルは、華やかなファッションアイテムではなく、極めて使える普通のクルマといえた。
1970年代末から1990年代初頭にかけて量産され、興味深いデザインを備え、他を凌駕する安全性と実用性や、平均以上の耐腐食性を備えていた900。これ以上に頼もしく親しみやすい同時期のクラシックカーを、筆者は思い浮かべることが難しい。
協力:サーブ・オーナーズクラブGB、ザ・ローズ&クラウン社、トレント社、TRオート社、アレックス・ランキン氏、ジョナサン・スタンプ氏、スチュアート・ギャンブル氏
生粋のスウェーデン車:初代900のスペック
サーブ900 i(1978~1993年/英国仕様)
英国価格:1万2495ポンド(新車時)/8000ポンド(約156万円/現在)以下
生産数:90万8810台
全長:4737mm
全幅:1689mm
全高:1429mm
最高速度:167km/h(199km/h)
0-97km/h加速:12.7秒(8.5秒)
燃費:8.6km/L(7.5km/L)
CO2排出量:−g/km
車両重量:1204kg
パワートレイン:直列4気筒1985cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:119ps/5500rpm(177ps/5300rpm)
最大トルク:16.9kg-m/3700rpm(27.7kg-m/3000rpm)
ギアボックス:5速マニュアル/3速オートマティック(前輪駆動)
※()内の数字は900 T16
サーブ900 ターボ・カブリオレ(1983~1993年/英国仕様)
英国価格:2万1150ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約293万円/現在)以下
生産数:90万8810台
全長:4737mm
全幅:1689mm
全高:1422mm
最高速度:193km/h
0-97km/h加速:9.0秒
燃費:8.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1285kg
パワートレイン:直列4気筒1985cc ターボチャージャーSOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:147ps/5000rpm
最大トルク:24.4kg-m/3000rpm
ギアボックス:5速マニュアル/3速オートマティック(前輪駆動)
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