2021年のモーターサイクルレースの世界では、若手ライダー3名の事故死が僅か4ヵ月の間に立て続けに発生。レース界としてこうした悲劇を防がなければという機運が高まっている。
MotoGPやスーパーバイク世界選手権を運営するドルナ・スポーツなども、社内にワーキンググループを設置するなど対策に動き始めているが、この世界での経験が豊富なMotoGPクラスのライダーたちも声を上げ始めている。
■二輪レースの未来へ……ディーン・ベルタ・ビニャーレスのレース中事故死受け、”対策”への動きが始まる
そのMotoGPライダーの中で特に“知性派”ライダーのひとりと見なされているアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ペトロナス・ヤマハSRT)も、この状況にコメント。若手ライダーたちに対し、レースでのアグレッシブすぎるライディングは、タイトルをもたらさないこと理解すべきだと語った。
「若手ライダーたちは、他者へのリスペクトが非常に重要であること、そしてアグレッシブさが世界チャンピオンの称号へ導くことはない、という事を理解すべきだ」
ドヴィツィオーゾはそう語る。
最近行なわれたMotoGPアメリカズGPでも、危険なライディングがあった。Moto3クラス決勝ではデニス・オンジュがバックストレートで他ライダーのスリップストリームから抜け出そうと進路を変更。ここで他車に接触して転倒させてしまい、後続のライダー2名が転がったマシンに激突。赤旗中断となる激しいクラッシュへ繋がってしまった。
「僕たちのスポーツは、それ自体が既に危険なスポーツだ。アグレッシブな動きをしても、何も得られないんだ。普段からアグレッシブさの限界を越えているライダーは、バイクのことを理解していない」
「バトルそれ自体は素晴らしいモノだ。でも自分の命を危険に晒す、極端な動きは決してするべきではない。でも今のとても若い世代のライダー達は、目標を達成するために過分なまでのリスクを負うことをいとわないんだ」
「そしてそのことは、彼らがとても重要な価値を見落としていて、十分に成熟していないことを示している」
またドヴィツィオーゾは、前述の事故の原因となったオンジュに対して、2レース出場停止の処分が下されたことについては、さほど意味のあるモノではないと持論を述べている。
「オンジュへのペナルティが、違いを生むとは思わない。僕らは若いライダーが何が起きているのか、何が起こりうるのかを理解できるような、そういう制裁を与える方法を見つけなければいけないと思う」
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