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伊藤真一さんがホンダ「CRF1100L アフリカツイン Adventure Sports ES DCT」を初試乗! 乗り心地のインプレ&最新装備の特長を解説【ロングラン研究所】(2020年)

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伊藤真一さんがホンダ「CRF1100L アフリカツイン Adventure Sports ES DCT」を初試乗! 乗り心地のインプレ&最新装備の特長を解説【ロングラン研究所】(2020年)

2019年の東京モーターショーの展示車で伊藤真一さんが、最も気になっていたのが新型アフリカツイン。シリーズでもっとも高価な仕様の「CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES DCT」を全方位からチェック!
語り:伊藤真一/まとめ:宮﨑健太郎/写真:松川忍/モデル:大関さおり

ホンダが「CB-F コンセプト」を世界初公開!

電子制御サスペンションの仕上がりには驚き! 動きと乗り心地、モードセレクト、文句の付けようがない。
新型アフリカツインの試乗は、昨年秋の東京モーターショーで展示車を見たときから楽しみにしていました。従来型のアフリカツインも自分のお気に入りバイクランキング上位のモデルでしたので、新型がどれくらい良くなったのか、早く確かめたかったです。

今回の試乗は正月休み明けの時期に行いましたが、秋のショーで公開されてから発売まで長く待たされることなく、すぐに発売されたのは驚きました。新型を楽しみにしていた人には、とても有難いことだと思います。

試乗は都内から茨城方面へ、市街地、高速道路、そしてオフロードなど様々な状況のなかで行いました。まず新型に乗って最初に思ったのは、新型アフリカツイン・アドベンチャースポーツESに採用されている電子制御サスペンションの仕上がりの良さですね。前後のサスペンションがすごく良く動いて、乗り心地がべらぼうに良いです。

足着き性を良くしようとしてサスペンションストロークを減らしてローダウンにすると、オフロード上級者の方はジャンプで底付きすると不満を言うかもしれませんが、この電サスはハード、ミッド、ソフト、オフロード、そして好みに合わせて調整できるユーザーの5つのモードをスイッチ操作ひとつで変更できるわけですから、文句のつけようがないです。

サスの制御には6軸IMU(慣性センサー)が使われていて、電子制御されている感じがしない自然なフィーリングでした。

ローダウンといえば従来型では、自分は断然スタイリング的にはローダウンでない方が好みでした。しかし、新型はローダウンなのに見た目が従来型ほどローダウンしている感じを受けないですね。

従来型はベターっと低い見た目の印象でしたが、新型はその低さに違和感を覚えない。とてもスタイリングのまとまりが良いな、と思いました。足着き性を考えるとローダウンを選びたいけど、スタイリングが…という方にとって、新型のスタイリングの良さは嬉しい点でしょうね。

スタイリングのイメージは基本的に従来型を踏襲していますが、新型は全体にかなりコンパクトに引き締まった形になっていて、実際に車重がより軽いこともあり、取り回しの扱いが非常に楽になっています。細部の仕上げについても、質感が大幅に向上しているのが印象に残りました。

高速道路でのハイスピード・クルージングでも至って安定。その総合走行性能はオンロード主体の大型ツアラーにも匹敵!
新型はフレームやエンジンなどを一新していますが、とことん従来型よりも新型を良いバイクに仕上げようとした開発者たちの熱意を感じます。

従来型をこの連載で取り上げたときにも、大容量の燃料タンクを満タンにしても腰高感を感じさせないところに驚かされましたが、新型は電サスの採用でより重さを感じさせない乗り味になっています。また、従来型もオンロードで21インチフロントタイヤのネガをあまり感じさせないハンドリングのまとまりがありましたが、新型はさらにその印象が強くなりました。

21インチの大径ホイールゆえの、舵が若干遅れて入るような感じはありません。チューブレスタイヤを採用したのでホイールが新設計になっていますが、ホイール剛性が上がったことも新型のオンロードでのハンドリングの良さに貢献しているんでしょうね。

高速道路での操縦安定性も良く、かなりのハイペースでも車体がピターっと安定しています。元々オンロード寄りに作られた大型アドベンチャーモデルやツーリングモデルに、オンロードでの走行性能が近づいていると思いました。

前後ブレーキは、フロントは指一本でちょうど良いと思えるくらい、制動力にもコントロール性にも不満を感じることはありませんでした。従来型のDCTに乗ったときは、Uターンをするときにスクーターのように左手のレバーでリアブレーキを操作できれば良いのに、と思いました。でも新型のDCTに関しては、そのように思うことはなかったですね。

これは新型のIMUを使ったDCTと、電子制御スロットルのセッティングの良さのおかげでしょう。従来型はUターン時に、場合によってはリアブレーキをずっと踏んでいたいというときもありましたが、新型はゼロ発進時からのスロットル操作に対する駆動の「つながり」が良いので、リアブレーキを踏む操作があまりいらなくなりました。

ABSはちょっと作動するのが早いかな、とも感じましたが、オンロードやオフロードなどモード選択式なのでシチュエーションに合わせて切り替えられますし、ABSが作動しているのがわかりやすいのは好印象でした。

新しい1100ccの2気筒エンジンは、Uターンのしやすさの話でも触れましたが、極めて低い回転域でも燃料噴射の制御が素晴らしくて、全くノッキング感がなかったですね。新型はIMUを使い、非常に細かい制御をしているのが、いろいろな部分で走りの質感を向上させています。

DCTも、10年前に初採用されたVFR(1200F)やNC700系のDCTに比較すると、はるかに進化していますね。変速のつながりが良くなって、変速時のショックも感じさせません。

四輪高級車の自動変速は、上り坂と下り坂でシフト感が随分変わるじゃないですか? 新型のDCTはそれに似ており、バイクは絶対マニュアル派(笑)の自分も、感心させられました。

アドベンチャーモデルのフラッグシップに留まらず、ホンダ車全体のフラッグシップにもなり得る質感と完成度。
DCTに限らず、自動変速は乗り手の意思に反したタイミングでシフトする、という声が上がりがちですが、新型のDCTはそういう違和感がほとんどなかったです。

走行モードは街中ではアーバンを選んで、街を出たらほぼツーリングを使って走っていましたが、撮影移動時にちょっと乗った取材スタッフは、「すぐ6速まで入る」ことに違和感を述べてました。

確かにアーバンですと、回転が上がるとすぐ上のギアへシフトするので、若干スロットル操作に対するレスポンスが悪く感じる方もいるかもしれません。でも、大事な燃費を向上させるためには正しい設定ですし、自分は低い速度域で6速に入っていても、特に違和感はなかったです。

DCTの変速タイミングはスロットル開度も関わっていて、同じ速度でもちょっと開け気味だと4速までしか入らず、そしてスロットルパーシャルで一定速になると6速までアップする。とても良く考えられた設定で、6速に入っているからと言ってもエンブレが全く効かない、ということもありませんでした。交差点で停止するときの、シフトダウンのフィーリングの良さも非常に良かったです。

従来型はゴン、ゴンとシフトダウンしているのを感じましたが、新型は、1速に入っていたのか? と思うくらい綺麗にシフトダウンしていきます。

総じて新型を試乗してみての印象は、ショーで見たときの期待以上! というものでした。

従来型は豪華装備のオフロードモデル、という感じですが、新型は一段上の乗り物という感じです。アドベンチャーモデルとしてのフラッグシップモデルではありますが、ホンダ車全体のフラッグシップとして見ても良いくらい、質感も完成度も高いモデルに仕上がっています。

長らく自分のお気に入りバイクランキングの1位はCB1000Rでしたが、新型アフリカツイン・アドベンチャースポーツESはCB1000R以上になっちゃったかもしれません。オンロード育ちなので、乗っての楽しさナンバー1と考えるとCB1000Rが好きですけど、新型アフリカツインは総合力で考えると、これが1位になりますね。

細かい点では、スクリーンとライダーの距離があるので風の巻き込みはそれなりにありますが、自分の体格で上端の上ではなくスクリーンの中に自分の視界があるのは、とても気に入りました。あと、オートキャンセルウィンカー。これ、最高に楽チンで良いですね(笑)。

CRF1100L アフリカツイン Adventure Sports ES DCT のライディングポジション
[身長] ライダー:179cm タンデムライダー:173cm
シート高は830mm、ローポジションならば810mm。「自分は低いシートの仕様は選ばないと思いますけど、体格の小さい方にとっては足着き性が良いモデルが用意されていることは、非常に嬉しいことだと思います」と伊藤さん。

また、「表皮が滑らなくて、ホールド感がとても良いですね」とシートの出来を絶賛。タンデムの座り心地をチェックした大関さんは「お尻が滑らなくて、加減速時に体が前後しないので楽です。また、足が変に縮こまらないので、窮屈さを感じないですね。長距離でも快適に乗れると思います」とその仕上がりを高評価。

CRF1100L アフリカツイン Adventure Sports ES DCT 伊藤真一さんの注目ポイント
気に入ったテスト車両の場合、注目ポイントは、という問いに「全部!」と答えがちな伊藤さん(笑)。今回もあえて、で選んでいただきました。

「CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES」の主なスペックと価格
※【 】内はDCT仕様車
全長×全幅×全高:2,310×960×1,520(スクリーン最上位置1,580)mm
ホイールベース:1,560mm
最低地上高:210mm
シート高:830mm(ローポジションは810mm)
車両重量:240kg【250kg】
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒
総排気量:1,082cc
ボア×ストローク:92.0×81.4mm
圧縮比:10.1
最高出力:75kW(102PS)/7,500rpm
最大トルク:105N・m(10.7kgf・m)/6,250rpm
燃料タンク容量:24L
変速機形式:常時噛合式6段リターン【電子式6段変速(DCT)】
キャスター角:27゜30′
トレール量:113mm
タイヤサイズ(前・後):90/90-21M/C 54H・150/70R18M/C 70H
ブレーキ形式(前・後):ダブルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格:194万7,000円【205万7,000円】

[ アルバム : ホンダ CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES Dual Clutch Transmission の写真をまとめて見る! はオリジナルサイトでご覧ください ]

伊藤真一(いとうしんいち)
1966年、宮城県生まれ。88年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2020年から監督として「ケーヒン ホンダ ドリーム エス・アイ レーシング」を率いてJSB1000などに参戦!

大関さおり(おおぜき さおり)
モデル、女優、レースクイーン、そしてプロボクサーという異色のキャリアを持ち、多方面で活躍中。最新の活動情報は公式インスタグラム「@saoriozeki」にて。

語り:伊藤真一/まとめ:宮﨑健太郎/写真:松川忍/モデル:大関さおり



[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]



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みんなのコメント

3件
  • 意外にシート高くないんだな
    それでも伊藤真一さん、足長い
  • 欲しかったんだけど、取り回しが無理っぽかったのでCRF 250L にしたのは内緒の話
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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