ツインリンクもてぎで行われたピレリ スーパー耐久シリーズ2019の第5戦決勝。ST-3クラスは今季いっぱいでの活動終了を発表した#62 DENSO LeBeausset RC350が逆転で優勝を飾った。チームに長年在籍している嵯峨宏紀は「良い恩返しができた」と語った。
クラス2番手からスタートした62号車は、序盤から#68 埼玉トヨペットGreenBrave GR SPORT マークXを追いかける展開となった。徐々に差をつけられる苦しい場面もあったが、途中に入ったセーフティカーやフルコースイエロー(FCY)のタイミングをうまく利用し、トップに接近。レース開始から3時間を過ぎた83周目でクラストップに浮上した。
■ル・ボーセ モータースポーツ、今季いっぱいで活動終了。坪松代表が経緯語る
最終スティントが始まる頃には30秒近いリードを築いていた62号車だったが、2番手の68号車も諦めずに猛追を披露。2台の差は徐々に縮まっていったが、62号車のアンカーを務めた山下健太が最後までミスのない安定した走りでトップを守りきり、最後は8.9秒差でクラストップチェッカーを受けた。62号車にとっては開幕戦の鈴鹿に続いて今季2勝目で、最終戦の逆転チャンピオンにわずかながら望みを繋げた。
この第5戦が始まる前、チーム代表の坪松唯夫氏はル・ボーセ モータースポーツのレース活動を今季いっぱいで完全終了することを表明。S耐で彼らの勇姿を見られるのも、今回を含め残り2レースという状況だった。
しかもチームの地元であるツインリンクもてぎで勝利を飾ることができ、長年チームの一員として活躍してきた嵯峨宏紀は、感慨深い表情をみせた。
「今年の最終戦をもってル・ボーセ モータースポーツが活動を終了するということを坪松監督が決断されました。そういう状況の中での地元のレースだったので、僕たちとしても(坪松監督とチームに)勝たせてあげたいという想いを持って臨んだレースでした」
「でも正直、楽なレースではなかったです。戦略面も含めて、68号車に一歩先を行かれていました。でも最後のFCYのタイミングで僕たちに風が吹いてくれて、チーム全員で頑張って優勝することができました。本当にこれ以上ない結果だったのではないかなと思います」
嵯峨はフォーミュラトヨタの頃からル・ボーセで戦い続け、全日本F3選手権を経て2011年から国内最高峰カテゴリーであるフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)にも挑戦した。
現在はツーリングカーカテゴリーへの参戦がメインとなっているが、スーパー耐久ではチームを引っ張る存在として活躍している嵯峨。やはり彼にとっても“ル・ボーセ モータースポーツ”というのはかけがえのない存在だったという。
嵯峨はチームに対する様々な想いを頭の中に巡らせ、時折言葉を詰まらせながら、チームへの想いや最終戦岡山に向けた意気込みを語った。
「自分がレースを始めて、駆け出しの頃から坪松さんと二人三脚でやってきました。ふたりでスポンサー活動をして、ふたりでどういう体制にするのかを考えてきましたし、一緒に頑張ってチームを盛り上げてきました。僕はこのチームと一緒にステップアップしてきた感じです。そういう意味で、このチームがなくなってしまうのは……心苦しいです」
「最初は正直『自分が引退するときはル・ボーセがなくなる時かな?』とか勝手に思っていた部分もありましたが、でも……坪松さんが決断したことは尊重したいですし、今回こういう形で地元のレースで良い結果を残すことができて、本当に良い恩返しができたと思います」
「(逆転チャンピオンは)正直厳しいと思いますが、とにかく悔いなく最後のレースを戦いたい。それだけですね」
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