スラウ工場で生産された右ハンドル仕様
秋の恒例イベントとなっている『熱海ヒストリカG.P.ミーティング』には、毎回さまざまな名車、旧車が参加している。
【画像】伝説のシトロエンといつかは乗りたいミニ・クーパー!『熱海ヒストリカG.P.ミーティング』参加車紹介 全47枚
当ミーティングを主催しているのがオートモビル・クラブ・ジャパン(ACJ)で、基本的に構成メンバーだけが愛車を披露しているが、2025年11月12日現在のACJ会員登録数が850名ということで、今回もバラエティに富んだクルマたちが一堂に会した。
ちなみに、ACJの活動は旧車、名車の展示、ツーリング、ジムカーナ、ヒルクライム、ラリー、サーキットレース&走行会などといった感じで多岐にわたり、通常時は年間大小40回以上の催事を開催している。
悪天候でツーリングが中止となり、展示イベントとなった今回のミーティングにも国内外の名車、旧車が集まったが、イギリスのスラウ工場で生産された右ハンドル仕様の『シトロエン・トラクシオン・アヴァン』のような珍しいクルマも参加した。
シトロエンが前輪駆動とモノコック構造を採用したトラクシオン・アヴァンを発売したのは、1934年のこと。トラクシオン・アヴァンとはフランス語で『前輪駆動』を意味する技術用語で、『シトロエン7CV』がデビュー時の正しい車名だ。
足が速いのでロングランも苦にならない
鳥居基廣さんが20年前に購入したトラクシオン・アヴァンは、既述したようにイギリスのスラウ工場で生産された右ハンドル仕様で、関税を回避する目的でパーツをイギリス国内で調達したため、ウッドパネルなどを装備している。
「クラシックカークラブの先輩がご高齢になってトラクシオン・アヴァンを手放すことになったので、譲っていただきました」
そのように話してくれた鳥居さんもすでに御年81歳だが、さまざまなイベントに自走で参加している。
水冷直列4気筒OHVエンジンはオーバーホール済みで、快調そのもの。排気量は1911ccだが、驚くほど速く走ることができる。これからも快速の愛機で素晴らい走りを披露してくれるだろう。
ありがちなトラブルはひと通り経験
続いて紹介するのは、ローバー時代に生産された1996年式『ミニ・クーパー1.3i』に乗っている向井和典さん(60歳)だ。
「ミニは小、中学生の頃から、いつか乗りたいクルマでした、現在のミニは2台目で、今年の5月末の納車です。1台目は2016年に購入した1993年式のクーパーで、そろそろ自分の趣味車を買ってもいいかな? と思えたので入手しました」
最初のミニで、イベント、ツーリング、サーキット、ジムカーナ、ヒルクライムなどを楽しみ、水まわり、足まわり、電気系、吸排気系で、ありがちなトラブルを経験。修理、カスタムは数え切れずといった状況を堪能していた。
「今年の4月に本庄児玉サーキットを走行中に、熱くなり過ぎてクランクシャフトメタルに傷をつけてしまい、走行不能になりました。行きつけのショップでOHを検討中に、下取車として入庫してきたMk-1スタイルにカスタムされたネズミ色のミニに出会ってしまい、ひと目惚れで購入を決意しました」
ネズミ色と呼びたいユーコングレーにときめいた
1996年式だが外装がMk-1スタイルにカスタムされ、ヘリテージカラーのユーコングレーにペイントされていたその個体に試乗したら、最初のミニよりもボディ剛性があり、エンジンの回転がスムーズで、4MTのシフトフィーリングがよかったという。
「詳しく聞いてみたら、前オーナーが外装のカスタムと機関および駆動系のフルOHをした直後に訳あって手放すことになり、各部リセット後の走行距離が500km弱と、慣らし運転も終わっていない状態でした」
しかも最初のミニを好条件で下取りしてもらえることになり、OHのコスト程度の出費でOKという展開になったので購入したそうだ。
「このタイミングで、エンジン、ミッション、クラッチがフルOHされたミニと出会ったのは運命だと思いました。内装もセンターメーターに換装され、運転席側に、回転、水温、油温、油圧、吸気負圧、排気温を表示するデフィ製メーターとエンジンスターターボタンを並べたパネルが装着されているんですよ」
そこでモトリタのステアリング、コブラのローバックシート、フィーリングがよかったショックアブゾーバーを最初のミニから移植してもらい、レガシーを感じているのだという。
熱海でイベントの片付けをした後、安曇野市にある友人宅に遊びに行くため、熱海峠を越え、新東名、中部縦貫道、中央道、長野道を約250km走り、3連休中に700kmも走ったそう。どうやらミニとの蜜月はまだまだ続きそうだ。
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