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【ヒットの法則154】5代目ゴルフR32は発表前から日本で大きな反響を呼んでいた

4代目ゴルフで登場した初代R32はアブソルートで特別なゴルフだったが、GTIとはまた異なる魅力でメーカー自身の予想以上の人気を集めた。これを受けて、R32は5代目ゴルフでも2005年9月に華々しくワールドデビューを飾っている。Motor Magazine誌では日本発表が間近に迫った2006年3月号で「ゴルフR32」を特集。その魅力に迫っている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年3月号より)

ピュアスポーツというよりもGT的な位置づけ
このところ、フォルクスワーゲンを取り巻くファイナンス系のニュースは芳しくないものが多い。エントリーから超怒級のプレミアムまで、ワールドワイドで一大帝国を築き上げるという旧体制の疲れがど真ん中に集中してしまったのかなと思ったりもする。

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経営云々のことに僕のような素人があれこれ申すのもおこがましいが、商品に関して言えば、売価に対しての性能が清廉の極みであったフォルクスワーゲンのモノづくりの愛すべきところは、上に食い込むアウディと、下を受け持つシュコダやセアトに挟まれて揺れている気がする。

1960年代のイギリスで各々のブランドが共栄するために展開されたバッジエンジニアリングの顛末が、そのまま当てはまることはないだろうが、グループに素材を供給する立場でもあるフォルクスワーゲンが、同時に自分の居場所を狭めつつあるのではないかと察してしまう。

現にドイツでは、ゴルフVの販売立ち上がりでそのジレンマが数字となって現れた。同じCセグメントならより安いシュコダでも十分というお客さんと、どうせ高級シフトならアウディに行った方がいいというお客さんに挟まれる形で、結局、彼らはゴルフの価格を実質修正せざるを得なくなったわけだ。フォルクスワーゲン的には今、そういう小さなツケの掃き出しをやる時期に来ているのかもしれない。

それでもゴルフは世界的に見れば、相変わらずトップセールスを記録するグローバルスタンダードだ。運動性、居住性、快適性、燃費……と、どの項目からみても能力はどえらく高い。日本でも間もなく導入されることになったDセグメントのパサートまでを受け持つことになったシャシも柔軟性に富んでいて、トゥーランやプラスといった高重心の派生車種もほとんど性能の損失を感じさせることなくすんな走らせる。FFで200ps以上という出力をアラや濁りなく吸収し、スポーツモデルとして成立させるのは難しいと思っていたが、それもGTIによってあっさり覆させられた。

そして、R32。250psにして250km/h。発表された数字をみれば史上最強のゴルフであることは一目瞭然だ。VR6系の狭角V6から放たれるそのパワーとトルクはさすがにFFで……というわけにはいかず、ハルデックス4WDで吸収するなど、基本的な成り立ちは2002年に発売された初代R32と変わることはない。

すでに次期パサートには新しい3.2L V6FSIユニットを4MOTIONでドライブすることがアナウンスされているのに、同系のシャシでありながらR32はそのパワートレーンを使用しなかった。読者の皆さんはここに疑問を持つかもしれない。

それについて、企画・開発するフォルクスワーゲン インディビデュアルのスタッフは「真新しいFSIユニットの高回転・高出力化を手がけるには時間がなかった」というようなことを理由に挙げていた。個人的にはR32がスポーツモデルである以上、これは正しい選択だと思う。エコよりエゴを立てるなら、エンジンは新しければいいというものではない。煮詰められた旧さがもたらす性能と信頼がユーザーには有り難いということもある。

フォルクスワーゲン的に言うところの、ゴルフラインナップにおける新型R32の位置づけは、ピュアスポーツというよりもGT的なところにあるという。おそらくはセグメントらしい軽快なスポーツハッチというキャラクターはGTIに、そしてCセグメント超級の濃密な所有感という辺りをR32に託そうとしているのだと思う。

これは想定の3倍近い台数が売れたという初代R32のお客さんの大半が、30代以上のビジネスエグゼクティブだったというところにも起因しているのだろう。人目や実用性を考えるとポルシェに乗れないけれど、それに類する性能や品質は欲しい。金額の問題ではなく、ワケあってクラウンやフーガに乗るような日本的需要がヨーロッパにもあったということだ。

猛々しいエキゾーストノートと大幅に改良された乗り心地
前後バンパー部の変更に加えて、グリルにアルミ調の加飾が加えられたR32のエクステリアは、それでもGTIと比較して飛び抜けて主張が強いわけではない。内装の仕立ても然りで、エンジンターンド柄のアルミトリムと青白い指針照明の専用メーター、サポート感の強いシートを除くと、基本的な構成はGTIに準拠している。

ある意味フォルクスワーゲンが作るランエボみたいなもの……と考えるとオシが足りなく感じるかもしれないが、そのデコレーションが控え目に見える大きな理由のひとつは、ボディシェルになんの手も加えられていないことだろう。

さらに言えばR32には、ブレースやガセットといった補強の類も一切加えられていない。否定的な話ではなく、これは素のディメンジョンと剛性で250psを十分まかなうことができるというベースシャシの高い能力を裏付けている。オーバーフェンダーもタワーバーもいらない無着色ということは、このテのクルマにおいてはそのまま軽量化にも繋がるわけで、新型R32の重量が旧型比で20kg前後の増加で抑えられているのも、それが効いてのことだろう。

新型R32の大きなトピックはDSGの搭載だが、このシステムの効能を痛感させてくれるのがエキゾーストシステムだ。エンドだけでなくマニホールドからの通路を入念にチューニングしたそれは、旧型のそれとはまったく違う、ボクスターキラーに相応しい猛々しい音を鳴らしてくれる。

ちなみに6MTの操作感もGTI同様とても素直に仕上がっており、エンジンマウントやシフトリンケージ、クラッチまわりのチューニングにも神経が払われたことが窺える。

旧型から大きく変わった、もうひとつのポイントは乗り心地だ。さすがに鋭利な大入力は低偏平18インチタイヤなりの痛さはあるが、普段乗りでも低速からアシがしっかり動き、入力を柔らかくいなしてくれる。その点、大パワーの吸収と引き換えにパツパツの乗り味を呈していた旧型とは雲泥の差だ。

ロール感もそれなりに大きいが、不安や不快に繋がるものではない。刻々と路面状況の変わる公道を気持ちよく走る上で、ロールを許容するセッティングは歓迎すべきだろう。

ワインディングを十分に試せているわけではないので、コーナリングについては未知数に近い状況であえて言えば、新型R32は休日のワインディングよりも、日頃の生活中、たとえば通勤から長距離移動までを走らせて光るタイプのクルマではないかと思う。

Dセグメントも真っ青の高速安定性や天候変化に強いフルタイム4WDといったアクティブな性能を小さいボディに収めて日常に供することが嬉しいという考え方のできる人が、余計なお金を払って乗る高価なゴルフ。快適な乗り心地や刺激的なサウンド、DSGによるイージードライブといった付加価値は、そういう特別なお客さんのためのホスピタリティとしてフォルクスワーゲンが用意したもの。そういう見方をすればこのクルマがGTIに対して、よりGT的なポジションを狙ったという話もすんなり呑み込める。

そして改めて思うのは、ゴルフというブランドが今やこういう商売も無理なくこなせるほど成熟したという現実だ。土台のポテンシャルの凄さを知るにつけ、それを供給する上下に挟まれてなお己を表さなければならない欧州でのフォルクスワーゲンの立ち振る舞いは、さぞや難しいだろうなと察してしまう。(文:渡辺敏史/Motor Magazine 2006年3月号より)



フォルクスワーゲン ゴルフR32 主要諸元
●全長×全幅×全高:4246×1759×1465mm
●ホイールベース:2578mm
●車両重量:1538kg(2ドアMT)
●エンジン:V6 DOHC
●排気量:3189cc
●最高出力:250ps/6300rpm
●最大トルク:320Nm/2500-3000rpm
●トランスミッション:6速DCT/6速MT
●駆動方式:4WD
※欧州仕様

[ アルバム : フォルクスワーゲン ゴルフR32(2代目) はオリジナルサイトでご覧ください ]

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