GRスープラ61号車は好ペース展開でスタート
アメリカで人気のカーレース「NASCAR(ナスカー)」の3大カテゴリー、「カップ」、「Xfinity(エクスフィニティ)」、「CampingWorld Truck(トラック)」のうちのひとつであるトラックシリーズに、長年参戦している「HATTORI RACING ENTERPRISES(HRE)」。そのHREチームは、トラックシリーズ以外に2019年から「GR SUPRA」でエクスフィニティシリーズへスポット参戦を開始している。ドライバーはHREからトラックシリーズにも参戦している、オースティン・ヒル選手である。
スポット参戦のHREスープラ、最後尾スタートながら22台抜きの快挙【2021NASCARエクスフィニティシリーズ第29戦】
前戦に引き続いて2週連続でのスポット参戦となるエクスフィニティ・シリーズ、その第30戦の舞台となるのは、テキサス 州・ フォートワースにあるテキサス・モーター・スピードウェイ。1周1.5マイルのクワッド・オーバルで、コーナーのバンク角は24度と深いのが特徴。最高速度は320km/hを超える超高速トラックながら、トラック幅が広いためクラッシュは起こりにくいコースである。
スターティンググリッドは、ポイント順に引く抽選で決定され、予選も練習走行もないレースフォーマットで行われていった。10月16日(土)に行われた決勝では、HREの「#61 TOYOTA TSUSHO TOYOTA GR SUPRA」のグリッドは21番手となった。
200周目のゴールを目指し先ずは6人抜き
シリーズ第30戦「Andy’s Frozen Custard 335」は第1ステージ45周目、第2ステージ90周目の各チェッカーのあと、200周目のゴールを目指すというもの。現地時間14時にグリーンフラッグが振られ、レースがスタートした。このスタートをうまく決めた61号車は1周目に19番手に順位を上げ、さらに順調にポジションを上げていく。
20周目に出された最初のイエローコーションまでに17番手まで順位を上げる。一方チームはレース後半に向け新品タイヤの温存を考えた作戦で、ほかの上位陣はここでピットインを行ったが、61号車をコース上にとどまらせ、36周目のリスタートを迎えることにした。
ここでもヒル選手はペースを上げ、14番手まで順位を上げたところで2回目のイエローコーションが出される。ステージポイントを取りに行く上位陣はここでコース上にとどまったが、HREチームは第2ステージでのジャンプアップを狙ってピットインの指示を出す。クルーは給油とタイヤ交換、セッティング変更を施してコースに戻し、残り1周となった第1ステージを21番手でチェッカーを受けた。
第2ステージで5番手まで順位を上げるが
このステージブレイクでは作戦通りコースに留まり、8番手から第2ステージのリスタートを迎えることとなった。第2ステージでも見事なスタートダッシュで5番手にアップ。しかし64周目に6回目のイエローコーションが出されると、ヒル選手から、コーナーでマシンのフロントがコースにボトミング(底突き)するという無線が入る。このリスタート後からは、コーナーのバンプで暴れるマシンを抑えこみながらの苦しい走行を続けることとなり、16番手まで順位を落として第2ステージのチェッカーを受けた。このステージブレイクでチームは給油とタイヤ交換、フロントのボトミングへの対処を施して15番手で61号車をコースに戻している。
98周目に最終ステージのグリーンフラッグが振られると数周で多重クラッシュにより、またイエローコーションが出される。ここで、多重クラッシュによるコースの清掃に時間がかかると判断したチームは、さらなるボトミング対策のためふたたびピットインを指示した。
フロント底づきトラブルに引きづられるも猛追
ピットでのフロントダンパーのシム調整などの大幅なセッティング変更を施して、トップと同一周回の最後尾28番手からリスタートを迎えたヒル選手だが、まだまだ挽回するのにラップは残っている。
ボトミングが改善されたマシンでヒル選手のラップタイムは向上、ここからの追い上げが期待される。しかし20番手まで順位を挽回したあたりから、ふたたびペースが下がり始め、トップのマシンにパスされ周回遅れとなってしまう。
「イエローコーション戦略」に至らず
141周目に後続のクラッシュにより、9回目のイエローコーションが出されたところでチームはヒル選手にピットインを指示。給油と残された新品タイヤを装着し、コースに送り出す。ここからヒル選手のスピードは飛躍的に向上、トップと同じラップタイムを刻みながらイエローコーション時に周回遅れの最上位マシンが同一周回に回復できるラッキードックの獲得を目指し、前車を猛追していった。 終盤の185周目には、ついに周回遅れ最上位まで順位を挽回。同一周回への復帰とリスタートでの更なるポジションの挽回に期待しながら、イエローコーションを待つ展開が続く。しかし、チームが切望したイエローコーションは最後まで出されず、そのまま20位でチェッカーを受ける事となった。
GR SUPRAでの今年最後のレースは、序盤のペースが良かっただけに残念な結果となってしまった。ペースが下がり、周回遅れになったときの右フロントタイヤがスローパンクチャーを起こしており、装着前に設定した内圧よりかなり低い数値で走っていたことが原因だった。今季GR SUPRA61号車での最上位は5位。HREとしては残りトラックシリーズが2戦あり、こちらのチームタイトル獲得に向けて、最後まで全力を尽くしていくこととなる。
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