2月7日、静岡県の富士スピードウェイで、スーパーGT GT300クラスに参戦するBMW Team Studieが、2022年から導入するニューマシン、BMW M4 GT3をシェイクダウンさせた。2022年のスーパーGTのなかでも話題の一台だが、どんなフィーリングをもったマシンなのだろうか。この日シェイクダウンを担当した荒聖治と近藤翼に、その感触を聞いた。
2020年にGT300に復帰したBMW Team Studieは、BMW M社の創立50年の記念の年となる2022年に向け、新たに世界中でデリバリーがスタートしたBMW M4 GT3を投入する。すでにIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第1戦デイトナ24時間をはじめ、さまざまなレースに投入されはじめている車両だ。
BMW Team Studie、GT300クラス投入のBMW M4 GT3をシェイクダウン。順調に最初の走行終える
2月6日にロールアウトし、7日に本格的なシェイクダウンを行ったBMW Team StudieのBMW M4 GT3だが、メインでドライブした荒は「まだ走りはじめたばかりなので、これからとは思いますが」と前置きしつつ、M4 GT3のインプレッションを語った。
「クルマとしてはまず、エンジンが直6で滑らかで、音が良いです。GT4は昨年ドライブしましたが、GT3のような本格的なレーシングカーで6気筒に乗るのは初めてで嬉しいですね。またM6 GT3と比べると、シャープな印象です。もともと大きさはありますが、サイズ感を感じさせないです」
M4 GT3は、見た目の印象からしてもかなり大きい。実際のサイズも、大柄なマシンのひとつだったM6 GT3よりも大きいという。しかし、M4 GT3はそのサイズ感が“横に”大きい印象があり、コースサイドで見ていても路面を這うかのような走りをみせる。また荒が言うとおり、音もM6 GT3とはまったく異なり、非常にレーシーでスムーズなサウンドを響かせる。また整備性も良さそうで、カウルなどの着脱も非常に早そうだ。
またこれまで、ポルシェ、アストンマーティン、アウディ、またレースは戦っていないがランボルギーニなど、さまざまなGT3カーをドライブしてきた近藤も「15分ほどしかドライブしていませんが、連続で乗せていただきましたし、ダウンフォースがあって、荒さんが言うとおり運転していても大きさを感じない、素直な印象です」とM4 GT3を評した。
ちなみに、ふたりが声をそろえるのが「操作系が特殊」だということ。エンジンの止め方やスタートの仕方など、BMWの“こだわり”があるのだという。「なんだこれ!? という部分はありますが、慣れれば問題ありません。BMWなりの機械を守る制御だと思いますが、他のクルマとは違います。そのあたりも理解して使いこなせれば」と荒。
「味付けの部分や考え方の違いなど、作る側のやり方がありますからね。BMWはこういう考え方……という部分があると思います。メーカーの色が出て面白いですね」
さて、気になるM4 GT3の得意コースだが、「鈴鹿とかSUGOはいきたいですね」とふたりは語る。つまり、現段階では中高速が主体で、ダウンフォースが効くサーキットが得意とのこと。富士スピードウェイは、あくまで現段階では“苦手”な部類だ。このあたりはM6 GT3とはまったく異なる。ただ、これもすべては性能調整次第ということだ。
「性能調整が大事です。僕はマクラーレンに乗った時に地獄のような苦しみのなかでレースをさせられました(2019年のMcLaren 720S。序盤戦非常に厳しい性能調整で、予選でも最後尾に沈むなど苦戦を強いられた)から。でも新しいクルマを投入してそれでは、我々もファンの皆さんもワクワクしないですよね。そういう性能調整にならないように願っています」
そして、GT300ファンとして気になるポイントはやはりタイヤだ。今季GT300に復帰するミシュランを履きシェイクダウンをこなしたが、荒は「ミシュランタイヤは、“丸い”です。つまり転がりがいい。タイヤの乗った印象は、いつもミシュランを履いたときに感じる転がりの良さを感じます」と印象を語った。
ただ、あくまでまだ今回は“転がし”の状態。「もちろん、グリップ等についてはこれからタイヤをクルマに合わせ、パフォーマンスが出るところにもっていかなければならない。まだその段階にはありません。今回走った内容をもとに、次にどうするか、そして開幕までにどこまでのレベルに準備できるかですね」という。
コロナ禍次第ではあるが、アウグスト・ファーフスの来日も待たれるなか、まずは荒と近藤がM4 GT3、ミシュランタイヤを仕上げ、開幕に向けて準備を進めていく。「何よりカッコいいですからね。新車は気分がいいです。良い年にしたいです」と荒はシェイクダウンを終え、笑顔で語った。
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