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【試乗】超激戦区のMクラスミニバンにセレナは先進性で勝負! 乗り心地に課題はあれど「プロパイロット2.0」の自動運転っぷりは圧巻

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【試乗】超激戦区のMクラスミニバンにセレナは先進性で勝負! 乗り心地に課題はあれど「プロパイロット2.0」の自動運転っぷりは圧巻

 この記事をまとめると

■日産のMクラスミニバン「セレナ」を公道で試乗

バカ売れ確定の新型アルファード&ヴェルファイアが登場! ここまで人気なのに他メーカーから「ガチライバル」が出ないワケ

■ルキシオンは最上級モデルという立ち位置で、プロパイロット2.0を装備する

■ハイウェイスターはプロパイロット2.0を備えていない代わりに安価なのが特徴だ

 大人気ミニバン「セレナ」を公道で走らせてみた

 活況なミニバンカテゴリーのなかにあって好調な売れ行きを示し、日産車のラインアップのなかでも中核をなす存在として存在意義の高いセレナ。 今回フルモデルチェンジを受けてより進化した。新型セレナの外観デザインは基本的にはキープコンセプトであるものの、フルモデルチェンジという位置づけで多くの部品がゼロから仕立て直されているという。

 外観的には大きなラジエーターグリルが特徴的で、ボディサイドのスプラッシュラインと呼ばれるフロントの三角窓から後方へと立ち上がるラインなどはキープコンセプトとし形作られている。フロントバンパーの左右両サイドにはエアカーテン用のエアインレットが設けられ、サイドステップは乗降性を高めつつ、視覚的なアイキャッチとなるようなサイドスカートが採用されたことなども新型セレナの特徴となっている部分だ。

 クルマに乗り込むと、ダッシュボードが大幅にデザインし直され、とくに12.3インチの大型センターディスプレイと液晶メーターディスプレイの視認性は極めて優れている。エアコン類のスイッチはタッチパネル方式で、シフトレバーが廃止されてシフターはボタンスイッチ方式となったことも大きな特徴だ。

 センターコンソールはフロアが低くウォークスルーを可能としている。タイプCの充電ジャックが複数備わり、さまざまな使い勝手ができるセンターコンソールもすっきりと収まっていて実用性が高そうだ。

 Aピラーまわりの低い位置に大きな三角窓があることで斜め前方の視認性に優れているところは、先代からもユーザーの評価が高かった美点として引き継がれていて、それが一見してセレナとわかるデザイン的なインパクトを与えているところでもある。

 今回試乗したのは、まず「ルキシオン」と呼ばれる最上級の新グレードで、従来のハイウェイスターのさらに上を行くモデルとして位置づけられている。

 それだけに装備類が充実していて、前席左右のシートヒーターはもちろん、2列目シートにもシートヒーターが備えられている。また、タイプCのUSB充電コネクタが全席分に確保されるなど配慮がなされている。3列シートで7~8人が乗車でき、3列目の居住性も特筆すべき広さが確保されている。

 車幅が1715mmと小さいので、3列目に3人乗車させるのは窮屈な部分もあるが、前後スペースには余裕があるので、それほどタイトな感じを受けない。

 スタートスイッチボタン押して起動させるとe-POWERが目覚める。走り始めはEVモードであり、エンジンの始動はしばらく行われない。搭載されるガソリンエンジンは1.4リッターのHR14DDe型直列3気筒で、吸排気バルブタイミングを備えた新しいエンジンとなっている。3気筒といえば、新型となったエクストレイルが搭載する可変圧縮比のKR15DDT型を思い浮かべるかもしれないが、今回のセレナに搭載されたのは、従来型セレナに搭載されていた1.2リッターのHR12DE型のストロークを増やす改良で排気量を拡大したもので、加えて一次バランサーシャフトやフレキシブルフライホイールの採用で振動を抑えることに成功している。また、2000回転でジェネレーターを回す領域を増やし、従来2500回転だったものよりもより低回転で騒音の少ない状態でジェネレーターをまわすことを可能としている。

 e-POWERはご存じのようにシリーズハイブリッドであり、エンジンと駆動輪はまったく繋がっていない。前輪駆動のみの設定だが、その前輪を駆動するのは駆動用モーターのみだ。エンジンは発電機としてしか稼働させず、その回転数を2000回転で発電に多用することで静粛性を高めているといえる。従来はエンジン回転を加速フィールに合わせて回転数を高めていくような設定がされていた時代もあったが、やはり静粛性や振動の抑制を重要視して、より低い回転数を維持するようなチューニングとなっているのである。

 バッテリーはリチウムイオンバッテリーで、その容量は公表されていないが、エネルギーフローモニターをメーター上に表示すれば、常にバッテリーの充電状況が確認でき、EVスイッチ押せばエンジンを始動させないEVモードで走ることも可能だ。また、eペダルスイッチもあり、それを用いればワンペダルでの走行も可能となる。

 プロパイロット2.0はセレナとの相性抜群

 走り始めると、やはり静かでスムースなことが特徴的で、また電動モーターの豊かなトルク特性が優れたドライバビリティを生み出していることがわかる。ミニバン形式の車体は車両重量が1850kgほどもあり、急な上り坂などではクリープ制御やエンジンの回転数を高めてのトルコン制御など、ガソリンエンジン車の場合は負担が大きくなるのだが、モーター駆動はまるで坂の上から引っ張られているかのごとくストレスも感じずにスルスルと急勾配を上っていける。

 さらに速度を上げてワインディング路などを力強く駆け上がることもでき、ロールやピッチングを抑えたサスペンションのチューニングと相まって、軽快な運動性能がボディサイズやミニバンということを忘れさせるようなハンドリングを示してくれた。

 高速道路に乗り入れると、今回から新採用されるプロパイロット2.0が威力を発揮する。プロパイロット2.0は、ドライバーがステアリングから手を離しての使用が可能であり、常に左右の交通状況をモニタリングして適切な車線位置とラインをキープしてくれる。

 また、前走車に追い付いた場合、追い越し操作を促してくれ、ウインカーを操作あるいは追い越しボタンを押し、ステアリングに手を添えることで、自動的に追い越しを行ってくれる。元の車線に戻る際にもシステムが自動的にウインカーを出し元の車線に戻るのでドライバーの疲労は相当軽減されることになる。

 目的地を設定しておけば、自動的に左側車線をキープするようになり、ほぼ半自動運転で走ってくれるのがありがたい。インターチェンジの出口に来るとACC機能が終了し、ドライバーに運転操作が切り替わり速度制御とステアリング操作が必要になる。非常にタイミングよく運転操作を切り替わると言えるだろう。また、行き先設定をしておけば、目的地の500メートルほど手前からEV走行できるようにバッテリー充電量を制御してくれる。さらに、ナビゲーションデータから上り勾配や下り勾配を読み取り、登り勾配ではエンジンを稼働させて燃費と発電を制御し、下り勾配部分では回生だけで電力を蓄えるなどの高効率バッテリーマネジメントを自動的で行う機能も有している。

 このように、新型セレナはe-POWERをより高度に進化させ、実用的なプロパイロット等と組み合わせることで、ドライバーにとってやさしく、また乗員すべてが会話をできるような静かな走行空間を保ってファミリー志向の強いユーザー層に大きくアピールすることができる内容となっている。

 残念に思うのは乗り心地に関する部分で、それはとくに路面のやや荒れた場所を通過する際にフロアの剛性不足に起因するような振動が感じられることだ。また、2~3列目にも着座してみたが、とくに2列目での振動はシートのアームレストなどにもバイブレーションとして伝わってきていて残念に感じた。

 ちなみに、今回は車両姿勢で車体ロールを抑え、乗員の頭部が前後左右に振れるのを抑制。クルマ酔いを防止する効果を狙った要素も盛り込まれている。

 ハイウェイスターグレードにも試乗してみたが、走行に関するテイストは上級モデルのルキシオンと同等であり、プロパイロット2.0が装備されないことと、シート生地がファブリックになることを除けば、ハイウェイスターも同じようにe-POWERの新しいパワートレインが大きな魅力となることを示していた。

 装着タイヤは、上級モデルのルキシオンがブリヂストン・トゥランザ、またハイウェイスターはダンロップ・エナセーブでともに16インチである。タイヤ寸法を鑑みれば、もう少し乗り心地面で快適さが確保されていてもいいはずだ。2.8kPaとやや高めに設定されている空気圧なども乗り心地に多分に影響を及ぼしているといえるだろう。その辺は燃費を向上させることとのバランスが重要であり、今回はより燃費に特化した設定となっていたと言えると思う。

 乗員が常に8人乗れば総重量が大きくなり、そうした場面で十分な操縦性を得るためにも必要最低限な内圧だったのだろう。

 新型セレナは、このクラスのミニバンとしてこれからも高い人気を維持していくだけの資質を備えていることが十分に伝わり、確認することができた。

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