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【現実の環境でテスト】アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン 高速道路や峠道で検証

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【現実の環境でテスト】アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン 高速道路や峠道で検証

アウディBEVの最上級車種

アウディのBEV先駆車として、eトロンがデビューしたのは2021年の春であった。それから丸2年半が経ち、現在は同じボディでありながら内外装共に大きく変わり、バッテリーも強化されて、Q8 eトロンとなった。

【画像】アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン試乗の様子をみる 全45枚

今後アウディ各車の名称はEVを偶数で、それ以外を奇数で呼ぶことになり、従ってQ8はEVの中での最上級車種ということになる。

今回、改良されたQ8 eトロンを試乗するにあたり、2021年の9月に行った先回の試乗記を読み返してみると、当時は我が家にも、甲府の旅館にもまだ3.2kWhの充電器しかなく、試乗車のeトロンも71kWhのバッテリーで316kmの航続距離しかなかった。

そして、充電にも10時間以上かかっており、現在の、8kWhが双方に設置されている状況と比べると、隔世の感がある。特に旅館の方は、アウディの充電器も2基設置されているので、アウディ・オーナーにとっては万全であろう。

今回、借り出したクルマは、Q8 55 eトロン・クワトロSラインで、114kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離も501kmと飛躍的に向上している。フロントフェイスは立体感を帯びたデザインに変更され、ブラックフィニッシュで迫力が増している。

塗色は、最近流行りのパステル調のカラートーンで、クロノスグレーメタリックという名のグリーンがかったグレーである。

「逆にいいこと」とは?

最近、相次いで発売となったメルセデスのEQEやEQSを試乗した眼で見ると、内装はおとなしく、コックピットもごく普通のICEのアウディと殆ど変わらない。しかし、これが逆に違和感なくEVへの乗り換えを可能にするかもしれない。

走りだしてみるとEVの定石通り、スムーズで静か、そして必要な情報はほぼ全て得られる。残念なのは、バッテリーの残量が数値では判らない点である。ただ、電費は数値で表示されるので、走りとの関連性は理解できる。

ステアリングは、切り始めがやや曖昧であるが全体としてはクイックで中央道のようなコーナーの多い山岳高速道路でも、気持ちよく走り抜ける。いつものタイカンと同様のスピードで、何の問題もなくスムーズに走ることが出来た。

サスペンションのストロークは深く、路面の変化によく追随してくれるが、スポーツモードに切り替えると、ロールが抑えられ、非常に機敏な走りが実現できる。車重は見かけよりも遥かに重く2.6トンもあるが、それを感じさせない充分なパワーで不自由は感じない。

カタログデータとの看過できない乖離

我が家に来た時点で、試乗車のオドメーターの針は1769kmを指しており、満充電にした時の走行可能距離は389kmであった。川崎を出発して、甲府までは約110kmの行程であるが、標高差が500m近くあるので消費電力は嵩み、到着した時の走行可能距離は241kmに減少していた。

その後、1910km時にアウディの8kWhの充電器で充電を行った。この時の走行可能距離は210kmであった。ここまでの平均燃費は、3.7km/kWhである。

2回目の充電は、川崎に戻った時にポルシェの充電器で行った。この時は走行距離2078km/走行可能距離186kmで、電力は約50%の消費であった。充電に要した時間は7時間31分であり、満充電時の走行可能距離は359kmに減少していた。

これは、甲府からの帰路の速度と気温の低下によるヒーターの多用によるものと思うが、冬季とはいえ、カタログデータは501kmであるから、かなりの乖離である。

試乗した車輛の価格は、オプションを含めて税込み1275万円である。

オプションの内容は、インテリアパッケージが24万円/10スポークのアルミホイールが20万円/ダーク・アウディリングス&ブラックスタイリングパッケージが19万円/サイレンスパッケージが30万円で、合計93万円となる。ライベルのメルセデスEQEが1379万7000円/BMW iX xDrive40が1098万円である。

アウディの価格は、3車のちょうど中間であるが、全体の仕上げなどのクオリティを考慮すると、アウディが上位に来るのは間違いない。

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