モデル末期のBMW「740d」に世良耕太が試乗した。今年後半に正式発表予定の新型では手に入らないかもしれないショートボディ+ディーゼル・エンジンの組み合わせはいかに?
今や貴重な存在
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BMWのフラッグシップモデル、7シリーズが新型(G70)に移行した。当面、国内で選択できるのはBEV(バッテリー式電気自動車)の「i7」と、3.0リッター直列6気筒ガソリンツインターボ・エンジンを搭載する「740i」系である。つまり、ディーゼル・エンジンは選択できない。
輸入元のビー・エム・ダブリュー株式会社によると、新型7シリーズのディーゼルエンジン仕様について「導入の予定は未定」ということだ。となると、先代7シリーズ(G11/G12)のディーゼル・エンジン仕様は貴重な存在だ。
というわけで、現行7シリーズの740d xDrive M Sportを引っ張りだしてみた次第。しかもこのクルマが貴重なのは、ディーゼル・エンジンを積んでいる点だけはない。先代7シリーズには3010mmの標準ホイールベース仕様(G11)に加え、3210mmのロングホイールベース仕様(G12)の設定があるものの、新型(G70)はロングホールベースに一本化された。ホイールベースは現行G12比+5mmの3215mmだ。そのぶん全長も長く、5391mm(本国仕様)に達する。
標準ホイールベースの先代740d xDrive M Sportは新型に比べて全長が266mmも短く、全長は5125mmに抑えられている。しかも後輪操舵機能を搭載するので、狭い場所での取りまわしに重宝する。
まだ新型7シリーズの現物が走りまわっていないので当然かもしれないが、現行7シリーズは新鮮味を失っていない。フラッグシップモデルとしての威厳を充分に保っているし、BMWらしく、走りを予感させる躍動感を合わせもっている。
インテリアも同様。現行モデルと新型では、現在と未来、和風と洋風くらい世界観が異なるが、現行モデルを時代遅れに感じるかというと、そんなことはない。上質なレザーとウッドをたっぷりと使ったインテリアは、オーセンティックなバーに足を踏み入れたときのような落ち着きを感じる。「正統」とか「重厚」といったワードがぴったりくるムードだ。
ディーゼルならではの頼もしい走り
740d xDrive M Sportには3.0リッターの排気量をもつ直列6気筒ディーゼルターボ・エンジンを搭載する。ターボチャージャーは2基で、排気流量が少ない低回転域は低圧側のターボチャージャーを使い、高回転域になったらもうひとつの高圧側ターボチャージャーにも排気を導いて2基を同時に使うシーケンシャル方式だ。最近のディーゼル・エンジンでは一般的なタイプである。1750rpmの比較的低い回転数から680Nmもの最大トルクを発生する(~2250rpm)。最高出力は320ps/4400rpmだ。
車両重量は2010kg。絶対値としては2tオーバーなので軽くはないが、車両サイズのわりに頑張っているとも言える。車体骨格の主要部位にカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)を採用し、軽量化を図っているからだ。
低回転域から豊かなトルクを発生するディーゼル・エンジンのおかげで、いつなんどきでもアクセルペダルの上に軽く右足を載せておくだけで、約2tの巨体をやすやすと動かしてしまう。ディーゼル・エンジンのこの頼もしい走りが好きな人なら、特有の燃焼音をむしろ心地良く味わうかもしれない。
現行7シリーズが搭載するディーゼルエンジンの真価が味わえるのは、高速域だ。100km/hあるいはそれを超える領域では、740d xDrive M Sportは文字どおり、誇張でなく、矢のように走る。ハミングしているかのようなエンジン・サウンドからは、ポテンシャルを半分も引き出していないことがわかる。高速域での追い越し加速は、まるで朝飯前の準備体操のように軽々とこなしてしまう。ガソリン・エンジンならきっと、掛け声のひとつやふたつ入れているところだ。
ドライブモードのデフォルトは「コンフォート」。これを「スポーツ」に切り換えると、ディーゼル・エンジンは文字通りスポーティになる。信号が変わって発進すると、コンフォートのときより高回転まで引っ張って上のギアにバトンタッチする。
スポーツモードを選択するとパワー・ステアリングの制御も変わる。高速域ではステアリングのすわりが良くなり、エア・サスペンションが引き締まって、直進安定性が高まる。
「もしかして、レーンチェンジを嫌がったりする?」と、一瞬だけ不安になったが、トライしてみれば問題はナシ。ボディを無駄に揺らさず、スイッと向きを変え、成し遂げてしまう。抜群の瞬発力と強靱な筋力をもつアスリートが自分の身体に乗り移ったかのような、みなぎる自信に包まれながらのドライブが実現する。
高速域での頼もしさこそがBMW 7シリーズの真骨頂であり、その走りを支えるのが強心臓たるディーゼル・エンジンだ。新型7シリーズは、本国にディーゼル・エンジンの設定があるのだから、「ぜひ日本にも!」と、渇望するのは筆者だけではあるまい。
文・世良耕太 写真・田村翔
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試乗してモータージャーナリスト(何がジャーナリズムか分からないが)すべてが「これはいい!」しか言わない。俺でも出来る。