どのカテゴリーにも必ずと言っていいほど「絶対的な王者」がいるもの。しかし、ライバルメーカーだってそんな存在を見て黙っているわけにはいかない。王者に果敢に勝負を挑み、その高い壁に跳ね返されてしまったクルマたちを紹介する
文:木内一行/写真:ダイハツ、日産、ホンダ、三菱自動車、CarsWp.com
【画像ギャラリー】強力なライバルに勝負を挑むも惨敗した名車たち(12枚)
「ハイブリッドカーの元祖との対決に完敗」 ホンダ・インサイト
「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーで登場したプリウス。それを追うように、1999年にデビューしたのがインサイトだった。
ただしその初代は2ドアクーペの2シーターで、直接の対抗馬となるような存在ではなかった。ところが、2009年にモデルチェンジした2代目ではプリウスを意識したかのような5ドアスタイルとなったのだ。
そしてパワートレインは、1.3リッターエンジン(後に1.5リッターも追加)に薄型DCブラシレスモーターを組み合わせ、エンジンをモーターが補助するパラレル式ハイブリッドを採用。JC08モードで26.0km/L(G、Lグレード)という低燃費を達成した。また、189万円~というリーズナブルな価格設定も魅力だった。
そうした商品力もありデビュー年の販売は絶好調で、時には月販1万台を超えることもあった。
しかし、翌年以降は右肩下がりになってしまった。その原因は、デビュー3カ月後にプリウスがモデルチェンジしたから。その新型プリウスは、インサイトよりも室内が広く、燃費もJC08モード32.6km/L(Lグレード)と良かった。
新車価格こそインサイトのほうが安かったが、居住性や燃費性能がアドバンテージとなり販売を伸ばしたのである。
インサイトも1.5リッター車を追加するなどのテコ入れを行ったが、それでも販売回復は見込まれず、最終的には2014年に生産終了。打倒プリウスと息巻いて登場したものの、返り討ちに遭うという残念な終焉を迎えたのだ。
ちなみに、身内ながら2010年にフィットハイブリッドが登場したことも人気低下の理由のひとつ。とはいえ、手頃な価格設定を武器にハイブリッド車を身近にした存在だったことは間違いない。
「背の高さは王者超えだが販売では歯が立たず…」 ダイハツ・ウェイク
N-BOXに代表されるスーパーハイトワゴンは、現在の軽自動車市場においてなくてはならない存在。そんななか、2014年に登場したウェイクはスーパーハイトワゴンを上回る室内空間をウリにしたウルトラハイトワゴンだった。
スクエアなボディは全長全幅こそ一般的な軽自動車と変わらないものの、全高は同社タントを85mmも上回る1835mmに設定。
この高さはそのまま居住空間にも影響しており、軽自動車トップの1455mmという室内高を確保することができた。また、地上からドア開口高までが1700mmとなり、ラクな姿勢で乗り降りが可能となっている。
そして、多彩なシートアレンジや使い勝手のいいラゲッジなどにより、広い室内空間を有効に活用しているのだ。
また、背が高くなったことで走行安定性の低下が懸念されるが、重心より上の部品を軽量化しつつアンダートランクの設置やパンク修理キットの床下配置などにより、重心高アップを抑制。高さを感じさせない安定した走りを実現した。
この軽自動車最大の室内空間や高い利便性を武器にN-BOXを筆頭とするスーパーハイトワゴン勢に立ち向かい、新車販売台数はデビュー年の2015年が50711台、翌年は32828台を記録。しかしその後は下降一辺倒で、生産終了年となった2022年では9019台まで落ち込んだ。
ちなみに、ウェイクの最盛期だった2015年の新車販売台数は、N-BOX(184920台)、タント(157756台)、デイズ(150696台)というトップ3だった。
つまり、王者N-BOXはおろか同胞のタント、デイズにもまったく歯が立たなかったということ。しかし、ウェイクの個性際立つキャラは唯一無二。後継モデルの登場にも期待がかかる。
「キング・オブ・ハイソカーの壁は高かった」 日産・レパード
1980年代に巻き起こったハイソカーブーム。その火付け役となったのはご存じ初代ソアラだ。端正なルックスに高級感あふれる内装、先進装備の数々で瞬く間に人気となった。
そんなソアラを強く意識していたのがレパードである。
ソアラよりも半年近く先にデビューしていたレパードは、高級パーソナリティカー市場でライバルの後塵を拝していた。そこで、1986年にモデルチェンジした2代目では2ドアのみのラインナップに変更。ソアラにガチンコ勝負を挑んだのだ。
優美さやしなやかさを表現したというクーペボディは美しく、新開発の3リッターV6エンジンも搭載。資金の潤沢な時代ゆえ、世界初や日本初といった新技術も多数採用された。
ところが結果は惨敗。そこで、1988年のマイナーチェンジでは内外装を刷新し、3リッターV6ターボを新たに搭載。しかし、TVドラマ「あぶない刑事」に劇中車として使われた効果でそれなりの人気を獲得したものの、ソアラの牙城を崩すには遠く及ばなかったのだ。
そしてレパードは1992年にモデルチェンジするのだが、今度は4ドアのみのラインナップに変更し、「J.フェリー」のサブネームを付与。これには、北米インフィニティの新型車を日本に投入したからなどの事情があったが、この変わりように多くの人が困惑したことは明白だった。
ちなみに、あぶない刑事は今でも多くのファンに支持され、同様に2代目レパードも高人気を維持。むしろ、今のほうが当時よりも人気が高いのではないかと思わせるほど。なんとも皮肉な話だ。
「抜群のコスパだけど日本では不発に」 三菱自動車・ミラージュ
三菱初のFF車として1978年に誕生したミラージュ。5世代に渡って三菱の主力車種として活躍してきたが、2002年に生産中止となった。
そんなミラージュが復活したのは2012年のこと。「低燃費・低価格・コンパクト(扱いやすさ)」をキーワードに、先進国における環境対応車と新興国におけるエントリーカーというニーズを両立したグローバルカーに生まれ変わった。
国産コンパクトよりひと回り小さいボディは、親しみやすさを表現しつつ空力性能も追求。扱いやすいサイズながらエンジンルームを極力小さくしたことで、居住空間を最大限に確保した高効率パッケージングを実現できた。
国内仕様のパワートレインは1リッター直3とCVTの組み合わせでスタート。アイドリングストップシステム装着車はJC08モード燃費27.2km/Lを達成し、非装着車でも23.2km/Lを誇った。
そして圧巻なのが価格で、99.8~128.8万円と超お手頃プライス。これは、タイ生産にして輸入したり、細かいコスト削減を積み重ねた結果だ。
また、海外生産となると品質が気になるが、これは通常の完成検査に加え、日本人の熟練検査員が出荷前にすべての品質を確認することで万全の品質管理を行っているという。
ただし、どうしても価格相応な部分が目立ってしまい、1.2リッター車を追加したり、内外装の刷新などで商品力を高めたが、最後まで強力なライバルに追いつくことができなかった。
とはいえ、海外での評価が高かったことを考えると日本のニーズに合わなかっただけで、クルマとしてのデキは決して悪くなかったのだ。
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みんなのコメント
室内空間の広さと使い勝手の良さは唯一無二で、アウトドアレジャーには欠かせません。
姉妹車としてキャディがありましたが2座しかなかったのでダメだったようですね。
アトレーのように4ナンバーと割り切って、FFでターボで4座なら、復活させて結構イケると思うけどな。
80年代末にカローラに対抗したミラージュのほうが、よほどガチンコで良いクルマ、でも販売はカローラに完敗という感じ。
まあ、販売台数だけで勝ち負けを言ったら、トヨタにかなうクルマはごく少数なんだけど。