オーストラリア大陸西部、パース近郊に位置するワネルー・レースウェイで争われたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第5戦『Perth Super 440(パース・スーパー440)』は、フォード陣営最終年を戦うウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド(WAU)が予選フロントロウ占拠の躍進。ポールポジションを射止めたエースのチャズ・モスタート(WAU/フォード・マスタング)に対し、僚友ライアン・ウッドがレース1でスーパーカー初優勝を果たすことに。
しかしレース2ではトラブルが脚を引っ張ったウッドに代わり、名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)のブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)が主役の座に着き、日曜レース3を含め連勝を飾っている。
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シリーズの盟主に君臨するT8の来季フォード陣営スイッチに加え、同2026年からは『A90型トヨタGRスープラ・スーパーカー』の投入を表明しているTOYOTA GAZOO Raingオーストラリア(TGRA)の新規参戦など激動の時代を迎えている豪州RSCだが、パースで迎えた6月6~8日の週末はそのトヨタの新規ホモロゲーションチームに指名されているWAUが気を吐き、土曜の予選ではエースのモスタートが若きウッドを従えレース1のポールを獲得。続くレース2向けの予選ではそのウッド自身がシリーズ初、チームにとって通算100回目の選手権ポールポジションを獲得してみせた。
「今週末のなかで最悪のラップのひとつだったと思う。(ターン6の)ボウルから抜け出せず、かなり不安だった」と意外にも反省の弁から述べた21歳のウッド。「金曜フリープラクティスを経て、予選の最初のセッションでかなり賢くプレーできたのは分かっていた。少し緊張したが、自信はあったし、うまくやり遂げることができたので、とても興奮しているよ」
一方、自身通算26回目のポールとなったモスタートは「今週末の僕たちの走らせ方はかなり違っている。WAUの全員にとって、この12カ月で学んだことへの真のご褒美だ」と、フォードとの最終年で上昇気運に転じたことを強調する。
「Q1からQ2にかけて自分自身を調整する必要があったが、ウッディが今年どれだけのことを成し遂げてきたかがよく分かるよ。彼は本当に僕を後押ししてくれているんだ」
そんな大先輩のお墨付きを得たウッドはレース1序盤からエースに重圧を掛け続けると、わずか10周で“エース越え”に成功。その後はピット作業でもタイヤ2本交換作戦を成功させ、背後に迫った王者ウィル・ブラウン(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)も抑え切り、わずか0.6秒差でスーパーカー初優勝を飾ってみせた。
「正直に言って、とても感慨深い。両親は僕がここまで来るために多くの犠牲を払ってくれていたからね」と感極まった様子で目には涙を浮かべたウッド。「長年の夢を叶えることができ、現実とは思えない。チーム全員にとって本当にうれしい瞬間だ。そして、レースを通して僕を指導してくれたすべてのパートナー、エンジニアリンググループに感謝している。本当に信じられないよ!」
そんな興奮の余韻も冷めやらぬなか、レース2をポールポジションからスタートしたウッドは、スタートでキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)やマット・ペイン(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)に先行されたものの、すぐに追いつきトップを奪い返す実力と勢いを披露する。
しかし、左リヤサスペンションが破損してコースオフすると、修理のためにピットインを余儀なくされ万事休す。ピットストップのルーティン完了後は、選手権首位のフィーニーがレースを支配し、僚友ブラウンを従えワン・ツーフィニッシュを決めた。
「このレースで勝つのはかなり難しいかもしれないと思った。追い抜くのは本当に大変だったし、ウッディが逃げてしまっていたからね」と振り返った勝者フィーニー。「今は(各車の)差がすごく狭い。彼(ウッド)は明らかに素晴らしい仕事をしているし、僕自身も何度かコースを外れそうになった。でも僕らは挽回できると思ったし、ピットストップは素晴らしく戦略も最高だったね」
明けた日曜の予選シュートアウトでもそのまま今季6度目のポールポジションを獲得したフィーニーは「非常にチャレンジングなセッションで、ターン6ではオイルが溜まっていた」と語りつつ、宿敵のウォーターズをコンマ2秒も突き放す驚異のタイムで最上位発進の権利を確保すると、週末最終ヒートも完全支配。
車両回収のためセーフティカー(SC)が作動している間に、上位陣の中で最後に2回目のピットストップを終えたペインが背後に迫るなか、フィーニーは0.6秒差でフィニッシュラインを通過し、チャンピオンシップにおけるリードを72ポイントにまで拡げることとなった。
「最高だった。スタートダッシュを完璧に決めて、最初の2スティントはなんとかレースをコントロールできた」とフィーニー。「ピットストップとセーフティカーのおかげで、フィニッシュまでは順調に進むはずだったが、マット(・ペイン)は終盤ですごく速かった。僕らのクルマはタイヤの管理が本当にうまいから、最後のスプリントも安心だったね。前回は彼に先を越されたから、今回はいい形で挽回できたと思う」
そしてもうひとり。SCの間隙を突いたのが3位表彰台をもぎ取ったジェームス・コートニー(ブランシャード・レーシング・チーム/フォード・マスタング)で、13番手スタートからポディウム圏内に躍進し、引退イヤーを戦う元王者がチームに初の表彰台をもたらした。
「正直に言うと、インラップで泣いてしまった」と感極まった様子で明かした全日本F3選手権王者でスーパーGTでも活躍した44歳のコートニー。
「彼らにとって、この18カ月間は大変な時期だった。ドライバーの離脱、エンジニアリングの変更、そしてペース不足など、彼らは本当に多くの努力を重ねてきた。そして、ついに結果で彼らに報いることができたのは素晴らしいことだよ」とリスタートのターン6でウッドに決定的なタックルを浴びせた2010年チャンピオン。
「予選は苦戦したが、フレッシュな空気が入ったことでチームは素晴らしい戦略を立ててくれた。昨日のウッディと同じような気分だが、理由は少し違う。良いタイヤが使えると分かっていたから、すぐにエンジニアのクリス(・フィッツジェラルド)に周りのみんなのタイヤライフを尋ねたんだ」
「これ以上うれしいことはない。家に帰って子供たちに会うのが待ち切れないよ。それに、しばらくはここから動かないつもりだ。みんなで集まって写真を撮って、モータースポーツは良い日よりも悪い日の方が多いから、本当に楽しもう……」
続く2025年のRSCシーズン第6戦は、ノーザンテリトリー州ダーウィン郊外に位置するヒドゥンバレー・レースウェイにて、6月20~22日に『Darwin Triple Crown(ダーウィン・トリプル・クラウン)』が待ち受ける。
https://www.youtube.com/watch?v=u1UowXGptsY
[オートスポーツweb 2025年06月11日]
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