■感性に訴えかけてくる「ランクル“ミニ”」が初公開
あの「FJクルーザー」が、令和の時代に帰ってきました。2025年10月21日に発表され、「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」にも出展された新型「ランドクルーザーFJ」です。
【画像】超カッコいい! これがトヨタの「ちいさな“新型”ランクル」です! 画像で見る(30枚以上)
往年のDNAを継承しつつ、時代に即して再構築されたデザインに仕上がっています。
2025年10月21日、トヨタは突如として、新型ランドクルーザーFJを世界初公開しました。
JMS2025にも出展され話題となっています。「いつ出るのか」「本当に出るのか」とファンの間でささやかれてきた伝説の系譜が、ついに現実のものとなりました。
レトロとモダンが見事に融合したデザインは、往年のFJクルーザーを知る世代にも、魅力的に映ることでしょう。
かつてのFJクルーザーは、2006年に北米で販売が開始となったモデルで、日本国内では2010年から2018年まで販売されていました。
ランドクルーザー「FJ40」をモチーフにしたレトロフューチャーな外観が特徴的なモデルで、両側観音開きのドアや大きく張り出したフェンダー、リアへ回り込むクオーターウィンドウなど、北米市場を意識した力強い造形となっていました。
そんな名車のDNAを受け継いで誕生した新型ランドクルーザーFJ(以下、ランクルFJ)は、同社の「ランドクルーザー250(ランクル250)」のイメージもベースとしながらも、全長と全幅をコンパクトにまとめつつ、デフォルメされた「カッコ可愛い」存在感のあるスタイルが特徴。
ボディサイズは全長4575mm×全幅1855mm×全高1960mm。全長こそ短いものの、ランクル250よりも30mm以上背が高く、ホイールベースもランクル250比で270mm短い2580mm。
スクエアでサイコロのようなフォルムということもあり、サイドビューではどこかコミカルで親しみやすい印象を与えます。
エクステリアは、角型ヘッドライト(オプションで丸目も設定)や無骨なバンパーとフェンダー、サイドアンダーガードなど、本格オフローダーらしい装備が満載。これらの樹脂パーツ類はすべて別体構造で、傷や破損時に交換しやすい点も実用的です。
リアハッチは、下半分をブラックアウトしたボディパネル、上半分をガラスハッチとした構造で、一枚の大きなガラス扉のように見えるユニークなデザイン。
ランクル250や兄貴分の「ランドクルーザー300」にはない「背面タイヤ」を装備しているのも大きな特徴で、まさにFJクルーザーの系譜を感じさせます。
リアハッチの開閉方式は右ヒンジの横開き。背面タイヤ車特有の重量バランスを考慮した開閉方式ですが、スペアタイヤが省略される傾向にある中、時代の流れに逆らってでも背面タイヤを残した点に、トヨタのこだわりがにじみます。
JMS205に出展されていた展示車が装着していたタイヤサイズは265/60R18で、ランクル250の265/65R18に匹敵する大径・ワイドサイズ。たくましい足元がボクシーなボディと絶妙にマッチしていました。
インテリアもまた、ランクルシリーズらしい無骨さと実用性を両立しています。
ステアリングホイールやダッシュパネル、水平基調のインパネデザイン、12.3インチのセンターディスプレイとフル液晶メーターなど、デザインや先進装備はランクル250とほぼ同等。
シフトノブも他のランクルシリーズと同様のレバータイプで、その右側にはH2/H4/L4の切り替えセレクターやヒルアシストコントロールのスイッチが配置されており、走破性を支える装備も充実しています。
サイドブレーキはレバー式ながら、シートヒーターやステアリングヒーターといった快適装備も確認できます。リアシートはフロントシートよりもやや高い位置に設置され、視界と開放感を確保。5:5分割式の構造で、実用性にも優れています。
※ ※ ※
単なる「復刻モデル」ではなく、感性に訴えかける一台に仕上がっているランドクルーザーFJ。
かつてFJクルーザーに胸を熱くした世代も、今回初めてその名を知る若い世代も、このデザインには心を動かされることでしょう。
日本市場への導入は2026年年央ごろを予定していることのこと。効率やコスパが求められる令和の時代に、次々と新型の本格クロカンSUVを投入するトヨタ。その勢いと、次なる展開にも引き続き注目したいところです。(吉川 賢一)
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