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マッチョにも程があるオーバーフェンダー! 日産240RSという悲運の名車

ラリーのナンバー付きホモロゲモデルとして登場

 今でこそ、というか四半世紀前から、ラリーと言えば4輪駆動(4WD。もしくは全輪駆動=AWD)の天下が揺るぎないものになっていますが、1980年代前半、グループBの発展期にはWRCでもイベントによってはハイパワーの後輪駆動車が、活路を見出していました。

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 サファリ・マイスターと呼ばれた日産の主戦マシン、バイオレットGTの後継モデルとして1983年シーズンの世界ラリー選手権(WRC)にデビューした日産240RSも、そんなハイパワーの後輪駆動車でした。今回はそんな日産240RSのロードゴーイングモデルを紹介しましょう。

競技用に専用開発したFJ24を搭載する究極のFR

 バイオレットGTの後継モデルとして1983年から4シーズンを戦った240RSは、FJ24を搭載した後輪駆動車でした。歴代の日産ラリーカーのなかではブルーバード1600SSS(P510)から240Z(国内名はフェアレディ240Z)、ブルーバードU、バイオレット1600SSS(P710)、バイオレットGT(A10)と継承されてきたL系に替えて搭載されています。このFJ24エンジンは、最強のスカイラインと謳われたスカイラインRS(DR30)に搭載されていたFJ20の排気量を拡大したユニットとも理解されていますが、じつは共通部品も少なく、ほぼ完全に設計し直された競技用エンジンです。

 直4のL系には、スポーツオプションとして16バルブのツインカムヘッドを搭載したLZ系がありました。その最終進化形となったLZ20Bは、シルビア(S110系)のグループ4仕様に搭載されていましたが、ベースモデルで215psだったのに対して、240RSのベースモデルに搭載されていたFJ24は240ps、ワークスモデルでは280psにまでパワーアップ。LZ20系からFJ24へのパフォーマンスアップは明らかでした。

 残念ながら、WRCにおいては期待されていたような好成績を残すことはできず、デビューシーズンのニュージーランドラリーでの2位がベストリザルト。もっとも期待が高かったサファリラリーでは結局、優勝することができませんでした。

 これは時代がもう、グループBの4WDへと趨勢が移りつつあったためで、1983年のサファリでは熟成されつくしたオペル・アスコナ400(グループB)を駆るベテランのアリ・バタネンが優勝を飾っていました。続いてハンヌ・ミッコラとミッシェル・ムートンのアウディ・クアトロが2-3位につけ、ジャイアント・シャーの240RSは4位にとどまっていました。

 翌1984年からはトヨタがグループBの後輪駆動ながらターボでパワーを絞り出しているセリカ・ツインカムターボを投入。240RSはマイク・カークランドがオペル・マンタを破ったものの、ターボパワーで優位に立ったセリカ・ツインカムターボが1-2フィニッシュを飾り、240RSは3位がやっとというありさまでした。

 そしてグループBの最終シーズンとなった1986年まで戦った240RSは、結局NAの後輪駆動とパッケージ面での不利を覆すことなく現役を去ることになってしまいました。

シャープなシルビアから生まれた骨太のデザイン

 そんな、ある意味“悲運”さえ感じさせる240RSでしたが、そのエクステリアデザインの秀逸なことでは今でもなお、ライバルに負けず劣らずの高い人気を誇っています。基本的にはベースとなったシルビア(3代目S110系)のクーペ・モデルに、前後オーバーフェンダーとリヤスポイラーを装着しただけですが、シャープな印象の強かったS110が、骨太のデザインに一新されていました。

 オーバーフェンダーといえば、1970年にデビューしたスカイラインGT-R、いわゆる“ハコスカ”がその嚆矢とされています。さらに、翌1971年に登場したフェアレディ240Z-Gや、さらに翌1972年に登場したカローラ・レビン/スプリンター・トレノも、オーバーフェンダーをよりポピュラーにしたモデルとして記憶されています。

 これらに共通しているのは、ホイールアーチに沿った円形のデザインです。これに対してフェンダーを全体的に、あるいはより広い範囲で膨らませたものをブリスターフェンダーと呼んで区別しています。

 先駆けとなったのは1973年にデビューした、スターレット(初代のKP47系)のN2仕様レースカーが装着していたオーバーフェンダーがこう呼ばれ、反響を呼んでいたことが思い起こされます。ちなみにトヨタではその後もカローラ・スプリンター・グランドカップに参戦するN2規定のAE86用に、ブリスターフェンダーをスポーツオプションで用意していたことがありました。

 もっとも、先に触れたKP47系スターレット用のそれに比べると幾分はは控え目なデザインではありましたが。こうした“レーシーな”オーバーフェンダーに比べると、240RSが装着していたそれは、デザイン的にもまったくの別もの。意外なようですが、クロスカントリー(CX)4WDのそれに近いものが感じられます。

 ラリーカーにとってオーバーフェンダーは、ロードカーなら幅広タイヤを装着した際のタイヤを覆う(カバーする)ことが必須ですが、それよりもマッドガード、つまりタイヤが跳ね上げた泥や砂利をボディ本体に寄せ付けないようにすることの方が重要になっています。だからこそ膨らんだオーバーフェンダーに対して、タイヤが細くてミスマッチ的なラリーカーが多いのでしょうか?

 それはともかく、ベースモデルのシルビアがシャープなデザインでまとまっているのに対して、CX4WD的なオーバーフェンダーを装着した240RSは、より骨太のイメージが湧くのだと思われます。PRINCE GARAGEかとりで取材した240RSはナンバー付きのロードカーで、それ自体も珍しいのですが、つぶさに観察して幾つもの新発見がありました。ここではスペースも限られているので、もっと掘り下げたレポートはまた機会をあらためてご紹介したいと思っています。どうぞご期待ください。

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