■小型ミニバン市場 約40年前と今の違いとは
日本自動車販売連合会(自販連)の発表では、登録車(輸入車除く)の新車販売台数ランキングにおいてトヨタの小型ミニバン「シエンタ」が2019年8月、9月と2か月連続で1位となっています。
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ミニバンが1位を獲得したのは今回のシエンタが初となっており、小型ミニバンとしてだけでなくミニバン全体からみても注目すべき存在です。
そんななか、いまから40年近く遡る1980年代前半にも、「小型ミニバン」は存在していたのですが、いまほどの人気はなかったといいます。当時といまのミニバン市場では、いったいどのような点が異なるのでしょうか。
2019年現在、シエンタは販売ランキングで好調となっているほか、同年10月18日には、同じ小型ミニバンのホンダ「フリード」がマイナーチェンジをおこないます。近年流行となっているSUV風の外観を持つ「クロスター」という仕様を追加するなど、力の入ったマイナーチェンジです。
フリードは2019年9月の販売ランキングで9位となっていて、シエンタにどこまで迫ることができるのか、今後の販売状況が注目されます。
ミニバンは根強い人気を保ち続けているボディタイプではあるものの、そのなかで小型タイプの市場はとくに盛り上がりを見せているといえます。
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ミニバンという言葉の明確な定義や、いつからいちジャンルとして名前がついたのかは定かではありませんが、概念ができ始めたのは1980年代に米クライスラーの「ダッジ・キャラバン」が、アメリカにおけるフルサイズバンに対する「ミニ」バンと定義されはじめたのが最初だといわれています。
そして、1982年に日本でも、いまの小型ミニバンに近い日産「プレーリー」が発売されます。
プレーリーは全長4090mm×全幅1655mm×全高1600mmのボディを持ち、両側スライドドアと3列シートを装備。
シエンタと比較すると、2015年発売の2代目(現行モデル)が全長4260mm×全幅1695mm×全高1675mm(2WD)、2003年発売の初代が全長4100mm×全幅1695mm×1670mm(2WD)と、当時のプレーリーは初代シエンタにとくに近い寸法となっていることがわかります。
また、エンジンがフロントに搭載されていて乗用車的な外観を持つことも特徴でした。日産は現在ウェブサイトで「今日のミニバンの草分け的な存在」として紹介しています。
また、同じ1980年代前半には、3列シートの、より小型なクルマとして、ワンボックスタイプのスバル「ドミンゴ」(1983年発売)も存在していました。
軽ワンボックスカーがベースだったこともあり、エンジン位置はフロントではなくリアとなっていて、ボディサイズは全長3425mm×全幅1430mm×全高1870mm(2WD)とまさに軽自動車クラスでした。
同様に軽ワンボックスカーをベースとした小型多人数乗用車としては、2000年に発売されたダイハツ「アトレー7」および姉妹車のトヨタ「スパーキー」、2001年に発売されたスズキ「エブリイランディ」なども存在します。
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1980年代は、ミニバン市場は小型の「プレーリー」も含めそれほど活況とはいえない状況でした。その後、1990年代初頭のレジャー人気や、バブル景気崩壊後に“1台で大勢が一度に移動できる”ことが重視されはじめるなど、さまざまな要因が重なり、車種数も増加してミニバンブームへと繋がります。
1990年代からのミニバンブームについて、日産の元販売店スタッフは「当時は、初代『エルグランド(1997年発売)』や初代『セレナ(バネットセレナ:1991年発売)』が好評でした」と当時を振り返ります。
「その後、トヨタの『ノア/ヴォクシー(2001年発売)』などが登場し、その時期のことは我々の業界で“第二次ミニバンブーム”と呼んでいますが、子連れで来店されるお客様からミニバンの広さに関する質問が多かったのを覚えています」(同元スタッフ)
■打倒「シエンタ」目指した? かつて存在した日産の小型ミニバンとは
その後、小型ミニバン市場に現在へ続く変化が起きたのは、2001年です。この年に、ホンダが新規車種として「モビリオ」を発売します。
3列シートを備えながら全長4055mm×全幅1685mm×全高1705mmの扱いやすいボディサイズで、ヨーロッパの路面電車をモチーフとした外装デザインも特徴的でした。2002年の登録車販売ランキングではTOP10に入るなど、人気モデルとなります。
2001年当時、トヨタにはカローラブランドで3列シートを備えた全長約4.2mから4.3mの「カローラスパシオ」があったものの、同社は新規車種を開発。初代「シエンタ」を2003年に発売しました。
全長4100mm×全幅1695mm×1670mmと、扱いやすい大きさで同じく人気となり、また2003年には日産も「キューブキュービック」で小型ミニバン市場へ参戦。大手国産3メーカーがそれぞれ睨みを効かせる人気カテゴリとなったのです。
その後、モビリオはモデルチェンジで「フリード」に改称され、いまに至ります。現在販売されているのはフリードとして2代目モデル、シエンタも同じく2代目モデルです。
シエンタは、2018年にシリーズ初の2列シート仕様がラインナップされていますが、これも、フリードには2列シート仕様があったことを意識してのラインナップだったといわれています。
トヨタの販売店スタッフも「『シエンタ』は、サイズ的にもスペック的にも、『フリード』とよく比較されていました。お客様からも『シエンタ』に『2列シート仕様』を追加してほしいという要望をいただいていました」と話します。
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このような状況のなかで、日産は2019年現在小型ミニバンをラインナップしていません。
前述のキューブキュービックは、2代目キューブのホイールベースを延長して3列目シートを装着した派生モデルという立ち位置でしたが、3代目キューブではラインナップされませんでした。さらに、ベースモデルのキューブも2019年12月に生産が終了されます。
日産は現在国内市場でラインナップするモデルを絞り込む傾向にありますが、日産が小型ミニバンを再びラインナップすれば、より市場に盛り上がりが出るのではないでしょうか。
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