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初代NAを電動化 エレクトロジェニックMX-5(ロードスター)へ試乗 お金持ちのおもちゃ?

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初代NAを電動化 エレクトロジェニックMX-5(ロードスター)へ試乗 お金持ちのおもちゃ?

見た目や操縦性はそのまま でも本当に速い

「トルクフルな初代MX-5(ロードスター)ってどんな感じ?」。同僚が、冗談交じりに聞いてくる。

【画像】初代ロードスターを電動化 エレクトロジェニックによる他モデル オリジナルのNAとNDも 全127枚

グレートブリテン島中南部、オックスフォードシャー州に拠点を置くエレクトロジェニック社は、その名の通り、クラシックカーの電動化を得意とする技術企業。優秀なスタッフによって、初代のNA型ロードスターを電動化するキットが開発された。

4気筒エンジンは、電気モーターへ置換。最高出力は162psだが、最大トルクは31.6kg-mもある。駆動用バッテリーの容量は、42kWh。5速MTは、1速リダクションへ交換される。

本来のロードスターのように操縦でき、乗り心地も良い。しかし、本当に速い。0-100km/h加速は6.0秒。特に発進直後から50km/hまでは凄まじい。その体験は、オリジナルのそれとはまるで異なる。5500rpmまで引っ張る必要はない。

ライバルを考えると、MGサイバースターが電動の2シーター・ロードスターという点で合致する。ホンダS2000は、クラシック・ジャパニーズとして合致するだろう。価格は抜きにして。

完璧にもとへ戻せるよう、キットは仕上げられている。ボディシェルへ穴を開ける必要はなく、英国では従来のナンバープレートも維持できる。車検証は、パワートレインの項目が、電動となることくらい。

キットはマツダでもミアータでも、1989年から1997年式までのNA型ロードスターに対応し、外観はオリジナルのまま。充電ポートは、従来の給油口に仕込まれる。作業は1週間で完了するそうだ。

運転へ集中できるタイトなコクピット

車内にシフトレバーは残るが、実際は1速ATのセレクター。前へ倒すとD、引くとRに入る。燃料計は、バッテリーの残量計。グローブボックスの内側には、より正確なバッテリー・メーターが隠れている。

スピードメーターは従来どおり。クラシカルに、針がガクガクと動くのがうれしい。タコメーターは、見た目を変えることなく、走行時の放電/充電状態が表示される。

ドライバーの足もと正面には、ペダル。ステアリングホイールも、ど真正面。着座位置は低く、運転へ集中するのに邪魔するものがない、タイトなコクピットが心地良い。ハンドブレーキも、1990年代らしくレバーで操作する。

ドライブモードは、エコ、ノーマル、スポーツの3段階が実装される。使用機会が減ったという理由で、コインホルダーは省かれているが。駆動用バッテリーはボンネット内と、燃料タンクのあった場所へ、分散され積まれている。荷室が削られたりはしていない。

試乗車は、顧客へ納車予定の第1号とのこと。ステアリングホイールとシフトノブは、1990年代らしいナルディ社製が組まれていた。

注文した人物は、ロンドン在住。スピードリミッターの追加を希望されたそうで、センターコンソール部分に時速20マイル(約32km/h)と30マイル(約48km/h)、オフから選べるようになっていた。

路面のうねりへ息を合わせるように追従

それでは、テストコースへ。動力性能は、ドライブモードで大きく変わる。馬力的には、エコ・モードが本来のNA型ロードスターへ近いといえる。ノーマル・モードは、2.0LエンジンのNC型へ近い。

しかし、パワーデリバリーはどんなロードスターとも異なる。スポーツ・モードでは、31.6kg-mの大トルクがリアタイヤを完璧に打ち負かす。リアデフは、リミテッドスリップではない。

タイヤは、フロントがトーヨー・プロクセスだが、リアはローグリップなラピッドP309を履いていた。ステアリングホイールできっかけを与えれば、25%程度のアクセルペダルの開度でも、トラクションが抜けドリフトが始まる。

オリジナル状態のサスペンションは、柔らかくしなやか。路面のうねりへ、息を合わせるように追従し、テールスライドを自在に調整できる。丁寧に扱えば、タイヤの減りは最小限に抑えられるはず。右足の加減で、速度調整も至ってしやすい。

ただしアクセルオフ時の反応は、自然吸気の4気筒エンジンとは異なる。僅かにパワー調整が難しく、遥かにトルクが太いことを意識する必要はある。

ステアリングホイールを思いきり切り、50%くらいまでアクセルペダルを倒せば、くるりと90度ターンも簡単。電子的なアシストは基本的にないが、開発者はクルマのことを深く理解する人に違いない。

美しいと表現したい回頭性 リカバリーは容易

ノーマル・モードでも、充分トルクフル。滑りやすい路面では注意が必要だろう。パワーウエイトレシオは、オリジナルでは142ps/tだが、こちらは147ps/tとなる。

とはいえ、予期せずテールが流れても、リカバリーは容易。ステアリング系はオリジナルのままだというが、ダイレクトで軽く回せる。細身のリムを通じて、しっかり情報が伝わり、コミュニケーション力は高い。ただ重いだけの、それとは異なる。

電気自動車と聞くと、重さが気になるところだが、車重は約1100kgとのこと。エレクトロジェニックは、100kg増しに留めている。

これが、本来のロードスターらしい操縦性を味わえる鍵といえる。前後の重量配分も、ほぼ50:50とのことで、回頭性は美しいと表現したくなるほど。

電費効率は4.8-6.4km/kWh程度で、航続距離は複合条件で257kmがうたわれる。エコ・モードで市街地を流すような環境なら、320kmに届くと同社は予想する。反面、真冬の高速道路では250kmを大きく下回るだろう。

急速充電器に繋げば、残量10%まで80%まで、45分で回復可能。一般的な家庭用のAC充電器では、5時間程度が必要になる。

趣味グルマとして出色の完成度 お金持ちの玩具?

趣味のクルマとして、エレクトロジェニックのロードスターは出色の完成度にあると感じた。楽しさはそのままに、特別感があり、メンテナンスの手間は減っている。見た目は変わらず、知る人ぞ知る、といった雰囲気も好ましい。

リアがエコタイヤでなければ、もっと運転は楽しめたかもしれない。実際、引き合いは多いとか。その大部分は、北アメリカ大陸からのものだという。

肝心のお値段だが、まだ未定だという前置きをしつつ、ベース車両抜きで約3万5000ポンド(約682万円)程度からだろうと、スタッフは口にしていた。裕福な人のためのおもちゃ、といっても過言ではないかもしれない。

この予算があれば、状態の良いNA型ロードスターを7台は買えるだろう。中古のポルシェ・ボクスターとフィアット500eという、魅力的なペアを揃えることもできる。DOHC 4気筒の響きと5速MTの操作が、懐かしいと感じたことも明かしておこう。

◯:パワフルなガソリンエンジンのロードスター的 コンパクトに集約された電動パワートレイン 積極的に運転すれば、活発に振り回せる
△:他のモデルを考えたくなるほど高価 パワートレインの味わいが淡白 メカニカルなフィードバックが薄い

エレクトロジェニック・マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)のスペック

英国価格:約3万5000ポンド(約682万円)から(予想/キットのみ)
全長:3970mm(オリジナルNA型)
全幅:1675mm(オリジナルNA型)
全高:1235mm(オリジナルNA型)
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:6.0秒(予想)
航続距離:257km(予想)
電費:4.8-6.4km/kWh(予想)
CO2排出量:−
車両重量:1100kg(予想)
パワートレイン:電気モーター
駆動用バッテリー:42.0kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:162ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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