シティターボ(1982年9月21日発売) 「まさにボーイズ・レーサー!」
1982年9月21日、ホンダは背の高いユニークな『トールボーイデザイン』の『ホンダ・シティ・シリーズ』に、ターボチャージャー付エンジンやホンダの独自開発による電子燃料噴射装置などの新技術を採用した小型高性能ターボ車『ホンダ・シティターボ』を加えた。
【画像】1980年代にデビューした懐かしいホンダの名車たち 全36枚
この『シティターボ』は、シティのもつ優れた動力性能と燃料経済性をもとに、ターボ付エンジンの極限を追求して開発。エンジンは、シティで採用した燃焼効率の高いコンバックス(高密度速 炎燃焼原理)エンジンをベースに、さらに高効率化を図ったニューコンバックスエンジンを搭載。
これに高過給圧(0.75kg/cm2)を生み出す小型、高回転ターボチャージャーやホンダが独自開発をした高感度な電子燃料噴射装置(PGM-FI)を採用。さらに、高出力化にともなうエンジン構造の強化と徹底した摩擦抵抗の低減を図るなどにより、今までのターボ 車では類を見ない出力、トルク向上率50%アップを実現した高出力(100ps)と 高トルク(15.0kg-m)を発揮。同時に、ターボ車ではトップの低燃費18.6km/L(10モード燃費)も合わせて実現していた。
スリーサイズは全長3380mm、全幅1570mm、全高1460mm、ホイールベースは2220mm、車両重量は(わずか)690kg(!)。価格は109万円だった。
その走りは非常に過激でヤンチャなものだった。ターボの過給が見た目でわかるブーストメーターがフルブーストを告げると、5速マニュアルトランスミッションが1速、2速ではホイールスピンが発生し、専用のバケットシートのヘッドレストに頭が押さえつけられるように加速した。コーナリングも然り。アクセルのオンオフでクルマの向きが面白いように変わる反面、ウェット路面では「手に追えない」シーンもあった。
当時としては珍しく、速度レンジ『H』の高性能タイヤ(12インチ)を履いてはいたが、非常に軽い車重に加えて、ピーキーで高出力なエンジン、そして現代のクルマのようにESPやABSなどの安全装備を持っていなかったから、過激な走りであったのは当たり前と言えば当たり前だ。危険と言えば危険なクルマだが、愉しかったのもまた事実である。
シティ・ターボII(1983年11月10日発売)「過激というより迫真の速さ!」
シティターボの登場からわずか1年ちょっと。ホンダはさらに高性能な『ホンダ・シティ・ターボII』を、1983年11月10日に発売した。
エンジンは、シティ・ターボII専用に燃焼室形状を一段と発展させ、アンチノック性能をさらに向上させた『ニューコンバックスエンジン』を採用。また、このクラスに初めて小型、高効率のインタークーラーを装備し、無鉛ガソリン車で世界最高の過給圧0.85kg/cm2を達成。
それと同時に高過給圧を生み出す小型、高回転ターボチャージャーや、つねに最適空燃費にコントロールする高感度な電子燃料噴射装置(PGM-FI)を採用。また、さまざまな運転状況のもとでもその能力を十分発揮させるために、過給圧を制御するウエストゲートコントロール機構にもPGM-FIを採用した。
これにより、小型でわずか1.2Lのエンジンから最高出力110ps、最大トルク16.3kg-mという高出力、高トルクを達成しながら、低燃費化(17.6km/L 10モード燃費)も合わせて実現した。
さらに、エンジン回転が4000rpm以下でスロットルを全開にした場合、過給圧を10秒間約10%もアップするスクランブルブーストを実現。アクセルを踏み込んだ瞬間の強力な加速応答性を可能としていた。また、エンジンの高出力をささえる総合性能の高いサスペンションや、新設計の超ワイドトレッド(フロント1400mm、リア1390mm)により走行安定性にすぐれた設計としていた。
外観デザインは、ダイナミックフェンダー、ボディと一体感のあるエアロスカート、ビックパワーバルジなどにより、走りのイメージをより印象づけている。さらに室内は、スポーティな機能性と、ロングツーリングにも適したハイクオリティな感覚をバランスさせた居住空間を実現していた。
シティ・ターボIIのスリーサイズは全長3420mm、全幅1625mm、全高1470mm、ホイールベースは2220mm、車両重量は735kg。価格は123万円となっていた。
運転してみるとシティターボとの差は歴然としているが、それは特にコーナリングで感じられる。アクセルのオンオフで激しくアンダーステアやタックイン(FF車がアクセルオフでコー内の内側に回り込もうとすること)の癖が穏やかになり、オンザレール感覚でワインディングロードを攻め込むことができるのだ。もちろん、エンジンの性能やブレーキ性能の強化も感じることができ、スポーツカーのように思いどおりに操れるようになった。
『ブルドッグ』の愛称で親しまれたシティ・ターボIIは、ダイナミックフェンダーの迫力あるルックスとは裏腹に「いい意味で少し洗練された」ホットハッチであった。
バラードスポーツCR-X Si(1984年11月1日発売)「これぞホンダのDOHC!」
世界最高峰の自動車レースであるF1で培かったホンダ独自のエンジン技術をもとに開発した、小型高性能DOHC16バルブエンジン(1590cc)搭載の『ホンダバラードスポーツCR-X Si』。発売されたのは1984年11月1日で、価格は150万3000円だった。
このDOHCエンジンには、市販乗用車で世界初の4バルブ内側支点スイングアーム方式のシリンダーヘッドを採用。これは、カムシャフトをバルブの内側に配置し、ピボットを支点にしたスイングアームがバルブを作動させるもので、これにより吸気バルブで10.3mm、排気バルブで9.0mmのハイリフトを達成。吸排気効率を大幅に向上させ高回転、高出力化を実現させるとともに、シリンダーヘッドのコンパクト化を実現した。
また、カム形状に沿って内部を肉抜きした、世界初の異形中空カムシャフトや小型軽量の4連アルミシリンダーブロックを採用するなど数々の軽量化を計り、高性能と小型軽量化を両立。さらに、火炎伝播と燃焼効率にすぐれたペントルーフ形燃焼室やセンタープラグ方式の採用、吸排気の脈動効果にすぐれた等長インテークマニホールドや4-2-1-2のエキゾーストシステムの採用などが相まって、135ps/6500rpmの最高出力と15.5kg-m/5000rpmの最大トルクを実現。14.8km/L(10モード走行燃料消費率)のすぐれた燃料経済性を同時に達成した。
針が舞い上がるようにレッドゾーンに吸い込まれていくサスペンションは、フロントに操縦性、回頭性にすぐれたトーションバーストラット式サスペンションを、リアには路面追縦性にすぐれたトレーリングリンク式ビームサスペンションを採用。また、新設計の等長ドライブシャフトを採用し、DOHCのパワーを均一に前輪に伝え、発進時やコーナーリング時の安定性をさらに高め、スポーティな走りを可能としていた。
これにより、バラードスポーツは、1983年9月のフルモデルチェンジで明快な個性としたシリーズをさらに充実させ、より走りをもとめる向きにも答えられるものとなったと言えるだろう。
思い起こせば、相変わらずヒップポイントの低いシートに座りエンジンを掛けると、低く唸るようなエキゾーストノートが響く。ギアシフトを1速に入れ軽めのクラッチペダルをミートして走り出すと、低い回転域から太いトルクを発生していて運転しやすい。
そこから全開加速を試みると、ツインカムらしいメカニカルノイズを響かせながら、レブカウンターの針が舞い上がるようにレッドゾーンに吸い込まれていく。860kgの車重だから速いのは当然だが、FF車に関わらず全開加速でもハンドルが取られることもなく、コーナリングマナーもいい。腕に自信のある手練れが本気で走ってもクルマがついてきてくれる。本当に愉しいクルマだった。
CR-X SiR(1989年9月22日発売)「 この速さ、尋常じゃない!」
ホンダは1989年9月22日、スタイルに加え俊敏な走りと扱い易さで高い評価を得ていた『シビック&CR-X』シリーズの装備を充実。新たに自然吸気エンジンでリッターあたり100ps(排気量1.6Lで最高出力160ps)の驚異的なハイパワーを達成、しかも、力強い低、中速性能を高いレベルで両立させた可変バルブタイミングリフト機構のDOHC VTECエンジンを、シビック3ドア(SiR、SiR II)とCR-X(SiR)に搭載した。
併せて、新開発のビスカスカップリング式L.S.D.(リミテッドスリップデフ)を採用するなど、走りの機能をさらに際立たせた。
価格はシビック3ドアSiRが145万9000円、SiR IIが153万9000円、CR-X SiRが154万7000円。
VTECエンジン搭載のシビック&CR-Xはジムカーナなどモータースポーツの世界でも大いに活躍した。1980年代も終わりを告げようとしていたが、こんなに凄いエンジンのクルマが世の中に出るなんて夢にも思わなかった。もちろんこのVTECエンジンの技術は、1990年代初頭にデビューするホンダのスーパースポーツカー『NSX』にも受け継がれることになるのである。
2代目プレリュード(1982年11月26日発売)「デートカーの帝王は走りも一流!」
初代ホンダ・プレリュードは、知的で個性的なFFスペシャルティカーとして1978年11月に発売。以来、その先進的なクルマ造りが日本はもとより、アメリカ、ヨーロッパなどで高い評価を得てプレリュード独自の世界を拓いてきた。
そして2代目となる新型は、これらの実績をふまえ、ホンダ独自の先進技術をあますことなく導入し、FF車の走りの機能と次代のスペシャルティカーとしての資質を徹底追求し開発。エンジンは高性能を誇るだけでなく、全域でスムーズな吹き上がりを発揮する新開発CVCC12バルブ1.8L直列4気筒エンジン(125ps)を搭載。メーカー希望小売価格は当時最上級モデルだったXX(5速MT車)で171万8000円であった。
また、サスペンションは俊敏な操縦性と高速安定性にすぐれたダブルウイッシュボーン型をフロントに採用。さらに、最新エレクトロニクス技術を駆使したホンダの独自開発による日本初の4輪アンチロックブレーキや、機能的で空力特性にもすぐれた設計のスタイリング、軽量、高鋼性のモノコックボディ、高効率ロックアップ機構付ホンダマチック4速車を用意するなど、数多くのホンダ独創のメカニズムで次代のFFスペシャルティカーにふさわしいクルマとした。
全長4295mm、全幅1690mm、全高1295mmが創り出すワイド&ローを基本とした安定感のあるスタイルは、知的な美しさと精悍なスポーティ感を強調し、低エンジン高やスペース効率にもすぐれたフロントサスペンションが寄与して、FF車には他に類を見ない低ボンネット高を実現。リトラクタブルヘッドライト、なめらかなボディ形状などですぐれた空力特性(Cd値0.36)を実現していた。
室内では機能的にレイアウトされたインストルメントパネルや、ホールド性にすぐれたフルバケットシート、小径太グリップのステアリングホイールなど、スポーティな走りを強調していた。
プレリュードの走りは、本当に素晴らしいものだった。数値以上にパワフルに感じる1.8Lエンジン、コクコクと気持ちよくシフトチェンジできるトランスミッション、ワインディングロードなどで感じる高いボディ剛性や、ほぼニュートラルステアと言っていい理想的な操縦性など、乗ってみると「ナンパ」なクルマではないことがハッキリとわかった。
3代目プレリュード(1987年4月10日発売) 「デートを重ねてオトナになった!」
大ヒットした2代目プレリュードの次世代モデルの登場は1987年4月10日のこと。プレリュードを象徴するロー&ワイドフォルムは、低く抑えた全高(1295mm)はそのままに、全長4460mm、全幅1695mmと従来のモデルに比較して拡大(全長85mm、全幅5mm)した超偏平エアロスタイルを創造。
また、エンジンの徹底したコンパクト化と後傾レイアウトの採用により、FF車とは思えない超低ボンネット(ボンネット中央部で従来車比30mm低下)を実現した。
さらに、ボディの凹凸を極限まで削ぎ落した張りのある曲面構成は、サイドを精悍に引き締める低いベルトラインとあいまって、フォルムの美しさを一段と強調。また、バンパーに組込まれフロントからサイドへ大きく回り込んだコーナーラウンドフロントコンビランプや、ターンレンズとテールレンズをつないだリアパネルガーニッシュが、ワイドな印象を一層際立たせていた。
加えて、テールエンドをスポイラー形状にデザインした、ボディと一体成型の流れるようなリアフィニッシュは、優れたエアロダイナミクス効果を発揮すると同時に、矢羽(フレッチング)のイメージで爽快な走り感を強調していた。
快適な乗り心地と卓越した高速直進性、運動性を高次元でバランスまた、ボディとガラス面との段差を少なくする徹底したフラッシュサーフェス化や、整流効果の高いボンネットディフレクターなどの空力処理により、ノッチバックデザインでは優れた空力性能(Cd値0.34)を実現。そして、ボディ剛性にも高次元のクォリティを追求。高強度、高張力鋼板を採用するとともに、各部の構造断面を綿密に設計。高性能な走りを支えるボディ全体の高い剛性バランスを達成しながら、軽量化をも同時に実現した。
極細ピラー採用によるワイドなガラスエリアとサンルーフ位置の前方レイアウト(従来車比56mm)により、優れた超広角視界を確保。また、機能的なメーターレイアウトを採用するなど、コクピット全体をスポーティなイメージでトータルデザインしていた。
搭載されていたエンジンは2種類。まず2.0L DOHC16バルブ+PGM-FI(2.0Si)。ホンダDOHCの技術を結晶した高性能エンジンで、最高出力145ps/6000rpm、最大トルク17.8kg-m/4500rpm(いずれもネット値)。そして2.0L SOHC12バルブ+PGM-CVデュアルキャブ(2.0XX、2.0XR、2.0XL)。1気筒当り3バルブの高効率な吸、排気特性に加え、余裕ある2.0Lの排気量により、SOHCながら高い動力性能(最高出力110ps/5800rpm、最大トルク15.5kg-m/4000rpm、いずれもネット値)を実現。
快適な乗り心地と卓越した高速直進性、運動性を高次元でバランスさせるため、ホンダ独創の新世代4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションを採用。また、ホンダ4WS(4輪操舵)の搭載に対応するため、フロントのサスペンションの基本構造をそのままリアサスペンションにも適用。前後のサスペンションがほぼ同一形式で構成されるタンデムフォーメーションを採用することにより、プレリュードならではの優れた操縦性能とフットワーク特性を生み出していた。
3代目プレリュード、当時試乗したのは4WS仕様の2.0XXだけだが、先代モデルよりさらに静かで快適になり、高速安定性も一段と素晴らしいものになっていた。4WSもよくできており、運転がうまくなったかのように思えたものだ。
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