現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > やはりシュっとしてきた「二枚目ワゴン」──5代目に進化したアウディA6アバントを試す

ここから本文です

やはりシュっとしてきた「二枚目ワゴン」──5代目に進化したアウディA6アバントを試す

掲載 更新
やはりシュっとしてきた「二枚目ワゴン」──5代目に進化したアウディA6アバントを試す

BMWの7シリーズやメルセデスのSクラスといったSセグメントのクルマほど後席のおもてなしや高級志向を要求されず、ボルボV60やCクラスワゴン、A4アバントといったDセグほど実用本位にも縛られない。そういう意味で、Eセグのワゴンは居住性や積載性、動的質感のバランスをドライバーズカ―として究めることのできるカテゴリーといえる。早い話が、クーペのようにパーソナル色は強めだが、室内も荷室も広大で、走りもオールマイティ・エクスプレスという全部載せのチャンピオンでもあり得るから、ぶっちゃけ国産車には存在しないジャンルだ。

このクラスのワゴンがそうなれた理由は、クワトロシステムによるAWDで卓越した高速積載ツアラーとしてキャラを確立した、歴代のアウディA6アバントの功績が大きい。要は「元祖アバント」にはステーションワゴンやエステートといった「荷車系」とは一線を画す、高貴なニュアンスが感じられるのだ。今回登場したのはアウディ100時代から数えて8代目、C4から数えて5世代目にあたるC8型だ。

キャンプに行きたくなるクルマ──フォルクスワーゲン パサート オールトラック試乗記

試乗したのは「A6 アバント 55 TFSI クワトロ Sライン」。全長4950mmに2925mmというロングホイールベース、それでいて全幅は1885mmでルーフレール込みでも全高1465mmというロー&ワイドなプロポーションにまとめられているのだから、ボディの伸びやかさは文句ナシといる。ただし前後フェンダーやショルダーにかけて、緩急をつけた複雑なエッジのキャラクターラインは、エクステリアとしては新しいが、よく見ないとサイズ感も雰囲気も新か旧か、間違い探しのようでもあり、そこが最近のアウディらしいデザインではある。この辺りは好き嫌いを迫る分岐点だろうが、アウディ信者にはむしろポジティブに映るだろう。

室内に目を移すと、ダッシュボード中央からセンターコンソールの間を占めるように、上下2段で配されたワイドスクリーンが目を引く。上が車両情報とインフォテインメント関連、下がエアコンなどコンフォート関連というロジックはなかなか分かりやすい。ドイツ車も物理的なボタンの多さで豪華さを主張する時代ではないことを再認識させる内装で、強いていえばIT企業の重役のガラス張りオフィスのような、そんな雰囲気を感じさせる。継ぎ目・繋ぎ目・合わせ目、すべてみっちりした質感の高さは相変わらずで、偏執的と感じるか精緻で素晴らしいと思うか、いずれそのトゥーマッチぶりで好悪を分けそうだ。

それにしてもいざ走らせると、1930kgもの車重とはにわかに信じ難い軽快さと滑らかさに驚倒させられる。

500Nmもの大トルクが1370rpmから湧き出る力強さと静粛性が交じり合う感覚は、ベントレーすら彷彿させるほどだ。ドライブモードセレクター、つまりアダプティブシャシー機能の切り替えは、エフィシェンシー/コンフォート/オート/ダイナミック/インディヴィジュアルと、5つの設定があって、シフトレバーの向こうに物理スイッチとして配されているのだが、もっともフツーな範囲をまかなう「オート」が、ベントレーでいう「Bモード」に近い気もする。幅こそ意識させられるが、巨体に似合わぬ軽やかさがとにかく印象的なのだ。

それは裏を返せば、内装の継ぎ目のような静的質感と同じく、動的質感の面においても間と間、つまり「閾」となる領域の制御が恐ろしく巧みといえる。48VマイルドハイブリッドとV6・3ℓターボの双方向への移行、そして両者の協調ぶり、さらにはアイドルストップから再発進、コースティングといった動力源切り替えや、7速Sトロニックのトルクマネージメント制御にいたるまで、どのような踏み方をしてもスムーズで調律が効いていると感じられるのだ。ステアリングのフィールはやや乏しいが、「ダイナミックオールホイールステアリング」という標準装備の4輪操舵システムも、軽快さの演出に寄与している。

かくしてスキのない優等生ぶりが先行するA6 アバント 55 TFSI クワトロ Sラインだが、やはり車重の重さは隠せない。瞬間燃費をメーターパネル内に表示させていると、街中では6km/ℓ前後で推移する。高速道路でコースティングする状況が増えればもっと伸びはするだろう。しかし輸入車SUVでディーゼルが圧倒的優勢になりつつある今、このクラスでこの車格のパワーユニットとして、「ディーゼルだったらどうなるか?」という点を意識しない訳にいかない。なにせ本国というか欧州では、286ps・620NmのA6アバント 50 TDIも用意されているのだ。

完全無欠のような1台でいて、じつは矛盾した存在なのか。遠からず市場投入されるであろう本命オールロードの名脇役となるのだろうか、という思いが頭をよぎる。好き嫌いだけでなく、イエスかノーを、かくも強く迫る1台も珍しい。

こんな記事も読まれています

「カワサキコーヒーブレイクミーティング」 アップデートされたファン参加型イベントを聖地オートポリスで開催
「カワサキコーヒーブレイクミーティング」 アップデートされたファン参加型イベントを聖地オートポリスで開催
バイクのニュース
スバルが新型「最上級SUV」発表! オシャブルー映える「新ガイザー」! 約900万円のタフ仕様「アウトバック」伊に登場
スバルが新型「最上級SUV」発表! オシャブルー映える「新ガイザー」! 約900万円のタフ仕様「アウトバック」伊に登場
くるまのニュース
フェラーリ移籍控えるハミルトン、今は勝利目指して全力「そのうちウルフ代表と話す必要がある」
フェラーリ移籍控えるハミルトン、今は勝利目指して全力「そのうちウルフ代表と話す必要がある」
motorsport.com 日本版
日産『キャシュカイ』改良新型、表情を大胆チェンジ…欧州発表
日産『キャシュカイ』改良新型、表情を大胆チェンジ…欧州発表
レスポンス
特別な文字「J」を与えられしたった10台のスペシャルモデル! ついにファイナルを迎えるランボルギーニ・ウラカン「STJ」が登場
特別な文字「J」を与えられしたった10台のスペシャルモデル! ついにファイナルを迎えるランボルギーニ・ウラカン「STJ」が登場
WEB CARTOP
札幌市、2024年度のEV補助金を一律10万円へ 軽EVは5万円 より多くの購入者に支給
札幌市、2024年度のEV補助金を一律10万円へ 軽EVは5万円 より多くの購入者に支給
日刊自動車新聞
発表後わずか1週間でモデル名変更 アルファロメオの新型SUVの名前は「ミラノ」から「ジュニア」へ 一体何があったのか?
発表後わずか1週間でモデル名変更 アルファロメオの新型SUVの名前は「ミラノ」から「ジュニア」へ 一体何があったのか?
AutoBild Japan
【20世紀名車ギャラリー】世界中で高く評価されるJ’sスポーツ・レジェンド、1967年式トヨタ2000GTの肖像
【20世紀名車ギャラリー】世界中で高く評価されるJ’sスポーツ・レジェンド、1967年式トヨタ2000GTの肖像
カー・アンド・ドライバー
日本で登場したら人気が出そう…オペルのコンパクトSUV 新型「フロンテラ」初公開! EVのほか48Vハイブリッドを用意
日本で登場したら人気が出そう…オペルのコンパクトSUV 新型「フロンテラ」初公開! EVのほか48Vハイブリッドを用意
VAGUE
外国人のタクシー&バス運転士が増える可能性大! 海外じゃ当たり前の光景が日本でも広がるか
外国人のタクシー&バス運転士が増える可能性大! 海外じゃ当たり前の光景が日本でも広がるか
WEB CARTOP
マツダ、広島本社で5年ぶりの感謝祭を6月に開催! イベントはどんな内容になる?
マツダ、広島本社で5年ぶりの感謝祭を6月に開催! イベントはどんな内容になる?
くるくら
トヨタ新型「ランクル“ミニ”」登場!? カクカクボディ×マットブラックが超カッコイイ! SUV仕様の新型「ハイラックス“ランガ”」に熱望の声も! 尼で実車展示
トヨタ新型「ランクル“ミニ”」登場!? カクカクボディ×マットブラックが超カッコイイ! SUV仕様の新型「ハイラックス“ランガ”」に熱望の声も! 尼で実車展示
くるまのニュース
ベスパの特別仕様車「140th」 4日間限定販売の140周年記念モデル発表
ベスパの特別仕様車「140th」 4日間限定販売の140周年記念モデル発表
バイクのニュース
リカルド、中国GPで使用する新シャシーは「安心感をもたらす」シート喪失のプレッシャーは否定
リカルド、中国GPで使用する新シャシーは「安心感をもたらす」シート喪失のプレッシャーは否定
motorsport.com 日本版
花粉や黄砂を撃退! 車内環境をアップグレードするエアコンフィルターの魅力~Weeklyメンテナンス~
花粉や黄砂を撃退! 車内環境をアップグレードするエアコンフィルターの魅力~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
自動車税を払い忘れたら?どこで払う?知っておきたい滞納リスク
自動車税を払い忘れたら?どこで払う?知っておきたい滞納リスク
@DIME
自動車税を払い忘れたら?どこで払う?知っておきたい滞納リスク
自動車税を払い忘れたら?どこで払う?知っておきたい滞納リスク
@DIME
写真で見るニューモデル マツダ「CX-80」(欧州仕様車)
写真で見るニューモデル マツダ「CX-80」(欧州仕様車)
日刊自動車新聞

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1554.01588.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.81465.0万円

中古車を検索
7シリーズの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1554.01588.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49.81465.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村