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仲野太賀「現場の空気とか、人間の体温まで映っていた」──短編映画『ラストシーン』公開

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仲野太賀「現場の空気とか、人間の体温まで映っていた」──短編映画『ラストシーン』公開

全編iPhone 16 Proで撮影した短編映画『ラストシーン』が発表された。主演は今、最も旬の俳優、仲野太賀。初の是枝裕和監督作品で、しかも主演でのチャレンジとなった。iPhoneで撮られることは、演技にどのような影響を与えたのだろうか。

“圧”がないだけでこんなに演技しやすいんだ

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完成した短編映画『ラストシーン』を観たとき、仲野太賀はそこに”いろいろなもの”が映っていることに驚いたという。

「iPhoneで撮影したとは思えないクオリティというか、そこにいる人間の体温や、見えないもの、現場でしか感じることのできないものがたくさん映っていると思いました。ここまで撮れるんだというのは、正直驚きしかなかったです」

普段の撮影とは異なる意識があったのだろうか?

「演じるという点では同じだったんですが、iPhoneで撮影して感じたのは、演技のしやすさでした。普段の撮影だと、カメラや照明など大きな機材があってスタッフもたくさんいる。そのなかで演技をするというのは、やはりプレッシャーがありますし、”圧”のようなものを感じるんです。でもカメラがiPhoneだと、機材もスタッフも最小限。圧がないだけでこんなに演技しやすいんだと感じました(笑)」

仲野が演じたのは、脚本家の倉田。倉田は自身が書いた脚本のラストシーンで不本意な改訂を望まれ、しぶしぶそれを受け入れる。そこに現れたのは、「50年後からタイムトラベルしてきた」という謎の女性・由比(福地桃子)。彼女は倉田にある依頼をするために未来からやってきたのだという……。

「是枝監督が当て書きしてくださったということで、等身大に近いキャラクターとして演じることができました。僕は俳優で倉田は脚本家ですけど、ものづくりをする人間としてすごく共感できました。彼が好きな、つくり手の顔が見えてくるようなものは、僕も好きですし、そういうものを大切にしていきたいと思っています。AIがどんどん進化すれば、俳優以上にリアルな演技ができるAI俳優みたいなものが実現するでしょう。でも人間のなかにある創作欲、演じたい、書きたい、撮りたいみたいなものまではたどり着けないと思うんです。だからこそ僕はそれを大事にしていきたいし、倉田もそういう側の人間なんだろうなと思います」

いつかつくり手側の仕事をしてみたい是枝作品への出演はこれが初めて。

「いつか絶対にご一緒したいと思っていたので、すごく嬉しかったです。しかもiPhoneだけで撮影するというチャレンジでもある。どんな作品になるか想像もつかなかったし、撮影前からワクワク感がありました。脚本を読んで感じたのは、時代が進むにつれて失われていくものの儚さのようなものが滲んでいるということ。倉田と由比、ふたりのつながりや距離感が繊細に描かれていて、演じ甲斐があるなと感じました。現場でも演出がとても的確で早い。現場でセリフを加えたり、直したりするんですが、その演出ひとつで芝居が立ち上がり、躍動していくという感じがあり、気持ちがどんどん乗っていける。そういう演出をされる監督は初めてでしたし、すごく感動というか、感慨深かったです」

日常的にiPhoneのシネマティックモードを使って映像を撮ることも多いという仲野。iPhoneは映像撮影のハードルを大きく下げるという印象を持ったという。

「これだけの美しい映像が撮れるということが証明できたわけですから、いろいろな人が手軽にクリエイティブな作業に挑める時代になったんだなと思います。僕自身ですか? いつかつくり手側の仕事をしてみたいという気持ちはあります。僕自身が監督やったり撮影したりというのは難しいと思いますが、プロデュース的な立ち位置で自分の好きな人たちとなにかを作れたら楽しいだろうなと思います」

『ラストシーン』は映画の未来を変えるエポックメイキング的な作品になるかもしれない。

仲野太賀俳優。1993年生まれ、東京都出身。 2006年に俳優デビュー。近年の主な出演映画に『笑いのカイブツ』『熱のあとに』『四月になれば彼女は』『十一人の賊軍』『本心』(すべて24年)、 ドラマに『季節のない街』(Disney+23年、テレビ東京24年)『虎に翼』(NHK)、『新宿野戦病院』(フジテレビともに24年 )。主演を務める大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)が、2026年に放送予定。

写真・加藤彰人 文・川上康介 編集・岩田桂視(GQ)

文:GQ JAPAN 川上康介

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