■「地に足をつけた改革」 モビリティカンパニーへの進化へ
トヨタが2025年3月期の決算説明会を行いました。
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メディアの注目は、やはり「トランプ関税」の影響です。
つまり、これまでの実績よりも「「これから先、どうなるのか?」「トヨタはこれから、どうしていくのか?」という視点で様々な質問が記者たちからトヨタ経営陣に対して飛びました。
まず、2025年3月期(2024年4月~2025年3月)では、トヨタ・レクサス合わせて販売台数が1,027万台。
営業収益は48兆367億円で前期比
2兆9,413億円の増加。営業利益は4兆7,955億円で前年比5.573億円の減少でした。
次に4月から始まっている2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の通期見通しから紹介しましょう。
販売台数は、トヨタ・レクサスで1040万台で、2025年3月期(2024年4月~2025年3月)に比べて126万台増加すると予想しています。
営業収益は48兆5000億円で、4633億円の増加。
一方で、営業利益は9955億円減って、3兆8000億円との見通しです。
この減少分は、為替変動、人などへの投資、そして資材価格や関税の影響をあげています。
ここでいう関税の影響とは、トランプ関税を意味しており、その額は1800億円。
ただし、これは4月と5月の2ヶ月分だけを暫定的に織り込んだもの。
トランプ関税については、日米政府間での通商交渉が進んでいますが、現時点では先行きは不透明と言わざるを得ない状況です。
そのため、場合によっては、トヨタの営業利益がさらに下がるかもしれませんし、仮に日英交渉が成功すれば営業利益が下げ止まることもあり得るはず。
現在、トヨタの日本国内生産台数300万台生産のうち、6分の1相当の50万台がアメリカ向けです。
またこの国内生産台数300万台について佐藤社長は「国内生産を守っていくことはものづくり産業において非常に重要で、揺るがずに守っていきたい」と述べていました。
こうした大企業トヨタの舵取りが極めて難しい時だからこそ、「じたばたしない。地に足をつけて、未来のために足場固めをする」という表現を使い、佐藤社長らトヨタ経営陣が一丸となって事業戦略を思案していることが分かります。
では、「未来のための足場固め」とは、どういうことでしょうか。
それは、トヨタがすでに実施しているクルマづくりとひとづくりへのトライアルを総合的に活用して、生産性を上げることです。
それにより、年間1000万台を支える現場力や、稼ぐ力につなげることだと説明します。
こうした、新車をより多く作り、そしてお客様に届ける「従来型のビジネスモデル」の足場を固めることが、仮にトランプ関税の影響が長引いたとしても、トヨタが成長を止めないことに直結するという考え方です。
至極シンプルな発想ですが、トヨタにとって大きなチャレンジになると思われます。
具体的な試みを紹介しましょう。
例えば、「未来工場」。
背景には、日本の生産人口(16~64歳)がピーク時だった1990年代後半と比べて2040年には2割も減少。
さらに、生産工程では働く若年層(日本では15~34歳)が2010年比で2割減少するという大きな社会変化があります。
これに対応するため、工場での自動化やデジタル化をさらにアップさせたり、キャリアを選択できる多様性や、職場環境の改善による働きやすさも向上させます。
また、車両の仕様情報を、企画、製造、営業、販売店、そしてユーザーで、一気通貫で情報を活用する考え方「OMUSVI」をDX化していきます。
そのほか、各種の改善によって、原価低減と生産性を実現するというのです。
こう聞くと、なんだか「乾いた雑巾をさらにしぼる」ようなイメージを持つ人がいるかもしれません。
ただし、実際にはそうではなく、様々な改善によって、働く人もトヨタも余力を持つことで、安全や品質が上がり、結果的に商品性も上がるという発想です。
その上で、トヨタの収益構造を徐々に変えることで、トランプ関税など世界市場での不確定要素の影響を減らすと言います。
これを説明するには、時計の針を少し戻す必要があります。
今から17年度前の2009年3月期、アメリカを震源に世界経済に多大な影響を与えたリーマンショックです。
同期の連結販売台数は765万台あったのですが、営業利益は4000億円の赤字に転落。手元資金は1.5兆円。
それが、コロナ禍で販売台数の大幅減少となった2021年3月期では、764万台で営業利益2.2兆円・手元資金8兆円を実現しました。
トヨタとサプライヤーがそれまで以上に緊密に付き合うことで、小さな改善を積み上げていった成果だと言えるでしょう。
そして、直近での2025年3月期では936万台で営業利益4,8兆円・手元資金14.4兆円を確保するに至っています。
コロナ禍以降で見ると、1台あたりの限界利益は約1.6倍まで拡大しており、トヨタでいう「稼ぐ力」が向上しているのが分かります。
企業としての基礎体力がついたということです。
こうした中、トヨタが収益のさらなる拡大と安定化に向けて重視しているのが、補給部品や金融事業です。毎年1500億円規模で安定的に成長しているところです。
今後も、こうした新車販売後のバリューチェーンビジネス拡大を狙う戦略です。
そこで重要となるのが、ソフトウェアを中心とした車両開発SDV(ソフトウェイ・デファインド・ビークル)技術開発や、静岡県裾野市のウーブンシティという生活空間における各種実証です。
それにより、車両メインテナンスサービス、コネクテッド技術、そして中古車・用品事業など、保有1.5億台の強みを活かした新ビジネスの開拓を加速させるのです。
※ ※ ※
このように、今回のトヨタ決算説明会では、「トランプ関税でどうなるトヨタ?」という短期的な視点ではなく、トランプ関税を含むグローバルでの難題を足がかりに、トヨタのモビリティカンパニーへの進化が早まりそうな気配を感じました。
ただし、トランプ関税を含めて、世界の政治経済はさらに混迷することも十分予想されますので、トヨタとしては適宜、事業戦略の軌道修正を行う必要がありそうです。
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