「最近のクルマはそう簡単には壊れない」とよく言われる。とはいっても乗り方次第で寿命が変わってくる。そこで13年超クルマを長持ちさせるために絶対に避けたいNG行為を紹介する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ画像=Adobe Stock@xiaosan)
【画像ギャラリー】クルマを13年超長持ちさせたいならやっちゃいけないことを写真でチェック!(10枚)
タイヤとエンジンを労わる習慣が寿命を大きく左右する
■タイヤの空気圧を常日頃からチェック!
クルマの寿命に関係する部品と聞くと、多くの人はエンジンやミッションを思い浮かべる。しかし実は、もっとも基本でありながら見落とされがちなのがタイヤの空気圧である。
JAFでも定期的な空気圧点検を推奨しており、適正空気圧より不足した状態はタイヤ寿命を縮めるだけでなく、燃費悪化や走行安定性低下を招くとしている。
とくに厄介なのが「少しずつ抜ける」点だ。タイヤの空気は自然に減るため、何もしなければ徐々に不足していく。月に1回程度の点検が理想だが、「見た目で減ってなさそうだから大丈夫」と放置している人は非常に多い。
空気圧不足のまま走行すると、タイヤがたわみやすくなり発熱が増える。その結果、タイヤ内部の劣化が進み、偏摩耗やバーストリスクまで高まるのである。
さらに転がり抵抗も増えるため、エンジンや駆動系にも余計な負荷がかかる。逆に空気圧が高すぎても安心ではない。接地面積が減ってセンター摩耗しやすくなり、乗り心地悪化やグリップ低下につながる。
つまりタイヤ空気圧は「適正値」が命なのだ。最近のクルマは静粛性が高く、異常に気付きにくい。だからこそガソリンスタンドやカー用品店で気軽に点検する習慣を持ちたい。たった数分でできる確認が、タイヤ寿命だけでなくクルマ全体の健康維持につながるのである。
■エンジンオイルと冷却水は命綱、こまめな交換が寿命を決める
「オイル交換をサボると壊れる」という話は昔からあるが、これは脅しでも何でもない。エンジンオイルは潤滑、冷却、洗浄、防錆など非常に重要な役割を担っている。これが劣化すると内部摩耗が進み、燃費悪化や異音発生につながる。さらに深刻化するとエンジン焼き付きの原因になる。
短距離走行ばかりのクルマは特に要注意だ。エンジンが十分暖まらないため、オイル内部に水分や燃焼生成物が溜まりやすい。シビアコンディション扱いとなり、通常より早い交換が必要になるケースも多い。
今、ほとんどの新車のサービスマニュアルを見ると、エンジンオイルの交換時期は環境対応のため交換サイクルは長くなっている。メーカーによって微妙に異なるが、次のように規定されている。
●ガソリンNA車/1万5000kmまたは1年
●ガソリンターボ車/5000kmまたは6ヵ月
●NA軽自動車/1万Kmまたは6ヵ月
●ターボ軽自動車/5000kmまたは6ヵ月
高温かつ高回転となるターボ車はNAエンジンより交換サイクルは短く、さらに年間走行距離2万km以上、1回の走行が8km以下、30km/h以下の低速走行が多い、アイドリング状態が多い、といったシビアコンディションだった場合は以下のようにさらに短くなる。
■シビアコンディションの場合
●ガソリンNA/7500km、または6ヵ月
●ガソリンターボ車/2500km、または3ヵ月
●NA軽自動車/5000kmまたは3ヵ月
●ターボ軽自動車/2500kmまたは3ヵ月
2025年6~8月の平均気温の偏差は平年より+2.36℃と歴代最高で、最高気温40℃以上の地点数の積算は30地点と過去最多、最高気温35℃以上の猛暑日地点の積算は9385地点と、2010年以降で最多を更新。2025年の日本は観測史上最も暑い夏となった。
このことからもわかるように、人にとってもクルマのとっても厳しいので、シビアコンディションのエンジンオイル交換サイクルを行うことをお薦めしたい。
そして見落とされやすいのが冷却水である。冷却水は単なる「水」ではない。防錆剤や消泡剤などが含まれており、エンジン内部を保護している。しかし経年劣化すると防錆性能が低下し、内部腐食を招く。
ラジエーターやウォーターポンプが傷めば修理費は高額化する。最近のロングライフクーラントは寿命が長いとはいえ、「交換不要」という意味ではない。また、リザーバータンクの液量確認も重要だ。減り続ける場合は漏れの可能性もあるため、放置は危険である。
オイルと冷却水はまさにエンジンの血液。ここをケチると、あとで大きな出費となって返ってくるのである。
月に1回は高速道路を走り、高回転まで回す
「エンジンは回したほうが調子いい」と昔から言われるが、これはある意味正しい。最近のクルマは低回転・低燃費志向が強く、市街地だけをチョロチョロ走る使い方が増えている。
しかしその状態ばかり続くと、エンジン内部にカーボンやスラッジが蓄積しやすくなる。とくに直噴エンジンやディーゼル車は、低負荷運転ばかりだと汚れが溜まりやすい傾向がある。
そこで効果的なのが高速道路走行だ。一定速度で長時間走ることでエンジン各部がしっかり暖まり、内部の水分や汚れが飛びやすくなる。また、合流加速などで適度に回転を上げることも重要である。
もちろんレッドゾーンまでブン回せという意味ではない。エンジンが暖まった状態で適切に回転を使うことが大切なのだ。長期間低回転ばかりで使われたクルマは、吹け上がりが鈍くなったり燃費悪化が起きたりすることもある。人間で言えば運動不足のような状態だ。
たまには高速道路でしっかり走らせる。それだけでもクルマのコンディション維持に大きく貢献するのである。
駐車方法や運転のクセがクルマをジワジワ傷めていく
■パーキングブレーキをPレンジだけで停める、車止めに強く停めないなど駐車時の作法
普段何気なく行っている駐車方法も、実はクルマ寿命に大きく関係する。AT車で多いのが「Pレンジだけで駐車する」パターンだ。ATのPレンジはミッション内部のロック機構で車両を固定している。しかし坂道などで車重がかかった状態になると、内部部品に大きな負担が集中する。
そのため、本来はパーキングブレーキを先にしっかりかけ、車体を保持したうえでPレンジへ入れるのが正しい手順である。実際、Pレンジに入れた際に「ガコン!」と大きな衝撃音が出るクルマは、内部に強い負荷がかかっている可能性がある。
さらに注意したいのが車止めへの当て方だ。バック駐車時に勢いよく車止めへタイヤを押し当てる人がいるが、これはサスペンションやタイヤへ負担を与える。毎日の積み重ねでブッシュ類や足回り部品の劣化を早める可能性もある。車止めは「止まるための目安」であり、「ぶつけて止める装置」ではないのである。
かつてステアリングの据え切りはパワステ機構の負担が大きく、クルマを傷めるNG行為と言われたものだ。
しかし車体の大型化もあって据え切りが避けられなくなってきた今では、電動パワステとなって耐久性も向上しているため、タイヤには良くないものの、同じように切り返し時のATの切り替え、DからRのスイッチバックも、キッチリとクルマが止まった状態でなければATを傷めてしまう行為だった。
しかし最近のせっかちなユーザーがそれを守ってくれないことを想定して、自動車メーカーは耐久テストに、この低速中のスイッチバックを取り入れている。10km/h以下の低速であれば、動きながらのシフト操作でも、変速機内部にダメージが及ばないよう対策をしてきている。
完全停止のほうがATには良いものの、それが原因でATの寿命がクルマ全体の寿命(これは機械的寿命ではなく、商品価値としての寿命)よりも早く到達してしまうことがないように、自動車メーカーや変速機メーカーは対策を施している、というのが最近の新車開発の現場なのだ。
走行中は急ハンドル、急発進、急ブレーキなど「急」の付く運転をしない
クルマを長持ちさせたいなら、もっとも効果的なのは「乱暴に扱わないこと」である。急発進を繰り返せばエンジンやミッションへ負荷がかかる。急ブレーキばかりならブレーキパッドやローターの摩耗が進む。急ハンドルはタイヤやサスペンション、ステアリング系へダメージを与える。
つまり「急」の付く運転は、あらゆる部品を痛めるのである。とくに重量級ミニバンやSUVでは負荷が大きい。車重が重いほど足回りやブレーキへのダメージは増えるため、穏やかな操作が重要になる。
また、急操作はタイヤ偏摩耗の原因にもなる。最近のタイヤは高性能だが価格も高い。ムダな摩耗を防ぐだけでも維持費削減効果は大きい。
さらに穏やかな運転は燃費改善にも直結する。つまり「急」を減らすことは、クルマにも財布にも優しいのである。ベテランドライバーほど操作が滑らかなのは、クルマへの負担を感覚的に理解しているからだろう。
プロの整備士による予防整備とは
クルマを本当に長持ちさせている人たちは、「壊れたら直す」ではなく「壊れる前に手を打つ」という考え方をしている。これが予防整備である。
たとえばベルト類やホース類。見た目は問題なくても経年劣化は進む。突然切れたり破れたりすれば走行不能になることもある。バッテリーも同様だ。「昨日まで普通だったのに突然エンジンがかからない」は珍しくない。
プロ整備士は音、振動、におい、滲みなど小さな変化を見逃さない。そして壊れる前に交換提案を行う。ユーザー側からすると「まだ使えるのにもったいない」と感じることもある。しかし結果的には、大きな故障を防ぎ、修理費総額を抑えることにつながる場合が多い。
13年超えのクルマでは、ゴム部品や樹脂部品の経年劣化は避けられない。だからこそ定期点検が重要になる。最近は車検だけで済ませる人も多いが、半年点検や法定12カ月点検を活用すると異常の早期発見につながる。
クルマは機械である以上、必ず消耗する。しかし正しくメンテナンスし、丁寧に扱えば驚くほど長く走ってくれる。逆に「まだ大丈夫」を繰り返すと、一気に大故障へつながる。
愛車を13年超、それ以上長く乗りたいなら、“壊れない秘訣”は特別なことではない。日頃の小さな気遣いと予防整備、その積み重ねこそが最大の延命策なのである。
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