今年からスタートしたヤリスオンリーのワンメイクレース、TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup(ヤリスカップ)が盛り上がりを見せている。6月に富士で行われた開幕戦には86/BRZレース並みの91台が集結。旧ヴィッツレース時代には10~20台程度だった十勝戦やオートポリス戦にも、30台以上が集まっている。
トヨタが力を入れる新たなレースカテゴリーの誕生となれば、盛り上がるのも当然かもしれないが、それを支えているのがベース車である、ヤリスカップカーの高評価。カップカーが人気を集める理由を探ってみよう。
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文/奥野大志、写真/奥野大志、TOYOTA
[gallink]
販売台数はヴィッツ比2倍。新規客も購入
ヤリスカップカー(MXPA10)は昨年12月、TRD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)が発表、発売したコンプリートカー。1.5リッターのXグレードをベースにTRDがサイドバー付きの6点式ロールケージやエンジンオイルクーラー、専用チューニングサスペンションなどの架装を行い、全国のトヨタ販売店で販売している。税込み価格は6MTが217万1100円、CVTが238万100円。
車両購入後、T.R.A.レーシングパスポートを取得すれば、ほぼこのままの姿でヤリスカップにエントリーできる(ライセンス取得や指定タイヤ&ホイールの購入、ゼッケンなどの貼付は必要)。
ヤリスカップカーの架装はトヨタカスタマイジング&ディベロップメントの名古屋工場で行われている。手作業でくみ上げられており、1日の生産台数は2台(通常時)
トヨタ関係者に問い合わせたところ、今年10月までのカップカーの販売台数は約270台。数字を見てもピンとこないと思うが、この台数はヴィッツレースのレースベース車、ヴィッツRSレーシングの2倍にあたるという。
ちなみにCVT車が占める割合は10%で、こちらもヴィッツ比で倍増。昨年の12月にカップカーの詳細が発表されたので、冬の間にオーダーが集中したのはわかるが、初年度ということを差し置いても2倍というのはインパクトのある数字だ。
今年の6月5日に富士スピードウェイで行われた開幕戦(東日本/西日本シリーズ)の様子
「レースベース車とは思えないお手頃価格」
購入したオーナーが異口同音に指摘するのが手頃な価格。TRDが架装したレースベース車が217万円、そしてタイヤ&ホイールを用意するだけでレースに出られる完成度の高さは、世界中を探してもヤリスカップカーだけ。
定番のメーカーオプション、TOYOTA GAZOO Racing Recorder(走行状況を記憶できるデータロガー、13万2000円)をつけてもコミコミ250万円ぐらいで収まる。これなら手が届くということで購入を決めた人も多く、コストパフォーマンスにおいて、他のレースベース車との差は歴然だ。
サイドバー付きの6点式ロールケージ。トランクまで伸びている
CVT車用のエンジンオイルクーラー(空冷式)。6MT車用は水冷式
専用チューニングサスペンションのスプリング。約15mmのローダウンとなっている
「高級感のあるエクステリアデザイン」
ヤリスの標準車のデザイン自体、もともと評価は高いが、カップカーはそれをまんま受け継いでおり、眼つきがイイという声も。躍動感のあるデザインにより、ともすればレンタカー感が炸裂してしまうホワイトやシルバーのボディカラーでも、チープさを感じさせない。ヴィッツRSレーシングと比べるとその違いは顕著で、ポルシェのカップカーに通じるレーシーさ、と言ったら言い過ぎだろうか。
ヤリスカップに出場する際は、大なり小なりカラーリングを施すことになるが、ボディのキャラクターラインを強調したラッピングが目立つのは、エントラントがカップカーの見せ方をよくわかっているからだろう。
「高い燃費性能と日常用途に使える実用性」
燃費の良さを指摘する声も多い。ヴィッツRSレーシングから乗り換えたあるカップカーオーナーによると、サーキットと高速、どちらのステージでも燃費が向上しており、自宅からサーキットまでで18km/l、サーキットでは5.5km/lをマークするそう。レースベース車として考えればケタ違いの経済性。練習などで頻繁にサーキットと自宅を往復し、スポーツ走行を行うサンデーレーサーの財布に相当優しいはず(もちろんレギュラーガソリン仕様)。
また、ヴィッツRSレーシングと比べて高速安定性や乗り心地が良くなったという声も。実際、カップカーを家族4人のファミリーで使用する人もおり、高い実用性を裏付けている。
「特殊なクルマゆえにリセールバリューも安定」
ヤリスカップカーにはヤリスカップ以外の使い道もある。例えばTOYOTA GAZOO Racing Rally ChallengeのC-4クラスにはカップカーで参戦することが可能(ラリー用の装備が別途必要)。複数の競技で使用できるのだから、両カテゴリーへの参戦を検討しているエントラントによっては一粒で二度おいしい。
それに近い将来、カップカーがモデルチェンジすることがあっても、地方選手権でカップカーを使用することができるはずだから、長いスパンで乗ることができる。実際、旧ヴィッツレースでの役目を終えたヴィッツRSレーシングも地方選手権で活躍しており、エントラントに車両が売却されているという。リセールバリューがキープされていることの証拠に他ならず、カップカーの魅力のひとつになっている。
TOYOTA GAZOO Racing Rally Challengeでもヤリスカップカーが活躍している
「トヨタ販売店の全車種併売化により販売台数がアップ」
また、関係者にヒアリングしてわかったことだが、トヨタディーラーの全車種併売化も影響している。ヴィッツはネッツ店の専売車種であったが、昨年5月から全車種併売化がスタートし、トヨタ店やトヨペット店、カローラ店がヤリスを扱えるようになった。
その影響はヤリスカップのエントリーリストを見れば一目瞭然。トヨタ店やトヨペット店など、ネッツ店以外の多くのディーラーチームがヤリスカップに参戦している。それに伴うヤリスカップカーの販売増は必然で、結果として販売増につながっている。
ヤリスカップは東日本シリーズと西日本シリーズに分かれて開催されている
クルマ自体に魅力があるからレース経験のない新規客が購入している
以上がヒアリングを通じてわかったヤリスカップカーの人気の理由。上記以外に「軽くて小さいから」「ヤリスカップの初代チャンピオンをとりたいから」「リアのダンパーに減衰力調整機構があるからセッティングのおもしろさが出た」という声も。レース時のラップタイムはサーキット問わず、ヴィッツRSレーシングと比べて平均1秒から1.5秒も向上しているので、レースベース車として不足はない。
カップカーにはレースベース車としての魅力はもちろん、趣味のクルマとしての魅力も備わっている。だから、レース経験のないクルマ好きも購入しているし、その中には86でサーキット走行会に参加し、腕を磨いてきたユーザーもいる。トヨタつながりでいろいろとハードルが下がる部分もあり、この流れはひとつのトレンドになると予測する。
実は先日発表された兄貴分のGR86についてもワンメイクレース車両用のGR86カップカーベーシックの発売(2022年春)がアナウンスされており、ヤリスカップカーと同じく、さまざまな魅力を持つグレードになるのではと予想している。来年はヤリスとGR86のカップカー旋風が巻き起こる可能性も。手ごろな価格で買えるドラテク練習車を探している人に、ヤリスカップカーは魅力的かつ将来性のある選択だ。
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みんなのコメント
テンプレな書き方をした記事は、
ただノルマで書いてるだけで
本当にそういうことではない。
ごめんね、それくらいみんな知ってるか。