見事なまでに既成概念を覆したデザインをまとったフレンチSUVであり、DSブランドのフラグシップモデル DS7 クロスバック。その外観から内装までに現れる洗練さは、ベーシックグレードとなるDS7クロスバック ソーシックでも十分に体感できる。(Motor Magazine2021年5月号より)
独特の感性から生み出させた魅惑的な内外装
知り合いの女性はDS7クロスバックのエクステリアデザインをひと目見ただけで「オシャレー!」と感心していたが、もしも彼女がそのインテリアデザインを目の当たりにしたら、なんと口にしただろうか?おそらく、あまりに常識破りなデザインにしばし言葉を失ったに違いない。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
DSオートモビルズは、DS3にしてもDS7にしてもインテリアのデザインモチーフとしてひし形を多用している。もっとも、他のメーカーでインテリアに菱形を用いる例はめったにない。理由はおそらく、視覚的な落ち着きが悪いために、デザインとしてまとめにくいからだろう。
同じ視点でDS7クロスバックのインテリアを眺めてみると、どこもかしこも落ち着きが悪いデザインだらけである。たとえばダッシュボードは水平基調だが弓なりに湾曲していて、その両端には、これまたいかにも座りが悪そうなエアコン吹き出し口が設けてある。
ところが、キャビン全体を眺めた時、そこからは不思議な統一感が感じ取れる。これだけ座りの悪いデザインを並べて調和を生み出せるデザイナーの手腕は大したものだが、おそらく彼ないし彼女には「常識に捕らわれずクルマの新しい美しさを表現したい」との想いがあったのだろう。だから奇をてらっただけのデザインに陥らず、全体として魅力的なキャビンに仕上がったのではないだろうか。
ゆったりとした独特の空気感まさに「夜のパリ」の雰囲気
もっとも、そんなアールデコ調でアバンギャルドなインテリアが売り物のDS7クロスバックだが、ハンドルを握っていると意外と心が落ち着いてくる。その理由のひとつは、キャビンが幅方向に広々としていることにあるが、意外にもボディ外寸はメルセデス・ベンツGLCとほとんど同じ。けれども、DS7クロスバックにはGLCではあまり感じられない「ゆったり感」が確実にある。おそらくそれは、DSが目指す「夜のパリ」の雰囲気が生み出すものだろう。
走りの味も悪くない。2Lディーゼルエンジンはまずまず静かで十分に力強い。足まわりはデビュー当時に比べてぐっとしなやかさが増した。それも、ゴツゴツ感につながる小ストローク域はサスペンションの動きが滑らかで、そこから先はグッとダンピングが高まってボディの動きを抑え込んでいるように感じる。
しかも、ソーシックであれば価格は495万円。よりDSブランドらしさを堪能したいなら上位グレードのグランシック=589万円~も考えないではないが、それでも前述したGLCが708万円スタートであることを考えれば、いずれもバーゲンといっていい価格設定だ。(文:大谷達也/写真:村西一海・小平 寛)
DS7クロスバック ソーシック主要諸元
●全長×全幅×全高:4590×1895×1635mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1670kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1997cc
●最高出力:130kW(177ps)/3750rpm
●最大トルク:400Nm/2000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・55L
●WLTCモード燃費:16.4km/L
●タイヤサイズ:235/55R18
●車両価格(税込):495万円
[ アルバム : DS7クロスバック ソーシック はオリジナルサイトでご覧ください ]
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