Audi RS e-tron GT prototype
アウディ RS e-tron GT プロトタイプ
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高性能車づくりの専門家集団が開発
アウディは、新型EVスポーツカー「e-tron GT」の発表を2021年に控えている。ダイナミズムを前面に打ち出すスポーツモデルとあり、アウディ伝統の高性能仕様「RS」の設定も当初より織り込み済み。RS初のEVがいよいよお目見えすることになる。
RS e-tron GTの開発を主導しているのは、ハイパフォーマンスカーづくりの専門家集団、アウディ スポーツ。ノイブルク アン デア ドナウにあるアウディ スポーツのモータースポーツ用車両開発拠点で、厳しいテストが日々重ねられている最中だ。
フォーミュラEレーサーがテスト走行を実施
2020年晩夏、そのノイブルクを訪れたのがフォーミュラEドライバーのルーカス・ディ・グラッシ。ブラジル出身で現在モナコ在住のルーカスは、2012年以来アウディのドライバーとして数々のレースを戦ってきた。フォーミュラEには2014年の開幕以来参戦を続けており、ポディウムに32回上っている。
ノイブルクのテスト基地でグラッシを迎えたのは、アウディのデニス・シュミッツ、アウディスポーツGmbHのヤーン-マッテス・レイリング、そして開発パートナーであるPSWオートモーティブエンジニアリングのクリスチャン・シュレーダーら、e-tron GTの開発に携わった面々。そしてRS e-tron GTの量産プロトタイプ車両である。
RS e-tron GTの量産プロトタイプ車両をテストしたグラッシ、そして開発エンジニアによる対話は、アウディの最新EVスポーツの印象を詳らかにする。下記にその一部を紹介したい。
5周ラップしても衰えぬ加速力
デニス・シュミッツ:さてルーカス、最初の5周をラップしてみてどう思った?
ルーカス・ディ・グラッシ:楽しいクルマですね! レースカーとはまったく違って、まさにグランツーリスモということがはっきりしています。かたや、共通する部分もたくさんありますね。パワフルな加速なんかは特に。しかもそれがずっと続くんです。0-100km/h加速は明らかに4秒以下だと思うのですが、その勢いは5周目まで衰えることがない。どうやって実現したのでしょうか。
クリスチャン・シュレーダー:ご存じのとおり、安定して高出力を得るためには強力な温度管理が必要です。e-tron GTでは、異なる温度レベルで稼働するコンポーネントのために、2種類の冷却経路を設けています。ひとつめは高圧バッテリー、もうひとつが電気モーターやエレクトロニクス関連用です。さらに、貴方が乗るようなレースカーには付いていないと思いますが、室内用の冷却/温熱回路もあるんですよ。
デニス・シュミッツ:これら4回路はバルブを介してフレキシブルに繋げることができます。たとえば室内用のヒートポンプとして利用するとか。しかしながら、高負荷時の高圧コンポーネントや急速充電時のバッテリーを冷却するということは、間違いなくもっとも難しい要件です。出力270kW前後ではかなりの熱を発生します。
“予測”してバッテリー温度を調整
ルーカス・ディ・グラッシ:素晴らしく精巧なシステムですね! 冷却面ではe-tron GTは私のフォーミュラEマシンよりも革新的です。もちろん、フォーミュラEの温度はさらに極端ですよ。だから我々は、充電中にバッテリーの温度を積極的に冷やすべく、ドライアイスを使います。こうして、全力の加速と回生を絶えず繰り返す高負荷な環境下で、幅広いシステム温度域に対応しているんです。バッテリーが加熱すればエネルギーが犠牲になる。だからコンディションが厳しくなればなるほど、エネルギー効率に注意しなくてはならなくなります。だから最終ラップにも十分なパワーを残しているんです。
ヤーン-マッテス・レイリング:レベルこそ違いますが、我々の場合は予測も重要な要素になってきますね。ドライバーが移動中の充電でもっとも効率よく充電できるように特別な機能を搭載しています。アクティブナビゲーションを使って長距離を走れるよう、e-tronの“ルートプランナー”はどこで充電をするべきかを提案するんです。そして、充電場所に到着するおよそ30分前になると、バッテリーの温度を充電ステーションのキャパシティに合わせて最適な温度に調整します。
3チャンバー式エアサスペンションを搭載
e-tron GTは、クルマだけでなく、開発そのものもスピーディだったという。物理モデルの代わりにバーチャルモデルを使うことで、デザインも初期の段階ですでに固まっていたそうだ。アウディが率い、PSWが重要な業務を行うことで決定プロセスを短縮し業務効率もアップ。ちなみにサスペンションのセットアップを担当したのはアウディスポーツで、その出来栄えにグラッシは賞賛の声を送っている。
ルーカス・ディ・グラッシ:このクルマでとりわけ気に入ったのはハンドリングです。皆さんがおっしゃるように、このクルマの快適な乗り心地はまさしくグランツーリズモといえるものでした。レーシングドライバーにとってそこまで重要な性質ではありませんが。しかしこのクルマのグリップや正確なコーナリングはとても印象的です。
ヤーン-マッテス・レイリング:ありがとう、ルーカス。とても嬉しいです! 開発期間を通して、私達はすべての美点を一体化することに注力してきました。テクノロジーという点では、十分なベースが我々にはあります。たとえば優れた3チャンバーをもつエアサスペンションは、基本的にはソフトで快適な乗り心地を提供しながら、様々な車高に対応する自由度の高さをもっています。しかし、もっとも重要なのはそれらが制御ダンパーとしっかり相互に作用しあうこと。シャシーコントロールシステムで統合制御されるエアサスペンションとダンパーは、ドライブセレクトによって各モードへ切り替えることができます。
後輪操舵システムも採用
デニス・シュミッツ:e-tron GTを通じて、顧客の皆様には我々のもつ最先端のテクノロジーを享受いただけます。低速では後輪を前輪の逆位相に、高速では同位相に操舵する後輪操舵システムを含めて。
ルーカス・ディ・グラッシ:それに、e-tron GTプロトタイプはブレーキ性能も大変優れていますね。力強く、正確なコントロールがしやすい。こういう大型の電気自動車でこの性能を実現するのは、並々ならぬことだと思うのですが・・・。
クリスチャン・シュレーダー:e-tron GTはスチール製ディスクが標準装備となりますが、今回運転してもらったRSモデルにはカーボンファイバーセラミックのディスクを装着しています。さらなるパフォーマンス仕様として、ディスクローターをタングステンカーバイドでコーティングしたものもオプションで用意します。加えて、きっとこれまでのアウディ史上もっとも美しいホイールを装着する予定です。デザインを含め、一番魅力的なのが大径21インチのホイールですね。空力面でもっとも優れているのが20インチ。19インチならフロントが各12.5kgと軽量です。
2025年までに30の電動化モデルを導入
“電費”はグラッシが常に関心を寄せる項目だ。フォーミュラEドライバーとしてはもちろん、彼は気候変動対策について積極的に行動する活動家でもある。国連では環境アンバサダーの一員を務め、ブラジルでは企業家として新しいテクノロジーを推進する活動を進めている。出身のサンパウロでは、“ゼロ サミット”テクノロジー議会も発足した。
ルーカス・ディ・グラッシ:2010年代のはじめ、私は公道とサーキットの両方で電動車が重要な役割を果たすことになると考え、フォーミュラEのスタートを支援しました。
ヤーン-マッテス・レイリング:この数年間は、我々は貴方とともに成功の軌跡を刻んできました。2017年にはドイツの自動車メーカーで初めてファクトリーチームとしてFIA Formula Eに参戦することになりました。電気で走るということが、いかにダイナミックで魅力的で心を揺さぶるかを証明するために。
量産仕様がまもなく生産をスタート
デニス・シュミッツ:モータースポーツは量産車の開発にも有益です。2025年までに、我々はおよそ30種類の新型電動車とプラグインハイブリッド車を導入し、すべてのモデルレンジを電動化します。
クリスチャン・シュレーダー:ルーカス、貴方は世界中を駆け回って各地の環境問題に接してきましたよね。2019年には国連の仕事でニューデリーへ行って『The Race for Clean Air』というドキュメンタリーフィルムも制作したんでしょう?
ルーカス・ディ・グラッシ:ニューデリーは世界でもっとも大気汚染が深刻な都市のひとつです。そこで何らかのソリューションを見つけ、適応させることができたなら、それは他のどの地域でも活用することができます。テクノロジーと革新なくして持続可能性の実現はないと信じています。
アウディの電動化戦略を率いる旗頭、e-tron GT。量産仕様はR8のラインを置くドイツのべーリンガーホフで、2020年末からマイスターの手により小量ずつ生産されるという。
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