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ミケリスが待望のポール・トゥ・ウイン。伏兵コンテのクプラもワールドツアー初優勝/TCRワールドツアー第3戦

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ミケリスが待望のポール・トゥ・ウイン。伏兵コンテのクプラもワールドツアー初優勝/TCRワールドツアー第3戦

 前戦スペインのバレンシアから2週連続開催の“バック・トゥ・バック”でイタリア・モンツァへと乗り込んできたFIA TCRワールドツアー第3戦は、直前のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)改訂も功を奏したか、BRCヒョンデNスクアドラコルセのエースが復権。王者ノルベルト・ミケリス(ヒョンデ・エラントラN TCR)がシーズン初ポールから「完璧な」ライト・トゥ・フラッグを達成することに。

 続くレース2では、中段8番手グリッドからの猛追劇を披露した“伏兵”オーレリアン・コンテ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)が、悲願のワールドツアー初優勝を果たしている。

南米からの刺客。リオネル・ペーニャがホンダ・シビックでモンツァ戦に参戦へ/TCRワールドツアー

 地元イタリア勢からチーム・トリコWRTとMMモータースポーツの2台がエントリーし、総勢19台のグリッドとなった2025年ワールドツアー第3戦の週末は、TCRの権利保有者であるWSCによりBoP速報がリリースされ、今季絶不調の開幕スタートを強いられたヒョンデ・エラントラN TCRの数値が改訂。エンジン出力や最低地上高は維持されたものの、合計10kgの軽量化により最低重量が1275kgへと削減された。

 その一方、先週末のバレンシアを席巻した元王者ヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR FL)は最大40kgの補正重量を背負い、チームメイトのサンティアゴ・ウルティアも同30kgを搭載。ホンダ陣営のエステバン・グエリエリ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)は40kgから10kgへとバラストを降ろし、高速サーキットで優れたパフォーマンスを発揮するシビック・タイプRでの逆襲を期す。

 その予感どおり、明けたFP1からホンダ勢がクラシック・サーキットで先行する展開となり、元TCR南米大陸王者イグナシオ・モンテネグロ(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が首位発進、気温が35度近くまで上昇したFP2では午前のモンテネグロよりわずかにタイムを伸ばしたグエリエリがトップタイムを刻んでいく。

 しかし予選に入ると「素晴らしいトウ戦略が功を奏した」と語ったヒョンデ艦隊が、僚友ミケル・アズコナ(BRCヒョンデNスクアドラコルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)との盤石なコンビネーションでスリップストリームを確保。王者ミケリスがコンマ2秒の大差で2025年初のポールポジションを獲得した。

「マシンのフィーリングは素晴らしかった。バランスが100%完璧になることは滅多にないが、今回は完璧なマシンに仕上がったと思う」と手応えを語ったチャンピオン。「最初から自信を持ってプッシュできた。ブレーキングのタイミングも遅めで、オーバーステアでコーナーを曲がることもなく、フロントはグリップが効いていた」

 そのミケリスも、改めてこのポールポジションがチームメイトとの連携によってもたらされた戦果であり、スリップストリームがなければ「これほど速く走れたとは思えない」と強調した。

「Q2の1回目ではミケル(・アズコナ)からトウを受け、それが完璧だった。そして2回目のアタックでも同じようにトウを受けることができた。これが鍵だったと思う。フロントロウを占拠していても、レースはまた別の話になるだろう。まだストレートスピードはないと思うが、守るべき場所はすべて把握している。たとえ良いスタートを切ったとしても、楽なレースになるとは思っていないよ」

 迎えたレース1で最大の敵として立ちはだかったのは、ライバルではなく“温度条件”で、猛暑のコンディションによりグリッドのほぼ半数がパンクチャーに見舞われる過酷なサバイバル戦と化す。

 そんななか、オープニングラップのターン1ではマ・キンファ(リンク&コー03 TCR FL)、ジョン・フィリピ(SPコンペティション/クプラ・レオンVZ TCR)、ルベン・ヴォルト(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)の3台が絡み、スピンを喫した前者2台がピットでリタイアに。

 その後は首位を行くミケリスに対し、挑戦者のコンテ、ウルティア、そして僚友アズコナまでが左フロントタイヤの破損に見舞われ脱落、レースを続行していたヴォルトや、昨季まで世界戦のメンバーとして戦ったマルコ・ブティやフェリペ・フェルナンデス(ゴート・レーシング/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)、そして南米が誇る現代最高峰のツーリングカー使いとして、このラウンドにゲスト参戦していたリオネル・ペーニャ(ALMモータースポーツ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)ら、ホンダのドライバー4名が立て続けに左フロントのパンクに見舞われてしまう。

 これでエルラシェールとテッド・ビョーク(リンク&コー03 TCR FL)を従えたミケリスが、盤石のタイヤマネジメントも駆使して1.7秒差の今季初勝利、復活の狼煙を挙げた。

「僕にとっての目標は、良いスタートを切ってトップを維持することだった。前にいると、状況を管理するのが少し楽になるからね」と安堵の表情を浮かべたミケリス。「(オーレリアン・)コンテは僕より速く、かなりのプレッシャーを掛けてきた。彼は2度も僕をオーバーテイクしそうになったが、彼がパンクした後、ミケル(・アズコナ)とのギャップがあることに気づいたんだ」

「その後はミケルも見えなくなったし、チームに後方のギャップについて知らせてもらい、タイヤのケアをすることができた。マシンは完璧でコントロールできていると感じたし、素晴らしい一日になったね」

 続くレース2はリバースポールからネストール・ジロラミ(BRCヒョンデNスクアドラコルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)が先頭発進を切ると、最初のシケインをカットしたビョークがポジションを戻す一幕を演じつつ、続くヴァリアンテ・アスカリではホンダのブティとクプラのフィリピが接触。グラベルにスタックした後者の回収でセーフティカー(SC)が発動する荒れたスタートとなる。

 一方で、この間に8番手発進から一気に4番手へとジャンプアップしていたコンテは、3周目終了時のパラボリカでモンテネグロをパスして3番手へ。続いて7周目にはビョークも捉え、トップを走るジロラミに狙いを定める。

 そのわずか2周後、ターン1の出口でアウト側から強烈なオーバーテイクを決めたコンテが首位に躍り出ることに成功し、終盤にはレース1と同様に複数のドライバーが左フロントのパンクに見舞われるなか、背後に1.5秒近い差をつけたコンテがワールドツアー初優勝を手にした。

「マシンは信じられないほど素晴らしかった」と、まずは喜びの声を挙げたコンテ。「スタートが良く4番手まで順位を上げ、自分のドライビングに集中し、タイヤにも気を配った。素晴らしい仕事をしてくれたSPコンペティションとクプラに心から感謝しているし、前を走るドライバーたちとの戦いは本当に楽しかったよ。彼らはとてもクリーンな戦いぶりだった。そしてこの勝利は妻のためのものだ。(この連戦は)家族にとってシンドい1週間だったし、良い結果にとても満足している」

 引き続きランキングではエルラシェールが首位を堅持し、グエリエリが16ポイント、ウルティアが27ポイント差で続く2025年のTCRワールドツアー。続く第4戦は7月5~6日にポルトガルのヴィラ・レアルにてストリート戦が開催される。

[オートスポーツweb 2025年06月23日]

文:AUTOSPORT web
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