現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【現役デザイナーの眼:トヨタ・クラウン・エステート】シンプル? 淡泊? 高級感は健在

ここから本文です

【現役デザイナーの眼:トヨタ・クラウン・エステート】シンプル? 淡泊? 高級感は健在

掲載 2
【現役デザイナーの眼:トヨタ・クラウン・エステート】シンプル? 淡泊? 高級感は健在

高級車に不向きな構成も成立させてしまうトヨタ・デザイン

『クラウン』という名前が車名からブランド名に大転換して、すでに3年近く経ちました。グローバルモデルが主流の高級セダン市場において、ほぼ日本専売だったクラウンは淘汰される運命だと感じていたのですが、発想の転換とも言える大胆な戦略にトヨタの凄さを感じたものです。

【画像】ポイントはボディサイドの立体構成 トヨタ・クラウン・エステート 画像はこちら 全16枚

今回『クラウン・エステート』が発売され、4車種が出揃いましたので、エステートのデザインの解説とともに、クラウン・シリーズ全体の印象をお伝えします。

クラウン・エステートは、SUVとステーションワゴンの融合とも言える特徴的なプロポーションをしています。

タイヤ、ボディ、キャビンのそれぞれの比率はまさにSUVのそれなのですが、リアオーバーハングがクラウン・スポーツより100mm長く、これが普通のSUVに比べて伸びやかに見えるポイントです。これにより荷室の奥行きがステーションワゴン並みに確保されました。

デザインにおいて最大の特徴は、ボディサイドの立体構成です。

前後フェンダーを大胆に扱い、ドア一般面のほとんどが覆い被された構成は、普通に考えると大型の高級車には不向きなデザインです。大きな前後フェンダーの影響でドア面の『リフレクション』が揺れるので、高級車に必須の『強い軸』が通って見えません。

しかし、このクルマはフロントのシルエットやグリル付近の造形とフロントフェンダーのピークを関連させていたりして、なるべく一体感のある造形をしようとしています。この辺りはさすがトヨタで、普通やらないことも成立させてしまう底力を感じますね。そういう点ではとても攻めているデザインと言えます。

クラウン・シリーズは、4車種それぞれが特徴的なデザインになっています。その中で『クロスオーバー』と『スポーツ』は、トレンドでもある前後の大きな2つの立体が嵌合した構成なのですが、『セダン』は伝統的な手法で前後にドア面を貫いています。

そして前述の通り、他社ではやらないような構成の『エステート』が加わり、造形の引き出しの多いトヨタならではのラインナップとなりました。

シンプルを貫いたフロント、リア周りのデザイン

クラウン・シリーズの顔まわりには、トヨタ車で広く使われている『ハンマーヘッド』と呼ばれるデザインが採用されています。薄くワイドなランプの下にグリルを配置するこの構成は、こちらも高級車の定番からは外れるもの。一般的に、高級車の顔まわりは大きなグリルを中心に組み立てられ、歴代クラウンの多くもその王道を踏襲してきました。

しかし、ハンマーヘッドを取り入れたことで、グリルはランプのかなり下に配置されることになり、車格の演出には工夫が必要になっています。それにもかかわらずクラウンはしっかり高級感を感じさせているのは、さすがだと思います。

ただ、グリル部は、シンプルに見せたい意図は分かるのですが、ユーザー像的にはもう少し主張しても良いのでは、とも感じました。

リアデザインに関しても非常にシンプルな仕上がりになっています。ここ10年くらいのトヨタのデザインは、面白い造形が多い反面、ややディテールがうるさいと感じたりしていました。しかしこのエステートに関してはそのような目につくディテールは皆無です。特にリアバンパーコーナーをここまで素直にデザインされているトヨタ車も珍しいですね。

一方で、リアコンビやバンパーなど、構成されるモチーフが全て並行なので、やや淡白にみられるかもしれません。

全体として、大胆なモチーフを取り入れながらも、他のクラウンに比べて薄味だと感じたりもします。もしかしたらSUVとステーションワゴンを融合したようなプロポーションが、やや中途半端に見えているのかもしれません。

クラウン4車種揃ったことで、思うこと

クラウン・エステートが発売されたことで、クラウン・シリーズの4車種が全て出揃いましたが、ここでどのような方が、どのクラウンを選ぶのかと私なりに考えてみました。

まず『セダン』は、歴代クラウンの価値を継承しているものなので、これまでのクラウンのユーザーも受け入れやすいと思います。グローバル化に伴って幅がかなり拡大されたので、クラウンの美徳であった『日本サイズの高級車』という意味では外れてしまいましたが、それでも端正なFRプロポーションのセダンデザインは、既存ユーザーにも満足出来るものだと思います。

次に『スポーツ』ですが、これは既存ユーザー以外を取り込むものでしょう。特に年齢が若い方で、比較車種が欧州車やレクサスといった、王道の乗用高級SUVを志向している方は、パッと見で欧州プレミアムブランドと遜色ないプロポーションに魅力を感じる方が多いと思います。

そして今回の『エステート』は、『スポーツ』のユーザーより年齢が高く、しかしアクティブな趣味を持っている今時の大人な方にもってこいだと思います。スポーツより落ち着いていて、しかしセダンより先進的で実用的なデザインは、良いものを知る方にふさわしいクルマでしょう。

最後に『クロスオーバー』ですが、この車だけがいまいち想定ユーザーが見えづらいと私は思います。クーペライクなシルエットと、SUVらしい足回りのデザインは、方向性として明快なのですが、いかんせんニッチな市場なのだと思うからです。ただ、4車種が揃ったことでクラウン・ブランドとしての存在感は一気に増しました。今後の展開にも注目せずにはいられません。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【ポイントランキング】2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP終了時点
【ポイントランキング】2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP終了時点
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2025年WRC第5戦ラリー・ポルトガル後
【ポイントランキング】2025年WRC第5戦ラリー・ポルトガル後
AUTOSPORT web
ズバッと一閃! フェルスタッペン大胆オーバーテイクで今季2勝目。角田裕毅は10位入賞|F1エミリア・ロマーニャGP決勝
ズバッと一閃! フェルスタッペン大胆オーバーテイクで今季2勝目。角田裕毅は10位入賞|F1エミリア・ロマーニャGP決勝
motorsport.com 日本版
フェルスタッペンが独走で今季2勝目。角田裕毅は最後方から入賞果たす【決勝レポート/F1第7戦】
フェルスタッペンが独走で今季2勝目。角田裕毅は最後方から入賞果たす【決勝レポート/F1第7戦】
AUTOSPORT web
F1エミリア・ロマーニャ決勝速報|フェルスタッペンがマクラーレン勢跳ね除ける完勝。角田裕毅ピットスタートで10位入賞
F1エミリア・ロマーニャ決勝速報|フェルスタッペンがマクラーレン勢跳ね除ける完勝。角田裕毅ピットスタートで10位入賞
motorsport.com 日本版
ちょまっっそれって反則じゃないの!!? 過剰なまでのスペック・装備で圧倒的なパワー&トルクを見せつけた市販国産車列伝【ベストカーアーカイブス2013】
ちょまっっそれって反則じゃないの!!? 過剰なまでのスペック・装備で圧倒的なパワー&トルクを見せつけた市販国産車列伝【ベストカーアーカイブス2013】
ベストカーWeb
【最終結果】2025年WRC第5戦ポルトガル SS24パワーステージ後
【最終結果】2025年WRC第5戦ポルトガル SS24パワーステージ後
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2025年スーパーフォーミュラ第5戦オートポリス終了時点
【ポイントランキング】2025年スーパーフォーミュラ第5戦オートポリス終了時点
AUTOSPORT web
ライバルの連勝を止めた坪井「流れが変わったかも」。2位野尻が感じた“個体差”【SF第5戦決勝会見】
ライバルの連勝を止めた坪井「流れが変わったかも」。2位野尻が感じた“個体差”【SF第5戦決勝会見】
AUTOSPORT web
オジエがポルトガル最多勝更新の7勝目。前日トラブルのタナック逆襲、トヨタの1-2を阻む【第5戦最終日レポート】
オジエがポルトガル最多勝更新の7勝目。前日トラブルのタナック逆襲、トヨタの1-2を阻む【第5戦最終日レポート】
AUTOSPORT web
野尻智紀、勝てるレース逃し「すごく悔しい」。ドライバー本人とチームそれぞれの“反省点”|スーパーフォーミュラ第5戦
野尻智紀、勝てるレース逃し「すごく悔しい」。ドライバー本人とチームそれぞれの“反省点”|スーパーフォーミュラ第5戦
motorsport.com 日本版
スウェーデンの開発企業と提携!! 英ACカーズが「コブラ」の生産体制を強化へ
スウェーデンの開発企業と提携!! 英ACカーズが「コブラ」の生産体制を強化へ
ベストカーWeb
ニューバランス ゴルフのスパイクレス仕様「MG100A」に直営店限定ラインが登場! 高級感漂う「シックなカラーリング」は何が魅力?
ニューバランス ゴルフのスパイクレス仕様「MG100A」に直営店限定ラインが登場! 高級感漂う「シックなカラーリング」は何が魅力?
VAGUE
大阪で活躍する大注目の40代シェフ──新たなガストロノミーの道を切り拓く
大阪で活躍する大注目の40代シェフ──新たなガストロノミーの道を切り拓く
GQ JAPAN
奇策&アプデ武器にイモラで息を吹き返す! アストンF1、予選5・8番手に湧く。だたしアロンソ「来季勝つことの方が重要」
奇策&アプデ武器にイモラで息を吹き返す! アストンF1、予選5・8番手に湧く。だたしアロンソ「来季勝つことの方が重要」
motorsport.com 日本版
まさかの“急ブレーキ”。自信とともに臨んだオートポリスで試練に直面したダンディライアン、連勝止まる
まさかの“急ブレーキ”。自信とともに臨んだオートポリスで試練に直面したダンディライアン、連勝止まる
AUTOSPORT web
TGR-DCが迎えた“入れ替えの時”。生き残った小高と降格の平良、どちらも前を向く|スーパーフォーミュラ第5戦
TGR-DCが迎えた“入れ替えの時”。生き残った小高と降格の平良、どちらも前を向く|スーパーフォーミュラ第5戦
motorsport.com 日本版
トヨタ新型「bZウッドランド」世界初公開 全長4.8mの電動SUVは北米で2026年初旬に発売予定 日本では「bZ4Xツーリング」として来春登場へ
トヨタ新型「bZウッドランド」世界初公開 全長4.8mの電動SUVは北米で2026年初旬に発売予定 日本では「bZ4Xツーリング」として来春登場へ
VAGUE

みんなのコメント

2件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509 . 9万円 575 . 9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

47 . 7万円 850 . 0万円

中古車を検索
トヨタ クラウンの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

509 . 9万円 575 . 9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

47 . 7万円 850 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村