ダウンドラフトが生む455馬力。フルレストアで完璧に蘇った1985年式「カウンタック LP5000 QV」
2026年8月13日~15日、米モントレーで開催された「The Monterey Auction 2026」。そこへ姿を現したのが、1985年式のランボルギーニ「カウンタック LP5000 QV」である。エスティメート(予想落札価格)である90万~110万ドル(邦貨換算約1億3500万~1億6500万円)を大幅に超え、132万5000ドル(約2億円)で落札された極上個体の正体とは。
パガーニとムナーリが手掛けた究極の最終形。約9532万円で落札された「カウンタック 25thアニバーサリー」
世界で唯一のV12気筒48バルブ、ダウンドラフトキャブレター仕様のスーパーカー
LP5000 QVの最大の特徴は、新開発のV12エンジンを搭載している点だ。排気量は5167ccへと拡大され、1気筒あたり4つのバルブ(クワトロバルボーレ)を備えている。
とくに欧州仕様車には、サイドドラフトから「ダウンドラフト(下向き吸気)」へ変更されたウェーバー製キャブレターが装着された。これにより「世界で唯一の最初にして最後のV12気筒48バルブのキャブレター仕様のスーパーカー」という特別な称号を手にしている。
ダウンドラフト・キャブレターをエンジン上部に配置したことで、従来のエンジンフードでは収まりきれず特徴的な「パワーバルジ(膨らみ)」が設けられた。この荒々しい吸気システムは、先代の欧州仕様5000 Sから約87馬力アップとなる455馬力を叩き出す。
0-60mph(約96km/h)加速はわずか4.1秒、最高速度は195mph(約313km/h)に達する。1988年半ばまでに生産された631台のQVのうち、この「ダウンドラフト」仕様の欧州モデルは約300台のみが生産された。
初期のQVが持つエレガントでシンプルな漆黒のボディにテレフォン型ホイール
今回約2億円で落札されたシャシーナンバー「FLA12877」は、生産順で約78台目にあたる初期の個体である。キロメートル表示のメーターや小型のスクエア・サイドマーカーを備え、アメリカ仕様のような大型バンパーを持たないエレガントな欧州仕様としてオーダーされている。
ボディカラーは漆黒の「ネロ・テネブレ」だ。インテリアも「ネロ」で統一され、ストイックな仕様で仕上げられている。1985年7月に工場を出たこの車は、イギリスのポートマン・ガレージを通じて納車された。
記録によれば、最初の顧客はニューヨーク在住のスタニスワフ・ザゴルスキ氏であったという。彼は名作ロックやジャズのアルバムジャケットを手掛けたイタリア人グラフィックデザイナーである。彼が実際にこの車を受け取ったかは定かではないが、翌1986年にはアメリカ・マサチューセッツ州のオーナーへ渡ったことが確認されている。
たった一年で相場の約2倍に達したスーパーカー「最初で最後のV12気筒48バルブのキャブレター仕様」
この個体の価値をさらに高めているのが、2023年に完了したコンクールレベルのフルレストアである。
エンジンはオハイオ州の専門工場で7万7000ドル(約1150万円)をかけてリビルドされた。その後、カリフォルニア州のファクトリーがシャシーから内外装に至るまで61万1000ドル(約9100万円)以上を投じて修復。さらに1万4000ドル(約200万円)の最終調整も施され、修復費の総額は優に1億円を超えている。
さらに特筆すべきは、この車に豊富な付属品が用意されている点だ。「ゴールド」と「シルバー」の2セットの純正OZホイールに加え、空力ウイングの「付いたリアフード」と「付いていないリアフード」の両方が付属し、好みに合わせた着せ替えが可能となっている。
現在のカウンタック「LP5000 QV」は、状態や仕様によって価格差が大きいのは当たり前だが、近年のオークションではおおむね50万~90万ドル台で取引される例が散見される。そんななか、今回の欧州仕様ダウンドラフトは132万5000ドル(邦貨換算約2億円)を記録した。
2025年に落札された1985年式カウンタックLP5000 QV(65万4000ドル)と比較しても約2倍である。しかもこのQVもヨーロッパ仕様のダウンドラフトキャブレターを装備し、「ラウンドベリー(丸いお腹)」と呼ばれるQVモデルでも初期にしか存在しないモデルであり、走行距離はわずか1万キロと言う超低走行車両だった。さらに新車当時のオリジナルペイントの赤外装にベージュレザーの内装という、これ以上ない設えのQVだったのだ。
これらを鑑みるに、今回のQVへの1億円超のコストを投じたレストア作業の素晴らしさは言うに及ばず、たった1年を経過しただけでカウンタックLP5000 QV欧州仕様(48バルブ + ダウンドラフトキャブ)の「世界唯一のV12気筒48バルブ ダウンドラフトキャブレターを有するスーパーカー」という希少価値を高めたと見た方が正解なのかもしれない。
※為替レートは1ドル=150円(2026年8月17日時点)で換算
■The Monterey Auction 2026 1985年式 ランボルギーニ「カウンタック LP5000 QV」の注目ポイント
◇1億円超のコストをかけたフルレストア (エンジンから内外装に至るまでコンクールレベルの修復を実施。新車以上の輝きを取り戻した)
◇世界唯一のV12気筒48バルブ・キャブレターを搭載した初期型ラウンドベリーボディ (欧州仕様専用のウェーバー製ダウンドラフト・キャブレターを装備する世界で唯一のスーパーカーにして、歴代屈指の455馬力を発揮する初期型ボディ)
◇相場の約2倍となる約2億円での高額落札 (近年の相場を大きく上回る132万5000ドルを記録。ウイングの有無を選べたり金色と銀色のテレフォン型ホイールなど特別な付属パッケージが評価された)
■カウンタック LP5000 QV ダウンドラフト 主要スペック
ベース車両:1985年式 ランボルギーニ カウンタック LP5000 QV(欧州仕様) 生産台数:約300台(欧州ダウンドラフト仕様) 走行距離:3万3010km エンジン:5167cc 48バルブ V型12気筒 吸気システム:ウェーバー製ダウンドラフト・キャブレター 最高出力:455hp パフォーマンス:0-60mph加速 4.1秒 / 最高速度 195mph(約313km/h) エクステリア:Nero Tenebre(ブラック)、専用パワーバルジ、欧州仕様バンパー インテリア:Nero(ブラック)レザー 付属品:純正OZホイール2セット(ゴールド/シルバー)、リアデッキリッド2種(ウイングあり/なし)、オーナーズマニュアル、ツールキット 落札価格:132万5000ドル(約2億円)
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