SUBARUのストロングハイブリッド「S:HEV」が、ついにレヴォーグ レイバックにも搭載された。注目は燃費性能だけではない。全高を20mm下げた新しいパッケージングによって、レイバック本来のワゴンらしい走りがさらに磨かれていた。プロトタイプに先行試乗し、その進化を確かめた。
20mmローダウンが生んだ新しいレイバック
2026年6月4日、SUBARUはレヴォーグ レイバックの「Fタイプ」への改良を発表した。今回はそれにあわせて、7月に発表予定とされていた「レヴォーグ レイバック S:HEV」のプロトタイプに先行試乗する機会を得た。
ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
SUBARUラインナップの中でも、フォレスターやクロストレックよりSUV色を抑え、より乗用車的に使えるクロスオーバーとして位置づけられているのがレヴォーグ レイバックである。今回登場するS:HEVは、その魅力に上質感や長距離性能、そして電動化による走りの滑らかさを加えたモデルといえる。
SUBARUのストロングハイブリッド車、S:HEVシリーズとしてはクロストレック/フォレスターに続く第3弾。パワートレーンは基本的にこれまでと同様で、2.5L水平対向直噴4気筒エンジンにモーターを組み合わせ、機械式AWDを採用するストロングハイブリッドである。
変更点はパワートレーンだけではなく、見た目の印象からかなりすっきりした。レヴォーグ レイバックは2023年10月、泥臭さを抑えた都会派クロスオーバーSUVとして登場したが、それでも「ボンネットのパワーバルジは不要ではないか」「街中で扱いやすいパッケージにしてほしい」といった声もあったという。個人的には、いまだにあの膨らみにときめいてしまうのだが、それはもう古い感覚なのだろうか・・・。
今回のS:HEVでは、思い切って車高を20mm下げ、全高を1550mmに抑えている。2025年にホンダ ヴェゼルもRSグレードで通常モデルより車高を下げ、全高1545mmとしていたが、機械式駐車場の1550mm制限を考えれば、都市部での使い勝手を高めるうえで納得できる改良である。
車高ダウンにより最低地上高は180mmとなったが、一般的な乗用車が140mm前後であることを考えれば、大きなアドバンテージがある。多少の荒れた道やダートであれば下まわりを気にする必要は少ないだろう。さらにSUBARU独自のシンメトリカルAWDやX-MODEまで備えるのだから、よほどの悪路でない限り困る場面はなさそうだ。
そして、この20mmダウンが走りにはかなり効いていた。
際立つ、ステーションワゴンらしい走り
試乗コースはスキー場へと向かう取り付け道路で、道幅は狭く、路面もところどころ荒れているという条件。しかも試乗は、いきなり坂道を下るところから始まるという少し珍しいシチュエーションだった。だがその分、モーター駆動が加わるS:HEVの出足のよさが際立ち、電動化のメリットをはっきり感じることができた。
最初のコーナーへ向かって減速し、ステアリングホイールを切り始めた瞬間、これまでのレイバックとは別物だと感じた。車高20mmダウンの効果は明らかで、EPSのチューニングも効いているのだろう。従来のグランドワゴン的なゆったりした動きは影を潜め、急なコーナーでも自然にスーッと向きを変えていく。重心の高いSUVでは味わいにくい、気持ちのいい曲がり方だ。
もともとステーションワゴンボディで全高が低いため、上屋が大きく揺すられる感覚は少なかったが、さらに重心が下がったことで、左右に振ったときの動きもより自然になった。頭が上下左右に揺すられる感覚が少ないため、これは同乗者の快適性にも効いてくるはずだ。
一方で、車高を下げたことでサスペンションストロークや乗り心地が犠牲になっているのではないか、と気になる人もいるだろう。しかし、その心配は無用。段差や荒れた路面でも突き上げ感や不快な硬さはなく、GT的な性格を持つレヴォーグ レイバックらしい快適性はしっかり保たれている。
同乗した開発者によれば、車高は下げているものの、スプリングレートそのものは変更していないという。その代わり、バンプストッパーでチューニングを施しており、ショックアブソーバーが縮んだ際の衝撃や振動をそこでうまく吸収しているようだ。
今回は比較用として現行型の1.8Lターボモデルにも試乗したが、あらためて乗るとこちらはよりゆったりとした印象で、SUV的な味わいが強い。このあたりは好みが分かれる部分だが、S:HEVはレヴォーグ本来の走りのよさをより際立たせ、GT的な乗り味を強めたモデルといえる。
SUVではなく「クロスオーバーワゴン」を求める人へ
現在、日本国内ブランドのラインナップを見ると、いわゆるステーションワゴンはほぼ壊滅状態にある。そうした中で、ステーションワゴンとSUVの良さを併せ持つレイバックは、走りだけでなく実用面でも独自の存在感を放つ。たとえば荷室長は1070mmもあり、SUVベースのライバルに対して大きなアドバンテージとなる。いまだステーションワゴンを愛するユーザーは少なくないし、レガシィ アウトバック不在の現行ラインナップにおいて、その代わりを担える唯一のモデルでもある。
今回追加されたS:HEVは、「PremiumBlack S:HEV EX」と「Premium S:HEV EX」の2グレード構成。前者の価格は424万6000円で、現行1.8Lターボのブラックセレクションと同価格に設定されている。その分、装備は整理されているが、これまで設定のなかったX-MODE、コーナリングランプ、ステアリングヒーターなどが標準装備となる。一方、上級仕様の「Premium S:HEV EX」は452万1000円。ナッパレザーやハーマンカードンオーディオを標準装備する。
全高や最低地上高の高いSUVまでは必要ない。それよりも荷室の使いやすさや乗り降りのしやすさを優先したい。そんなユーザーにとって、レヴォーグ レイバック S:HEVはかなり刺さる1台になるはずだ。
走破性や安全面については、SUBARU AWD、X-MODE、そしてアイサイトによって安心感は折り紙付き。そこにS:HEVならではの航続距離と走行性能が加わったことで、「まさにこんなクルマを待っていた」と感じる人も多いだろう。今回はクローズドコースで限られた時間の試乗となったが、その実力は十分に伝わってきた。次はぜひ、公道でじっくりと確かめてみたい。
スバル レヴォーグ レイバック プレミアム S:HEV EX 主要諸元
●全長×全幅×全高:4735×1820×1550mm
●ホイールベース:2675mm
●車両重量:1700kg
●エンジン:対4 DOHC+モーター
●総排気量:2498cc
●最高出力:118kW(160ps)/5600rpm
●最大トルク:209Nm/4000-4400rpm
●モーター最高出力:88kW(119.6ps)
●モーター最大トルク:270Nm
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・63L
●WLTCモード燃費:19.0km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
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