ホンダのエンジン供給で注目されるF1。最近ではエンジンではなく、パワーユニットと呼ばれることが多いが、その中身はどうなっているのか。あらためて2019年のF1パワーユニットを紹介していこう。
ICEと呼ばれるエンジンは1.6L V6ターボ
2014年のレギュレーション改正で、運動エネルギーと熱エネルギーを回収するシステムの搭載が義務付けられたが、その詳細な技術内容は秘密となっていることもあって、このところ多く語られることがなくなってきた。
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ここではF1パワーユニットの基本的なところを見ていこう。さて、F1パワーユニットはエンジン、ターボチャージャー、エネルギー回生システム、バッテリーなどで構成される。パワーユニットはPower Unit=「PU」と略されることが多い。
エネルギー回生システムからのエネルギー供給量が大きくなり、エンジンだけからパワーを得るわけではないのでパワーユニットと呼ばれるようになったわけだが、全体では760ps以上、瞬間的には1000ps近くのパワーを発生していると言われる。ではその構成システムをひとつずつ見ていこう。
エンジン(ICE)
F1では、エンジンはICE=インターナル・コンバッション・エンジン(internal-combustion engine)と呼ばれる。直訳すると内部燃焼機関となる。現在は1.6L V6ターボを使う。レギュレーションで排気量1.6l以下、最大回転数1万5000rpm、バンク角90度、最大燃料流量100kg/h、重量145kg以上と規定されている。1レースの燃料使用量は今シーズンから110kgとなった(従来は105kg)。
エネルギー回生システム(ERS)
ERSとは、Energy Recovery Systemの略。MGU-KとMGU-Hから構成され、運動エネルギーと熱エネルギーを回収し電気エネルギーへと変換する。ERS単体で160ps以上発生すると言われる。
MGU-K
MGU-Kとは、Motor Generator Unit Kinetic の略。ブレーキング時に発生する運動エネルギーを回収するシステム。またMGU-Kは回生に加えて実際にマシンを駆動する役割を持っている。
MGU-H
MGU-Hとは、Motor Generator Unit Heat の略。排気ガスの熱エネルギーを回収するシステムのこと。2013年まで「KERS」と呼ばれていたF1のハイブリッドシステムは運動エネルギーのみを回生したが、現在のシステムは熱エネルギーも回生するため、ERSという名称に変更されることになった。MGU-Hには回生可能なエネルギー量の上限がなく、回生された電気エネルギーは、バッテリーに蓄めるか、あるいは直接MGU-Kに送り込まれる。
バッテリー(ES)
ESはEnergy Store=エネルギーストアの略。MGU-KとMGU-Hで作られた電気エネルギーを一時的に蓄めるシステム。バッテリーが受け取る量、バッテリーからMGU-Kに送る量は厳しく制限されれている。フェラーリはふたつのバッテリーを搭載し、放電と蓄電を同時に行なっているという。
重要なポイントはこれらのシステムをいかに総合的にコントロールするかで、現在は、メルセデス・ベンツ、フェラーリ、ルノー、ホンダがパワーユニットを開発しチームに供給している。
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