BEVの航続距離不安を打ち砕くリアルワールド・テスト
BMWは次世代商品群「ノイエ・クラッセ」の第一弾となる新型BEV「iX3」のロングホイールベース・モデルにおいて、充電なしで800km以上を走り切る過酷な実証テストを成功させたと発表した。標高差2000m、気温差20℃という中国・青海省の厳しい自然環境下において、その極めて高い効率性を証明している。圧倒的なカタログスペックを現実世界の公道で裏付ける、圧巻のパフォーマンスの全貌をお届けする。
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舞台は中国・青海省。あえて最悪のコンディションで試される真のポテンシャル
BMWは中国・青海省において、新型iX3ロングホイールベース(iX3 50L xDrive)のプロトタイプを用いた過酷な耐久テストを実施した。21インチのエアロダイナミックホイールを装着した車両は、西寧を起点とする青海湖のグランドループを走行した。
標高約2200mからスタートし、4000m近い高地まで登ったのちに再び出発点へと戻るという、標高差およそ2000mの登降坂が連続するルートである。道中では激しい降雪や大雨、そして高地特有の強烈な日差しに見舞われ、気温も1℃から21度℃で大きく変動するなど、日常での電動モビリティの使用を検証するための非常に代表的なテスト環境となった。
ラボの数値を現実に。実用航続距離800km超を証明した第6世代バッテリー
新型iX3は現実のユーザーの運転行動を反映させるため、快適性とエネルギー効率のバランスに優れた「エフィシェント」モードで全行程を走行。その結果、800km以上の道のりを無充電で走破し、バッテリー残量2%を残して見事にゴールを果たした。平均消費電力は100kmあたりわずか12.6kWh(換算すれば7.94km/kWh)という驚異的な数値を記録し、この過酷な条件における総航続距離のポテンシャルは835kmから840kmに達することが示された。
iX3 50/50L xDriveには実使用可能なエネルギー容量108.7kWhの第6世代高電圧バッテリーが搭載されており、WLTPサイクルで最大805kmという長大な航続距離を誇る。今回のテストは、その公称値がラボ内の数値に留まらず、厳しい現実の公道環境でも十分に発揮されることを明確に証明した形だ。
効率性と「駆けぬける歓び」の融合。ノイエ・クラッセが示す絶対的な自信
この卓越した効率性は、単一の技術のみで実現されたものではない。新たに開発された円筒形セルを採用するバッテリーは、エネルギー密度を大幅に向上させつつ、パッケージングや重量を最適化している。また、電動励起式同期モーターと非同期モーターを組み合わせた新開発のドライブトレインは、エネルギー損失を最大40%削減し、システム全体の効率を最大20%向上させた。
インテリジェントな「ハート・オブ・ジョイ」コントロールシステムと新開発のソフトストップ機能により、日常的な走行における制動の最大98%を摩擦ブレーキの介入なしに回生ブレーキのみでカバーする。さらに、自社開発の「エネルギー・マスター」がルートの起伏や気温に応じたエネルギー配分を最適化するほか、統合的な熱管理システムが激しい寒暖差のなかでもバッテリーとキャビンの温度を理想的な状態に保っている。
BMWにとって効率性とは単に航続距離を伸ばすことではなく、予測可能な消費電力と安定した性能を提供することにある。空力コンセプトを含めた「ノイエ・クラッセ」の全体的な統合が、どのような状況下でもドライバーに絶対の自信をもたらすことが、今回のアタックで証明されたのである。
【ル・ボラン編集部より】 1960年代にBMWを救った「ノイエ・クラッセ」。その名を継承する新型iX3が、巨大バッテリーによる力技ではなく、システム全体の高効率化で実用航続距離800km超を実証した意義は深い。絶対的な効率の追求は、往々にしてクルマからエモーショナルな味わいを奪う。だが、超高速頭脳「ハート・オブ・ジョイ」による緻密な制御や新開発モーターの協調は、極限環境下でも「駆けぬける歓び」を死守している。相反する環境性能とドライビングの熱量を高次元で両立させる姿に、ミュンヘンの技術的矜持を見た。
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