セダンの走行性能や快適性と、優れた積載性や利便性を併せ持つステーションワゴン。こう言い表すといいことづくめのようだが、いかんせん今の日本では人気がない。しかし、そんなステーションワゴンにも凄まじい勢いで発達した一大ブームがあったのだ。
文:木内一行/写真:トヨタ、スバル、日産、ホンダ
【画像ギャラリー】今こそステーションワゴンを再評価したい!!(12枚)
「当時は商用車として認識されることも」
アメリカをルーツとするステーションワゴン。日本では1960年代から登場して徐々に増えていったわけだが、当時のワゴンはあくまでもライトバンの延長。つまり、商用車として認識されることが多かったのだ。
そのため、サニーが「カリフォルニア」、シビックが「カントリー」、レオーネは「ツーリングワゴン」と名付けて専用装備を採用し、ライトバンと差別化を図っていった。
そして、1990年代にはRVブームとともにステーションワゴンブームが到来。各メーカーから大小さまざまなモデルがリリースされていた。
「一大ブームを牽引した快速ワゴン」 スバル・レガシィ
そんなステーションワゴンブームの火付け役となったのが、1989年に完全な新型車として登場したレガシィだ。
ポジション的にはレオーネの後継にあたるが、目指したのは「世界に通用する国産戦略車」。エアロダイナミクスを駆使したボディはボリューム感と上質感を備え、セダンとツーリングワゴンをラインナップ。特にワゴンが世間に与えたインパクトは大きく、スタイリッシュなフォルムはライトバンとは無縁のものだった。
そして、レガシィ人気をさらに高めたのが「GT」グレードの存在。自慢の水平対向2リッターターボエンジンとフルタイム4WDを組み合わせ、スポーツモデルを凌駕する高性能を実現。これにより、ハイパフォーマンスワゴンの名をほしいままにし、人気をさらったのだ。
このレガシィの登場によりワゴンは、「荷物を運ぶクルマ」から「レジャーに最適なクルマ」に変身。ワゴンブームを牽引したのである。
「アメリカの風を感じられる帰国子女」 ホンダ・アコードワゴン
スタイリッシュなルックスとともに、高い運動性能も評価されて人気を集めたレガシィ。それを追随するように、1991年にホンダが市場へ送り込んだのがアコードワゴンだ。
とはいえ、アコードワゴンはレガシィのような走行性能は持ち合わせていない。しかし、北米生産の輸入モデルという魅力がある。
コンセプトの立案からデザインや設計、開発をホンダR&Dノースアメリカ(HRA)で行い、ホンダ・オブ・アメリカ・マニファクチャリング(HAM)で生産。
ベースとなったのは4代目アコードで、フロント半分を共用しながら滑らかで伸びやかなフォルムを構築。そのアメリカナイズされたワゴンスタイルや利便性の高い室内などが注目を集め、輸入車としては異例のヒットモデルに成長した。
また、ローダウンしてビレットパーツでドレスアップしたり、ウーファーでオーディオをグレードアップさせたりと、カスタムして楽しむユーザーも多かった。
「日産初となるLクラスのワゴン専用モデル」 日産・ステージア
日産は長らくセドリック/グロリアにワゴンを設定。しかし、それはあくまでもバンを乗用仕様に仕立てたものだったため、ワゴン専用モデルとしてステージアを開発し、1995年に発売した。
「最上級のワゴンクオリティと高性能な走りを実現する“プレステージ・ツーリングワゴン”」をコンセプトに、ローレル/スカイラインと共用のシャシーを用いて高い機能性と快適かつスポーティな走りを実現。これまでの国産車にはない、新しいステーションワゴン像を作り上げた。
ボディはセドリック/グロリアを上回るサイズで、車格感や存在感のあるデザイン。室内も質感が高く、荷室は広さと使いやすさを追求した作り込みがなされている。
スポーティな走りも魅力で、ボディを徹底的に見直して高剛性を確保。リアのマルチリンクサスもワゴン専用として新開発したものだ。そしてエンジンは直6のRB系で、強力な2.5リッターターボも搭載された。
また、R33GT-Rのメカニズムを用いて最強ワゴンとの呼び声も高い「オーテックバージョン 260RS」もあった。
こうしてステージアは、高級なだけでなく走りも楽しめるプレステージワゴンとして人気を獲得したのだ。
「歴史あるワゴンもキャラを変えて再出発」 トヨタ・クラウン エステート
トヨタ最古の伝統ある車種ながら、2022年に大きな変革を遂げたクラウン。現行は、クロスオーバー、スポーツ、セダンと順に発売され、最後発となったのがエステートだ。
クラウンのワゴンモデルといえば、代々ラインナップされているほど歴史あるもの。11代目では「エステート」の名を付与して人気を博したが2007年に生産終了。現行モデルは、それ以来の復活となった。
最大の特徴は、ワゴンとSUVを融合させたデザイン。全長5mに迫る堂々としたサイズで、その迫力は従来の国産Lサイズワゴンでは得られなかったもの。
ワゴン最大の魅力である積載性も優れ、「ラゲージルーム拡張ボード」により奥行き2mの完全フルフラットスペースを生み出すことができる。
パワートレインは2.5リッター直4のハイブリッド仕様と、同プラグインハイブリッド仕様の2タイプ。駆動方式はいずれもE-Fourだ。
クロスオーバースタイルに最新メカニズムを組み合わせ、新たなスタートを切ったクラウン エステート。今や貴重な国産ワゴンとして注目は高い。
「ステーションワゴンの需要は欧州と雲泥の差」
欧州では相変わらずステーションワゴンの需要が高く、メルセデス・ベンツはもちろん、BMWはツーリング、アウディはアバント、フォルクスワーゲンはヴァリアントとしてラインナップしている。
しかし日本においては、国産ワゴンの現行モデルとなるとクラウン エステートのほか、カローラ ツーリングとレヴォーグぐらいしか見当たらない。とはいえ、ステーションワゴンの根強いファンがいることも事実。日本での復活を待ち望む声は少なくない。
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みんなのコメント
残念ながら今のホンダには、そういう企画やものづくりが出来る人材がいないらしい。