2007年1月の発売以来、18年を経てもなお売れ続けているデリカD:5。2024年1~12月、三菱の登録車なかで最も売れたのは1万9886台(対前年同期比115.5%)を販売したデリカD:5だったのだ。はたして長寿の秘密はどこにあるのか?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部、三菱自動車
デリカD:5は発売から18年の長寿モデルなのにいまだに好調に売れてるのはなぜ?
【画像ギャラリー】発売から18年も経ってるのになぜ売れ続けるのか? 新型デリカD:6の写真もチェック!!(11枚)
三菱車(登録車)の稼ぎ頭となっているデリカD:5
必要な装備が充実するスタンダードモデル、G(4WD)、価格425万8100円
三菱の小型/普通車のなかで、2024年に最も多く販売された車種は、3列シートミニバンのデリカD:5であった。1か月平均で1657台だから、決して多くないが、マツダCX-5などと同等の売れ行きだ。ちなみに軽自動車(乗用車)ではデリカミニ/ekの2024年累計販売台数は6万1台(対前年同期比147.9%)。
しかも三菱の販売店舗数は、全国に約520箇所だから、日産の約2000箇所、ホンダの約2100箇所、トヨタの約4400箇所に比べて大幅に少ない。デリカD:5の月販平均1657台は、仮にトヨタの販売規模に当てはめると1万4000台に相当する。
そしてデリカD:5の売れ筋価格帯は430万~470万円だから、日本車では高価格に属する。三菱の国内販売では、大きな利益をもたらす大切な車種だ。
デリカD:5は、デリカスペースギアの後継車種として、2007年1月に発売した。2008年に改良を2回受けた。5月には2列目がセパレートシートの7人乗りを加えて、シートヒーターなども充実させた。12月にもフォグランプの標準装着など装備を見直している。2009年には燃費やディスプレイなどを改善した。
2014年は特別仕様車を充実させ、豪華なロイヤルエクシード、価格が割安なMリミテッド、装備を充実して内外装の質を高めたシャモニーを次々と加えた。2015年には、2Lと2.4Lのガソリンエンジンに、2.2Lクリーンディーゼルターボも加えた。2017年には装備を見直している。
通算10期にわたって販売されている人気の特別仕様車「CHAMONIX(シャモニー)」7人乗り
2019年2月に従来型のガソリンエンジン車を継続生産しながら、ディーゼルにはフルモデルチェンジ並みの大幅な改良を実施。フロントマスクはダイナミックシールドの特徴を明確に表現して、ヘッドランプなどをバンパーの両側に縦方向に配置した。
ディーゼルは燃焼効率を改善して、ATも8速になり、動力性能と燃費を向上した。サスペンションも改善され、フロント側はスプリングの配置も変えて、走行安定性と乗り心地を引き上げた。衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能も備わり、遅れていた先進安全性を挽回した。
この後、2019年10月にガソリンエンジン車は終了して、ディーゼル4WDに絞られ、2020年と2021年にも装備や外装色を変更。2022年には純正アクセサリーに「ラリーアート」を追加。2023年の一部改良では、マルチアラウンドモニターと自動防眩ルームミラー(マルチアラウンドモニター付)が全車に標準装備となった。
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ミニバンとSUVのいいとこどりをしたデリカD:5の魅力
デリカD:5のオフロード走行はさまになる
デリカD:5は、発売から18年を経過しているのにもかかわらず販売は堅調だ。これほどデリカD:5が息の長い人気を得ている理由は、ほかのミニバンでは得られない魅力を備えているからだ。
まずは外観のデザインが挙げられる。フロントマスクは、SUVのアウトランダーなどと同じく、フェンダーが前側まで回り込んでボディをガードするようなダイナミックシールドの形状だ。
ボディ全体もSUV風で、主力グレードに装着されるタイヤは18インチの大径サイズになる。最低地上高は185mmの余裕があるから、悪路のデコボコを乗り越えやすい。
駆動方式もSUVに準じており、2WDは用意されず全車に4WDを搭載した。4WDシステムは、電子制御される多板クラッチによって前後輪に駆動力配分するタイプだ。多板クラッチの締結力を強めて、悪路走破力を向上させるロックモードも採用した。
デリカD:5、特別仕様車のブラックエディション
このようにデリカD:5は、外観、最低地上高、4WD、実際の悪路走破力まで、ミニバンスタイルのSUVと呼べる内容を備える。特に悪路走破力は、ミニバンでは最強で、ほかの車種では得られないデリカD:5特有の魅力になる。今はSUVの人気が高いため、デリカD:5にとって有利になっている。
エンジンにも特徴があり、ミニバンでは唯一、クリーンディーゼルターボを搭載する。直列4気筒2.2Lで、最高出力は145ps/3500rpm、最大トルクは38.7kgm/2000rpmを発生する。
後車の数値は、ガソリンエンジンに置き換えると3.5Lに相当する。実用回転域で発揮されるから運転感覚も力強い。デコボコの激しい悪路をゆっくりと進んだり、高速道路の巡航でも優れた性能を発揮するから、デリカD:5の用途にも適する。過去を振り返っても、デリカスターワゴン、デリカスペースギアという歴代デリカは、ディーゼルエンジンとの組み合わせで高い人気を得てきた。
ディーゼルは燃費も優れ、デリカD:5は車両重量が2トン近くに達するが、WLTCモード燃費は12.6km/Lだ。軽油の価格は、税額が少ないためにレギュラーガソリンよりも1リッターあたり20円ほど安く、デリカD:5も燃料代を節約しやすい。このようにディーゼルエンジンの搭載は、走行性能、運転感覚、経済性においてデリカD:5のニーズに合っている。
スタンダードモデル、Gのインテリア
デリカD:5は、ミニバンの本質とされる空間効率も優れている。全長が4800mm以下のミニバンでは居住空間が最も広い。身長170cmの大人6名が乗車した時、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、デリカD:5の3列目の膝先空間は握りコブシ3つ分に達する。
同じ測り方で、セレナの3列目は握りコブシ2つ半、ステップワゴンは2つ分、ノア&ヴォクシーは1つ半だ。デリカD:5の3列目は、足元空間の広さに加えて、シートのサイズにも余裕があって座面の厚みも十分に確保した。したがってライバル車よりも快適だ。多人数で乗車して、長距離を移動するミニバンの本質的な機能も優れている。
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リセールバリューのよさもデリカD:5の魅力
デリカD:5ブラックエディション。価格は473万3300円
価格は上級グレードのPが460万1300円だ。セレナにハイブリッドのe-POWERと後輪をモーターで駆動する4WDを搭載したe-4ORCEハイウェイスターVが408万8700円だから、デリカD:5は価格が高い。それでも好調に売られる背景には、デザインや機能以外の魅力もあるのではないか。
この点を販売店に尋ねると以下のように返答された。「デリカD:5は、個性の強いミニバンで、中古車市場でも人気が高い。数年間使った後でも高値で売却できる。そのためにデリカD:5を何台も乗り継ぐお客様も多い」。デリカD:5はいわゆるリセールバリューが高い。
そこで残価設定ローンの3年後の残価(残存価値)を算出すると、新車価格の55%であった。5年後でも43%に達する。一般的な残価は3年後が43~48%、5年後は35~40%だからデリカD:5は高い。残価設定ローンの残価は、リセールバリューに応じて決められるため、デリカD:5は売却時も好条件になると考えられる。
さらに販売店では「デリカD:5は、コンパクトカーから輸入車まで、三菱車以外のさまざまな車種からの乗り替えがある」という。
「子供が成長して家族でスキーに出かけたりするには、4名で乗車できて荷物も積みやすく、なおかつ雪道の走破力の優れたクルマが欲しい。SUVの4WD仕様でもよいが、ミニバンのデリカD:5なら、多量の荷物を簡単に積める。そこで人気を集めた」。
具体的には荷室をどのように使っているのか。「デリカD:5のお客様は、いろいろな工夫をされている。例えば荷室を広げる時は、一般的には3列目のシートを左右に跳ね上げるが、背もたれを後方に倒して使うお客様もいる。
車中泊に便利なセカンドシート+サードシートフラットモード
洋服やバッグなどは、背もたれを倒して面積を広げた3列目シートの上に置き、汚れたり、濡れた荷物は下側の床に置く。つまり3列目シートを使って上下2段の荷物棚として活用するわけだ。デリカD:5の全幅は1800mm以下だが、角張ったボディで車内の幅は広い。キャンプなども含めて、アウトドアに出かける機会の多いお客様にも好評だ」。
納期はどの程度か、次期型の話は聞いているか。「デリカD:5は、3か月前後で納車できる。納期の短さも人気の秘訣だ。次期型の話は今は聞いていない。2024年11月に特別仕様車のブラックエディションも投入したから、現行型の販売を続ける」。
デリカD:5の次期型が開発されていることは確かだが、発売までには暫く時間を要する。特にディーゼルエンジンが好きなら、現行デリカD:5は選ぶ価値の高いミニバンだ。高値で売却できる資産価値の高さも大切な魅力になる。
5名乗車+ラゲッジスペース(8人乗り)。荷室長は1200mm
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次期デリカD:6はいつデビュー?
JMS2023で公開したD:Xコンセプトのデザインを活かして登場するD6。2026年秋の登場が予想される(ベストカー編集部作成の予想CG)
2023年に開催されたジャパンモビリティショーで世界初公開されたD:XコンセプトこそデリカD:6を示唆するモデルで、過去に登場したモデルの傾向と同じく、エクステリアデザインはそのテイストを活かして市販化される。
注目のエクステリアデザインは、絞り込んだフロントエンド、フロントフェンダーからノーズが一体となってスラントしたライン、フロントウィンドウとの段差など、個性的なものとなっている。
パワーユニットは、シリーズ初となる電動ユニットを採用。アウトランダーと同じPHEVシステムが採用される。エンジンの総排気量はアウトランダーPHEVと同じ2.4Lだが、次世代に向けた新開発エンジンとなる。
インパネ足元を外部カメラで撮った映像で透過させるシースルーボンネットを採用する。市販時にも採用してほしい!
駆動方式はD:5同様に4WDのみ。三菱自慢の4輪を統合制御するS-AWCは制御ソフトの最適化により進化し、オンロード、オフロード問わず安心・安全に走行することができる、世界的に見ても唯一無二のミニバンとなる。
ただし、昨今の材料費の高騰や、PHEV化によって、価格が大幅に上昇する可能性がある。その打開策として、2.2L、直4ディーゼルターボを搭載した廉価グレードが設定される可能性はある。三菱の戦略に注目だ。
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みんなのコメント
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だからね♫ パジェロが無い今三菱の四駆はアウトランダーとデリカしか無い(エクリプスクロスは微妙…)