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フォルクスワーゲン・ゴルフ(最終回) 長期テスト 万能選手の高いハードル

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フォルクスワーゲン・ゴルフ(最終回) 長期テスト 万能選手の高いハードル

積算1万414km 暮らしに馴染む万能選手

AUTOCARの長期テストへ、数年前にもフォルクスワーゲン・ゴルフGTIが加わっていた。後期型の7.5代目といえるクルマで、ほぼマイナスポイントはなかったようだ。改善を求めた部分は、ステレオのボリュームノブくらい。

【画像】トップクラスの万能選手 8代目VWゴルフ GTIにヴァリアント、Rも 全109枚

フォルクスワーゲンが長年開発を重ねてきた、ゴルフGTIの高い完成度を示すものだった。自ずと、8代目ゴルフGTIへのハードルも高いものになっていた。果たして、改善を希望する部分は、ボリューム以外に存在した。

といっても、マイナスばかりに注目しないで欲しい。プラスの方が遥かに多い。

8代目ゴルフの長期テスト車として初めに英国編集部へやって来たのは、英国のエントリーグレードに当たるライフのマイルドハイブリッド、1.5 eTSIだった。途中で、その対極といえるGTIに変更している。

そのどちらもが、毎日の暮らしに馴染む、極めて優れたオールラウンダーだということを確認できたと思う。リラックスして運転でき、広々とした車内は快適だ。

GTIにはスポーツシートとヒーター内臓のステアリングホイール、スマートフォンのワイヤレス充電機能などが備わり、より快適に仕上がっていた。それでも、ベーシックなライフ・グレードでもまったく不足は感じなかった。

GTIのレシピのカナメといえるバランス

8代目の登場時は乗り心地に疑問が挙がっていたものの、1.5 eTSIはそう感じさせなかった。GTIのハードな乗り心地も試乗レポートで知っていたから、多少の心構えはしていたが、実際は想像したほどでもなかった。

確かに1.5 eTSIよりは硬い。しかし一度ドライブモードの調整を済ませれば、充分にマイルドにできる。モード調整のメニューから、サスペンションをソフト側に振る作業が、少し手間ではあるけれど。

スポーツ・モードは特別な走りに備えて、バランス良く調整されている。しかも、ライバルのホットハッチと比べて硬すぎるというわけでもない。

ゴルフGTIは、ワインディングで最高に楽しませてくれる。さらに、日常のあらゆるシーンにも見事にマッチしてくれる。買い物にも、通勤にも、高速道路での長距離移動でも。

そのバランスが、GTIのレシピのカナメ。8代目ではハード寄りに傾いてはいるが、それでも称賛したいほどに優れている。

ハードへ傾いた理由は、よりGTIを強くアピールしたいという、フォルクスワーゲンの狙いだったのではないだろうか。電動化が進むなかで、2.0L 4気筒ターボエンジンには、マイルドなハイブリッドも備わらない潔さだ。

スパイスの効いたホットハッチを望むコアなファンに向けて、性格付けが与えられているように思える。筆者の推測だが。

つまづくインフォテインメント・システム

燃費も良い。アクセルペダルを丁寧に踏めば、巡航走行で17.0km/Lも不可能ではない。マイルドハイブリッドの1.5 eTSIとも、遠く離れてはいない数字だ。フォルクスワーゲンはID.3を筆頭に純EVを展開しているが、まだ恐竜時代のクルマではない。

そして、ゴルフにもしっかり最新技術が導入されている。このデジタル技術が、最新のゴルフGTIで一番風当たりの強い部分だといえる。

大きなタッチモニターとタッチセンサーが支配する、シンプルなデザインのダッシュボードは現代的。新しい体験を提供してくれる。すべてがスムーズに動けば。

タッチモニターの位置も良い。グラフィックは高精細で、インターフェイスのデザインも悪くないだろう。しかし英国仕様では、OS自体の動きが安定しなかった。

メニューの読み込みに時間を要したり、アップル・カープレイがうまく起動しないことが何度もあった。重症な時は、1分ほどフリーズすることも。ステアリングホイール上のボタンで、タッチモニターを介さず操作も可能だが。

タッチモニターの下のスライダーも、反応が良くなかった。最終的に、殆ど触れなくなってしまった。

運転支援システムのソフトウエアにも、不具合があった。アダプティブ・クルースコントロールは全般的に良く機能していたが、マイルからkmへ、交通標識の認識機能が突然切り替わる場面があった。

トップクラスにあるGTIの能力

ただしこれらは、基本的にマイナーな問題といえる。ソフトウエアのアップデートで解決できる可能性は高い。オールラウンダーとして水準以上の期待が掛かるゴルフなだけに、余計残念に思えてしまうのだろう。

Cセグメントのハッチバックとして、1.5 eTSIでもGTIでも、8代目ゴルフの競争力は非常に高い。オールラウンダーとしての能力も、トップクラスにあるといえる。7代目で改善点に挙がった、ボリュームのノブもなくなっている。

セカンドオピニオン

フォルクスワーゲンは、ディティールにまで気を配ってゴルフを高水準に仕上げている。しかし、インフォテインメント・システムのMIB 3の仕上がりは、そうでもないようだ。

いままで筆者は不具合に遭遇したことはない。だが、火のないところに煙は立たないものだ。 Matt Saunders(マット・ソーンダース)

テストデータ

気に入っているトコロ

全方位的な快適性:クラスを超えた快適性がある。40年に及ぶゴルフの進化を反映している。
熱すぎず、冷たすぎない:程よくチューニングされた4気筒エンジンと6速MTは、郊外の道で最高の組み合わせになる。
新しいスタイリング:馴染みのあるスタイリグが、所有する充足感を与えてくれる。シャープさを増しつつ、ゴルフらしい。

気に入らないトコロ

インフォテインメント・システムのOS:起動や反応に時間がかかる。見た目は良いのだけれど。
ボリューム・スライダー:ステレオのボリューム調整には、従来的なノブが良い。

走行距離

テスト開始時積算距離:4580km
テスト終了時積算距離:1万414km

価格

モデル名:フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI(英国仕様)
開始時の価格:3万3525ポンド(約520万円)
現行の価格:3万4175ポンド(約529万円)
テスト車の価格:3万7230ポンド(約577万円)

オプション装備

ダイナミック・シャシー・コントロール:785ポンド(約12万1000円)
メタリック塗装:770ポンド(約11万9000円)
ヘッドアップ・ディスプレイ:625ポンド(約9万7000円)
GPSトラッカー:540ポンド(約8万3000円)
ウインター・パッケージ:470ポンド(約7万3000円)
リアカメラ:300ポンド(約4万6000円)
デジタルキー:215ポンド(約3万3000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:15.6km/L
タンク容量:50L
平均燃費:15.1km/L
最高燃費:15.5km/L
最低燃費:14.0km/L
航続可能距離:754km

主要諸元

0-100km/h加速:6.4秒
最高速度:249km/h
エンジン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
最高出力:245ps/5000-6500rpm
最大トルク:37.6kg-m/1600-4300rpm
トランスミッション:6速マニュアル
トランク容量:374L
ホイールサイズ:18インチ
タイヤ:225/40 R18
車両重量:1429kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:205ポンド(約3万1000円/1か月)
CO2 排出量:169g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:584ポンド(約9万円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:584ポンド(約9万円)
1マイル当りコスト:0.16ポンド(約25円)
不具合:なし

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みんなのコメント

4件
  • 日本と同じ右ハンドルであるイギリスのドライバーにも、室温調節から窓の曇り取りまで走行中でも視線目落としての左手タッチモニターでの操作を強いられるのは、ことのほかフラストレーションなようですね、、、

    こんなものを、「スッキリしている!」、デジタル化!」とか「先進的!」とか褒めそやす日本の評論家は、全員デタラメ認定で良いといます。
  • >英国のエントリーグレード 1.5 eTSI

    日本のエントリーグレードは、1.0
    それが400万円って、いったい、、、、
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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