F1第16戦トルコGP日曜日のレース前の段階で、2.5ポイント差でチャンピオンシップ争いを演じていた首位ルイス・ハミルトン(メルセデス)と2位マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。しかし、この日のレースでライバルであるハミルトンとコース上でバトルを演じたのは、フェルスタッペンではなく、もうひとりのレッドブル・ホンダドライバーであるセルジオ・ペレスだった。
予選で7番手に沈んだペレスには、レースではまだ重要な仕事が残っていた。それは、予選で首位を獲得したハミルトンが4基目のICEを投入したため、10グリッド降格し、レースは11番手からスタートすることになっていたからだ。ひとつポジションが繰り上がって6番手からスタートすることになったペレスは、レース前、こう語っていた。
レッドブル代表、ハミルトンを抑えきったペレスを称賛「マックスのような激しい戦いぶりだった」/F1第16戦
「チャンピオンだからといってルイスを特別に扱うつもりはない。他のライバルと同じように戦うつもりだ。自分のために可能な限りベストな仕事するだけ。僕は誰に対しても楽をさせるつもりはないよ」
角田裕毅、ピエール・ガスリーのふたりのホンダドライバーをオーバーテイクして5番手まで上がってきたハミルトンの前に立ちはだかったのが、4番手のペレスだった。
30周目にはその差は1秒以内となるが、ここからペレスが魅せた。特に33周目のターン12から34周目のターン1にかけてのバトルは、この日最も白熱したバトルだった。33周目の最終コーナーをアウトから立ち上がったハミルトンは、ペレスよりコントロールラインを1000分の41秒早く通過するが、その後のストレートの加速の良さでハミルトンとサイド・バイ・サイドとなり、ペレスはブレーキングでポジションを取り戻した。
さらにピットストップ後も前を追い、51周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)をオーバーテイク。実力で3位まで浮上し、表彰台に上がった。レッドブル・ホンダのドライバーがふたりそろって登壇するのは第7戦フランスGP以来。ペレスをコース上で完全に抜ききれなかったハミルトンは、その後ピットストップのタイミングを逸し、結局5位でチェッカーフラッグを受けた。
クリスチャン・ホーナー代表もこう言ってペレスを称賛した。
「今日のチェコは最高の仕事をしてくれた。ルイスと激しくホイール・トゥ・ホイールのバトルとなり、ルイスにピットエントリー側へ追い出されながらも、コース上に戻って、続くストレートでのドラッグレースでも一歩も引かなかった」
フェルスタッペンは2位に終わったが、ドライバーズ選手権ではハミルトンを逆転。再びトップに立った。
表彰台でのシャンパンファイト、日本GPをリスペクトして特別にあしらった真っ白なレーシングスーツに身を包んだフェルスタッペンが、最初に駆け寄ったのが同じ真っ白なレーシングスーツを着ていたペレスだった。この光景を鈴鹿で見たかった。
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