■日中米で異なる「セダンの人気」 どのような違いがあるのか。
1980年代から1990年代は、「セダン」が輝いていた時代といえます。セダンをベースに派生モデルとなるクーペやステーションワゴンが誕生するなど、中心的存在はセダンでした。
しかし、2000年以降の日本市場では「セダン人気の低下」が叫ばれ、かつて売れ筋だったセダンが軒並み販売台数を落としていますが、一方で北米市場や中国市場ではまだまだセダン人気は高いままです。なぜこのような差が生まれたのでしょうか。
【画像】これこそ魅力的なセダン! アバロン&シルフィ&シビック 海外仕様を画像で見る!(48枚)
現在、日本の新車市場では、約4割を軽自動車が占めているといいます。これは、日本の道路事情に合わせた独自規格のなかで、走行・燃費・安全といったさまざまな性能が年々進化したことや、普通車よりも車両価格や維持費が安価に抑えられることもあり、人気を博しているのです。
また、5ナンバーサイズのコンパクトカーや多人数乗車とウリとするミニバン、背が高く走破性の高いSUVなどが残りの新車販売シェアを奪い合っています。
これらの影響もあり、セダンの人気かつ販売台数が年々落ちているのです。
一方の北米市場は以前からセダンは高い推移で人気を維持していました。そのため、トヨタでは「アバロン」「カムリ」、日産では「ヴァーサ」「セントラ」「アルティマ」「マキシマ」、ホンダは「シビック」「アコード」などが好調な販売台数を見せていました。
最近でも、マキシマは2021年モデルが投入されるのと同時に北米市場での40周年を記念する特別なモデルも設定されるなど、セダンが長く愛されていることがわかります。
しかし、昨今の北米市場では日本と同様にSUVやピックアップトラックの需要が急激に高まっており、その影響が出た結果としてセダンラインナップの整理や廃止を打ち出すメーカーが出てきているのです。
なかでも、GM、FCA、フォードはセダンの生産中止を決めており、今後は前述のとおりSUVやピックアップトラックの開発や生産に注力していくとしています。
それでも日本メーカーなどでは、現在もセダンが堅調に売れていることもあり、今後の動向が注視されます。
そして、日本や北米と違ってセダン需要が現在も急激に増え続けているのが世界最大級の自動車市場となる中国です。
日本自動車工業会が公表する主要国の四輪車販売台数において、乗用車の販売台数順位は1位が中国、2位がアメリカは変わらずですが、中国は2144万4180台、アメリカは471万5005台、日本は430万1091台となっており、中国とは1500万台以上の差があります。
その中国市場において、セダンは高い人気を誇っておりトヨタ「カローラ」やホンダ「シビック」、「アコード」といった日本でも馴染みのあるモデルが人気です。
なかでも、絶大な人気を誇っているのが2019年にフルモデルチェンジした日産「シルフィ」となり、2019年の年間販売台数では46万2671台を記録しました。
中国市場でセダンが人気の背景について、日産の担当者は次のように説明します。
「中国のユーザーが重視する後席の広さや内装の高級感という要素がセダンには組み込まれています。
さらに、日本メーカーのモデルは『装備が充実しているのに値段が安い』『日本のブランドゆえ信頼できる』ということで支持されています。
また、シルフィは2006年に中国市場への投入以来、中国の家族をターゲットとして、業界をリードする空間の快適性、燃料効率、信頼性でニーズを満たしています。
それらのマーケティングによってシルフィのコアアドバンテージを強調することで、中国の家族層においてユニークな製品の位置づけを確立しました。
これらの理由から、シルフィは中国での自動車市場の激しい競争のなかで支持いただいております」
■セダンが生き残る術は、「高級感」が重要?
実際に、シルフィはモデル末期を販売していた2018年の中国市場でも47万5696台を記録するなど、新旧に関係なく、シルフィ自体が高い人気を誇っていることがわかります。
新型シルフィのボディサイズは全長4641mm×全幅1815mm×全高1450mmとなり、日本仕様の全長4615mm×全幅1760mm×全高1495mmと比べて一回り大きいサイズです。
シルフィ以外でも、欧州メーカーなどでは車名のあとに「L(ロングの意味)」を付けて、ほかの地域で販売するモデルよりもホイールベースを長くして販売するなど、中国でのセダンは後席が広いことが重要な要素だといえます。
また、シビックが好調なホンダの担当者も「高級感ある内装を中国市場向けに設定しているという話もあるので、恐らくいまの中国人のニーズが『セダン×高級感』というところにマッチしているのではないでしょうか」と説明しています。
セダンと高級感という要素は、日本でも同様の傾向が見られます。2020年度上半期(4月から9月)で、公表される50位圏内にランクインしているセダンのみのモデルは、トヨタ「クラウン」と「カムリ」のみです。
クラウンは日本を代表する高級セダンとして、エントリーモデルが489万9000円、カムリもエントリーモデルが348万5000円と決して安価な価格帯とはいえません。
また、2019年9月に発売された日産「スカイライン」でもスカイライン史上最強の405馬力を発揮する「400R」(562万5400円)が同モデルのなかでも人気が高いとことも含め、今後日本でセダンが生き残るには上質な装備・機能や個性のある性能を持った高級感が必要といえます。
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みんなのコメント
通気口は1/3も無いから機能的ではない。空力も悪くなる。
デザイン放棄ですね。
ニガテです。
美しく、磨きたくなるようであって欲しい。