ドライバーのみなさん、ハザードランプをどのように使っていますか?
一般的に知られているのは、まず合流や車線変更などで、譲ってくれたクルマに対してありがとうの意味で使う「サンキューハザード」、渋滞の最後尾で後続車に渋滞を知らせる緊急的な停車時に点滅させる「渋滞最後尾のハザード」。そして、商業施設などの駐車スペースで、バックして駐車する際に用いる「リバースハザード」といった使い方があります。
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では、そうしたハザードランプの使い方は本当に正しいのでしょうか? 道路交通法ではどのように扱われていて、使い方などに制限があるのでしょうか? 多方面にわたってハザードランプの使い方について、モータージャーナリストの岩尾信哉氏が解説します。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーWEB編集部 Adobe Stock
取材協力/警視庁 静岡県警高速道路交通警察隊 NEXCO中日本
ハザードランプはどう使われている?
普段、当たり前のように使っているハザードランプですが、それが本当に正しい使い方なのでしょうか?
意外に思われるかもしれないが、正式には「非常点滅表示灯」と呼ばれる「ハザードランプ」は、基本的な非常時に停車する場合や、路線バスやスクールバスの運用時の乗客の乗り降りのために停車/発車する際などに、周囲に状況を知らせるための使用が定められるだけなのだ。
具体的には、道路交通法の施行令、第18条第2項(非常時の使用)と第26条の3第2項(バス関連)に示されているだけで、厳密に使用法が定義されているわけではない。以下、要目を抜粋してみると、
(道路にある場合の灯火)
第18条 2 自動車(大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車を除く。)は、夜間、道路(歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道)の幅員が5.5メートル以上の道路に停車し、又は駐車しているときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる非常点滅表示灯又は尾灯をつけなければならない。
(通学通園バス)
第26条の3 2 通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない。
いっぽう日本の道路では慣習的に、高速道路を走っていて前方が渋滞していてスピードを落とすときにハザードを点灯させたり、また合流や車線変更で前に入れてもらったときに「ありがとう」の意味で数回ハザードを点灯させることがある。
そもそもこのようなハザードランプの使い方は日本だけのものなのか、海外ではどうなのか調べてみると、どうやらドイツのトラック輸送の職業ドライバーがアウトバーンでの走行中に、車両同士でコミュニケーションをとるための「慣習」として始まったという説がある。
そのほかイギリス、スウェーデン、ポーランドなどで、高速道路の車線変更で狭い車間に入れてもらった場合などで使われているようだ。
いっぽう、前述のように日本の道路交通法に規定はなく、日本でも長距離の輸送トラックで広まり、次第に一般車両でも車線変更などの際に利用されるようになったようだ。
ハザードランプの主な使われ方をまとめると、まず高速道路が渋滞している場合、渋滞最後尾のクルマが、後続車に停車する意思表示や後続車への注意喚起の意味を込めて、ハザードランプを点灯させながら停車する「渋滞最後尾のハザード」がある。
特に先の状況が後続車から見えにくいトラックドライバーが使うことが多く、峠道や高速道路でトラックが減速しながらハザードランプを点灯させている時は、先を譲っているのではなく、事故や工事や渋滞で停車しようとしていると考えたほうがよい。
サンキューハザードは違法ではないが合法でもない
続いて、高速道路を走行中に追い越し車線から走行車線に車線変更して道を譲る、あるいは一般道でも車線変更で割り込んだ際に、後続車に対して“挨拶”するような、いわゆる「サンキューハザード」。ただし、これについては多少意見が分かれる。
結論を先に言ってしまうと、ハザードランプの使用について規定する“道路交通法施行令第18条第2項”、並びに“同法第26条の3第2項”のいずれにおいてもサンキューハザードの使用を禁止する記載はない。
しかし、本来、ハザードランプはあくまで非常に使う、非常点滅表示灯。周囲に誤解を招く使用方法は避け、交通マナーの範囲で使用し、むやみに点灯させることは避けるようにしたほうがよい。
地域によっても解釈が異なる場合があるので、手で挨拶をしたほうが確実に相手に伝わる。室内では見えないことも多いため、できれば窓を開けて行ったほうがいい。
その反面、譲ってもらった時のお礼としては悪い気はしないし、サンキューハザードをされないよりはされたほうがいいという意見もある。また日本人ならではの礼儀正しさから来る行為とみれば、いいマナーだと思える。実際、サンキューハザードをやりすぎて、警察に捕まったという事例も聞いたことがない。
そのほか、商業施設の駐車場などで、駐車場が混雑している場合、ハザードランプを点けることで、空いているスペースに駐車することを意思表示し、バックで入る時の周囲への注意喚起を意味する「リバースハザード」といわれるものだ。
■ハザードの合図の種類
●渋滞最後尾のハザード
高速道路などの渋滞で、最後尾のクルマがハザードランプを点滅させる。これは後続車に渋滞の存在を知らせ、追突事故などを予防するために使用する。
●サンキューハザード(ありがとうハザード)
合流や車線変更時に、進路を譲ってくれたクルマに対して「ありがとう」の意味で2、3回ハザードランプを点滅させる。しかしこれは本来の使用法とは異なり、また地域や状況によって意味合いが異なる場合があるので、このような場合には、会釈や手で挨拶したほうがいい場合もある。
●リバースハザード
商業施設などで駐車スペースにバックで駐車する際、ハザードランプを点滅させて後続車にバックする意志をより強く伝える意味で使われる。
渋滞最後尾のハザードについて警視庁と静岡県警高速道路交通警察隊に聞いてみた!
渋滞最後尾のハザードランプの点滅を静岡県警の高速道路交通警察隊などが推奨している。特に後者は頻発する高速道路上での衝突事故への対策として、NEXCO中日本などともに広く周知を促している
それでは、ハザードランプの使い方のなかで、高速道路上で渋滞の最後尾に遭遇した場合に、後続車に危険を知らせるために点滅することは法律的に義務ではなくても、効果に意味があるのかどうか、改めて確認しておきたい。
まずは、渋滞最後尾でのハザードランプ点灯を推奨しているかどうかを、警視庁に問い合わせてみると、
「道路交通法等の規定によらない高速道路等での渋滞最後尾車両の非常点滅表示灯の使用は推奨しているものではありませんが、追突事故を防ぐため後続車に、注意を促す自主的な行動として、一般に周知されているものと承知しております」との回答が返ってきた。
対して、静岡県内の東名高速と新東名高速道路を管轄する、静岡県警の高速道路交通警察隊に訊ねてみると、
「平成30年3月、県内の高速道路において、渋滞最後尾車両に追突する交通死亡事故が連続で発生したことを契機として、高速道路利用者の注意喚起を図り、渋滞最後尾車両への追突事故防止を図るため、運転者に対して『後続車に渋滞を知らせるハザードランプを点灯する』呼びかけをしている」とのことだ。
静岡県警の場合は、高速道路(首都高は自動車専用道路)での大型車両による事故の規模の大きさに対応することが必要なことも、ハザードランプの点灯を推奨する理由のひとつといえるだろう。
ちなみに、東名高速を運営するNEXCO中日本のドライバーズサイトの「高速道路 マナーガイド」を見てみると、「高速道路では、一瞬の判断ミスやちょっとした不注意が、思わぬ大事故につながることがあります。
交通ルールを守ることはもちろん、運転マナーも意識して、安全で快適なハイウェイドライブとなるようみなさまのご協力をお願いいたします」としたうえで、「クルマとクルマのコミュニケーションのツールとして、ライトの点灯、ウィンカーや渋滞末尾でのハザードランプは必要不可欠な意思疎通の手段です」とある。
前述のように、法律的に定められてはいないが、「緊急時」といえる場合、たとえば、高速道路を走行中に事故を起こす、巻き込まれることを含めて、事故に遭遇した場合や、地震などの災害のはじめ、突然いわゆる“ゲリラ豪雨”や濃霧に視界が奪われてしまったような時には、ハザードランプを積極的に活用すべきだ。
スーパーGTのNSX-GTもレース中にサンキューハザードを使っている
余談かもしれないが、モータースポーツのシーンでもハザードランプを使う習慣があった! スーパーGTに参戦しているホンダNSX-GTが、前を行くGT300クラスのマシンなど遅いマシンが走行ラインを外して譲ってくれた時に、サンキューハザードを点滅させていた。
NSX-GTにはステアリングにウインカースイッチがあり、ウインカースイッチを右左連続して押すとハザードランプが点灯する仕組みだ。もちろん、譲ってくれてありがとうの意味で押しているのだが、きっとサンキューハザードを点滅されたGT300のドライバーは、ほっこりした気分になったに違いない。
アフターパーツではサンキューハザードキットも販売中
アフターパーツで、サンキューハザードキットなるものが販売されていることにも驚く。通常、ハザードスイッチはスイッチを押してから、3回程度点滅させた後、もう1回スイッチを押して消灯するが、このサンキューハザードキットを付けると、短押し1回で3回まで点滅、高速渋滞時には短押し2回でハザードが点滅し、再度スイッチを押すと消灯する。
キットによっては点滅回数が調整でき、リバース連動ハザードにも対応。純正のステアリングスイッチに、ハザードランプの機能を持たせたものもある。トヨタ車の場合、LDAスイッチを使い、短押しはハザード機能、長押しにすると本来のLKA(レーンキーピングアシスト)機能になるという仕組みだ。
このサンキューハザードキットが販売されている状況を見て気づかされたのは、以下の3つ。
・ハザードスイッチを押して点滅が終わった後再度押す必要があり、ハザードランプが3回点滅するのを待つ間、目を離し、気を取られる。
・ステアリングから左手を離す必要がある。
・ハザードスイッチが押しにくい位置にある。
つまり、ハザードスイッチを押す行為そのものが、運転中に危険を伴っていることに気づかされたのだ。とにもかくにも運転に注意してもらいたい。
ハザードランプの明確な使い方を道交法で規定すべき
各メーカーは、急ブレーキをかけると、ブレーキランプの点灯とともにハザードランプが自動的に高速点滅し、後続車に注意を促し、追突の被害を軽減させる機能を装備する車種が増えてきた。トヨタ車ではパッソ、ヴィッツ、アクア、プリウスなど幅広い車種に装備されている
これまで説明してきたとおり、停車時や駐車時の非常に使う非常点滅表示灯 の役割以外に明確な使い方の制限がないため、各方面で混乱を招いているのだから、そろそろサンキューハザード、渋滞最後尾のハザードなどの規定について道交法に明記すべき時期に来ているのではないだろうか。
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