車種別・最新情報 [2026.08.31 UP]
レースの技術がホンダ車をもっと魅力的にする! 「HRC」の挑戦
多くのクルマユーザーにとってレース(モータースポーツ)は、「カッコいいけど特別な世界」というイメージがあるかもしれません。
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しかし、レースと市販車は想像以上に深い関係があり、レースを通じて市販車が開発される例も増えてきています。そこで今回は、ホンダのモータースポーツ部門である「HRC(ホンダ・レーシング)」を取材し、なぜ自動車メーカーがレース活動を行うのかを掘り下げます。
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開発ドライバーの教官に聞く、ホンダとレースの関係
HRCの木立純一氏。開発ドライバーとして数多くのホンダ車に携わってきた
ホンダのレース活動について話を伺ったのは、HRCの木立純一氏です。 学生時代から二輪レースに参加していて、「ホンダに入社したのも課外活動でレースができると聞いたから」というほどの熱血派。本田技術研究所時代は、開発ドライバーとして人間工学の領域で初代NSXやS2000といったスポーツモデルの開発に携わりました。現在も、ホンダ社員有志チーム「Honda R&D Challenge」の一員としてレース活動に参加しています。
「F1に代表されるレースへの取り組みはホンダのDNAであり、なくてはならないものです。レースで勝てば我々の技術を広く知っていただくことができますし、お客様のためのブランド価値になっていく。それが原点にあります。一方で、レースというのはシビアな世界で、簡単に勝つことはできません。だからこそ、人と技術が磨かれるという側面もあります。いいクルマを作るためには、人を磨かなければいけない。なぜなら自分たちでスペックを引き出せないものは開発できないからです。現在のクルマ開発はコンピューターでかなりの部分をシミュレートできるようになりました。ですが、データだけでは運転して感動できるようなクルマは作れないのです」
評価ドライバーとしての最上位のライセンスを取得してからは後進の指導にもあたり、2代目NSXを開発する際には300km/hを超える超ハイスピード領域でのテストが行えるよう人材育成を担当。現在もドイツのニュルブルクリンク(ドイツ西部にある世界屈指の難コース)を走行する開発ドライバーのインストラクターとして活躍しています。
2代目NSX(2016年)。「人間中心のスーパースポーツ」という初代のコンセプトを受け継ぎながら、時代の先を見据え電動化技術を盛り込んだ
「ニュルブルクリンクでは、世界中の自動車メーカーがテストを行なっていますが、じつは走っているクルマの多くはスポーツカーではなく一般的なクルマです。厳しい環境でテストして、作り込んでこそ、安全で運転が楽しいクルマになるからです」
北海道にあるホンダの「鷹栖プルービンググラウンド」は、ヨーロッパやアメリカ、アジアなど各国の「道」を再現したテストコース。そこにはニュルブルクリンクを模して作られたワインディングコースも用意されています。そうした開発環境を使いこなすためにも、人を磨き上げることが大切だと木立氏は語ります。
シビック e:HEV RSとプレリュード。いずれもハイブリッド車で、制御技術によって走りのキャラクターが切り替わる
そうした成果の最新の例となるのが、2026年6月に追加されたシビックの新グレード「e:HEV RS」でしょう。
「e:HEV RS」はe:HEV(ハイブリッド)でもスポーティな感覚を楽しめるよう作り込まれています。それを象徴するのが、プレリュードに引き続き搭載された「S+シフト」という技術。これによりハイブリッド車でありながらも、ドライバーはまるでマニュアルトランスミッション車のようにリズミカルにパワートレインを操ることができるようになっています。まさにホンダらしいアプローチです。
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最も競争が激しい世界最高峰のレース「F1」に参戦する意義
改良型パワーユニットで臨んだ第12戦オランダGPではフェルナンド・アロンソ選手が9位フィニッシュを果たした。(Photo by Clive Mason/Getty Images)
ここからは現在ホンダが参加している数多くのモータースポーツ活動のなかから、一部にスポットを当てて紹介します。
まずはモータースポーツの最高峰である「F1」です。1人乗りのレース専用マシンで競われる世界選手権で、1950年から続く歴史あるカテゴリーとなります。2026年シーズンは全24戦を予定。ホンダは、アストンマーティンアラムコF1チームにパワーユニットを供給する形で参戦しています。
ホンダが開発したパワーユニット「RA626H」
パワーユニットとは、まさにマシンの心臓部です。2026年シーズンからF1のレギュレーションは大きく変更され、パワーユニットについても自動車の未来を見据えた方向性に転換しています。
現在のF1パワーユニットは、1.6L V6ターボエンジンに高出力モーターを組み合わせたハイブリッドシステムです。従来よりもエンジンに対するモーター出力の比率を引き上げ、燃料には化石燃料を使用しない持続可能燃料を使います。走行中にいかに効率よく充電・放電を行うかといったエネルギー管理が重要となるため、バッテリーやエネルギーの制御には高い技術が求められます。
また、シーズン中のパワーユニットの開発やテスト時間には厳しい制限が掛かっており、同時に予算制限も厳しく、コストを含めたマネジメントも高難易度。まさに最高峰にふさわしいシビアな環境です。
HRCのエンジニアたちは、車体を開発するアストンマーティン側とも連携を取りながら、さらなるパワーユニットの進化に挑んでいます。
HRCのエンジニアはチームに帯同し、マシンのデータをリアルタイムで監視しながら出力やエネルギーの管理を行う(Photo by Alastair Staley/LAT Images)
F1のように極めて専門性の高いカテゴリーに参戦する場合、通常はエンジニアやスタッフはF1のスペシャリストが任命されます。しかしホンダは、人を鍛えるという考え方のもとに社内から広く人材を登用しているのです。
実際、初代N-BOXの開発には、かつてF1で活躍した人材が関わっています。軽自動車という、車体のサイズやエンジン出力に制約があるジャンルにおいても、徹底して向き合うことで圧倒的な広さを誇る室内空間や安定感のある走りを実現させたのです。まさに、レース活動が市販車に良い影響を及ぼした実例です。
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参加型モータースポーツで未来の商品を開発
「F1」を山の頂点とするならば、裾野にあたるのが参加型モータースポーツです。HRCはそのなかで「スーパー耐久シリーズ」というイベントに参加しています。「スーパー耐久」は排気量や車両規定によってクラスが分けられていて、アマチュアからプロまで様々な参加者が参加できることもあり、近年大いに盛り上がっています。
CIVIC TYPE R HRC Concept 271号車
HRCが参加する「ST-Q」クラスは、自動車メーカーの開発車両が新技術やパーツのテストを行う「走る実験室」。マシンはシビック TCRで、ENEOS製のバイオエタノールを20%混合した低炭素ガソリンや、そしてHRCとホンダアクセスが共同開発する「HRCパフォーマンスパーツ」用の要素技術を磨いています。
市販車向けに開発中のパーツの技術をレースで試して、性能や耐久性を確認するという取り組みもユニークですが、その経過をファンが直接見ることができるのもライブ感があって興味をそそります。
実戦で得たドライバーのフィードバックを受けてHRCパフォーマンスパーツは開発されていく
モータースポーツのDNAが受け継がれた「HRCモデル」
スーパーGT参戦車両「プレリュードGT」と並ぶ「ビック タイプR HRC コンセプト」と「プレリュード HRC コンセプト」
ホンダは2026年1月に開催された東京オートサロン2026にて、スポーツDNAを象徴する新しい商品カテゴリーとして、オンロードの「SPORT LINE」とオフロードの「TRAIL LINE」を発表しました。
そこで「SPORT LINE」として披露された2台の車両こそ、まさにHRCの知見を存分に活かしたモデルです。
市販車としての販売が予定されている「シビック タイプR HRC コンセプト」
「シビック タイプR HRC コンセプト」は、シビック タイプRをベースに操る喜びをさらに磨き上げたモデル。開発にはHRCのエンジニアとレーシングドライバーが携わっており、カモフラージュされた姿であっても市販車とは一線を画すオーラを纏っています。
「HRCパフォーマンスパーツ」を装着したコンセプトモデル「プレリュード HRC コンセプト」
一方の「プレリュード HRC コンセプト」は、市販車に装着可能なアフターパーツとして提供する「HRCパフォーマンスパーツ」を示したもの。パーツでの販売なので、すでに車両を購入しているユーザーでも装着できます。まさに「スーパー耐久」でテストしていたアイテムです。
このように、ホンダの「SPORT LINE」は、まさにモータースポーツと市販車のクロスオーバーであり、HRCが本気で開発したマシンやエアロパーツが手に入るという、ファンにとって夢のようなプロダクトとなっています。
「シビック タイプR HRC コンセプト」がどのように開発されているのか、市販化はいつなのか、今後も追って取材を続けていく予定です。続報にぜひご期待ください。
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https://www.goo-net.com/magazine/cartopic/auto-salon/274258/文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、HRC
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特に看板であるMotoGP、スーパーバイク、F1の今の体たらく。