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ロケットカウル標準装備は1985年以来!! ホンダ新型「HAWK 11」開発者インタビュー

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ロケットカウル標準装備は1985年以来!! ホンダ新型「HAWK 11」開発者インタビュー

 270度クランクならではの優れたトラクション性能、パラレルツインエンジンの鼓動やパルス感のある排気音を感じながら軽快な走りが楽しめる。スペックだけにとらわれない、スポーツバイクの楽しさや味わい深さが「HAWK 11(ホークイレブン)」にはあります。

 2022年9月29日にHonda Dreamより発売される新型モデルを前に、6月上旬に行なわれたメディア向け試乗会では、参加した筆者(青木タカオ)が開発陣にお話を聞くこともできました。

【画像】ホンダ新型「HAWK 11」の詳細をもっと見る(15枚)

 開発責任者代行の吉田昌弘さん(本田技研工業ものづくり統括部 完成車開発部)をはじめ、八重樫裕郁さん(本田技術研究所デザインセンター モーターサイクルデザイン開発室)、倉澤侑史さん(本田技研工業ものづくり統括部 二輪・パワープロダクツ事業本部)、三木聡介さん(本田技研工業 二輪事業本部ものづくりセンター完成車開発部)、大和風馬さん(本田技研工業ものづくり統括部 完成車開発部)の5名が、いろいろと教えてくれました。

青木:まずなんといっても目をひくのが、ロケットカウルです。これはどの段階から装着しようとなったのでしょうか?

吉田:「走りの楽しみを忘れない大人のバイク」であることの象徴として、開発当初からロケットカウルの採用を前提としていました。

青木:ほほぉ、ロケットカウルありきでつくられていくのですね。

吉田:はい、「HAWK 11」には欠かせないものです。

青木:素材にもこだわったと耳にしました。

吉田:ロケットカウルとリアカウルをFRP製としています。通常の量産における樹脂成型の金型方案から解放され、パーティングライン(継ぎ目)のない、巻き込むような立体的造形を一体成型することを可能としました。

青木:1985年登場の「GB400TT MkII」以来となるロケットカウルですが、新車から標準装備するのは、いろいろと難しかったと思います。担当した八重樫さん、いかがでしたか?

八重樫:じつは、その「GB400TT MkII」を所有していまして、仕事ではなく趣味でアルミ叩き出しのロケットカウルをつくったりしていました。

青木:なんとっ!? ロケットカウルが好き過ぎるマニアの、渾身作だったわけですね!

※みなさん、頷いて笑う。

八重樫:カフェレーサーをモチーフにしていますが、「HAWK 11」は昔の車体と違ってベースとなるのが最新モデルなので、どうマッチングさせるかが難しかったところです。ライダーの収まりの良いシルエットの中に、サイドビューでボディ前後方向にわたる水平方向のラインと、タイヤ両端からの台形フォルムから成り立っています。

吉田:大きく緩やかな曲面とシャープなエッジを自在に組み合わせたモダンな面構成や、隣り合うパーツ双方の端末ラインをあえて一体化させないディテールなど、既成の手法にとらわれない処理とすることで、デザイナーのひらめきをよりダイレクトに具現化しました。

青木:操安(ハンドリング)の担当者からすると、ロケットカウルがなければいいのに……、なんて思ったことは?

大和:ロケットカウルを成立させようと、チーム一丸となって取り組みましたので、カウルのカタチはそのままに、他の部分で最高の操縦安定性を目指し、獲得に至っています。

青木:「HAWK 11」にとって、ロケットカウルはそんなにも重要なパートなんですね。

吉田:はい。美しく仕上がっているカウルの造形に、手を入れたくないというのは、開発チーム全員が想うところでした。

青木:なるほど。では、購入したユーザーが「外してネイキッドにしちゃおう」なんてカスタムがもしあったらガッカリですね(笑)。

吉田:それはオーナーさんの自由ですけど、そんなことはきっとないと我々は信じております!(笑)

青木:ちなみに大和さん。操安を最適化していく上で、カウルのデザインには手を加えなかったとのことですが、設計を徹底追求した他の部分というのはどこでしょうか?

大和:新設計したトップブリッジやラジエター横にあるガードの形状、剛性などです。キャスター角を25度に設定し、軽快なハンドリングを実現しています。

【比較】キャスター角/トレール量「HAWK 11」25°00’/98mm「NT1100」26°30’/108mm「アフリカツイン」27°30’/113mm

青木:ホンダが採用を進め熟成してきた、言うならばご自慢の「DCT(Dual Clutch Transmission)」を採用しないというのは驚きました。

倉澤:「バイクと付き合える時間」を熟知した大人のライダーに向け、操作する歓びを提供したいなってところで、エンジンは6速マニュアルトランスミッション仕様を採用しています。

青木:思い切りましたよね。スポーツツアラーとした「NT1100」はDCT仕様のみで、明確な差別化が図られている。ボクが「HAWK 11」のオーナーにもしなったら「これはマニュアル仕様しかないんだよね」って、自慢したくなるのかもしれません。

倉澤:はい。低速から豊かで幅広く使えるトルクと高回転までスムーズに回る特性とするとともに、スポーティな走りに寄与する、それは6速マニュアルトランスミッションを採用することによって、より強く感じられると思っています。

青木:ミラーの取り付け位置が秀逸です。後方もちゃんと見れるし、ココしかない! ってところに配置されていますね。

三木:通常ならバーエンドかカウルへのマウントとなりますが、バーエンドだと車幅が増えて街中での使い勝手を損ねてしまいますし、スタイリングを重視するとカウルから、というのも考えられませんでした。

青木:ミラーはどこから取り出しているのですか?

三木:カウルステーから、カウルを避けて出しています。後方を視認しやすい取り付け位置も重要ですが、しっかりと剛性の高いカウルステーから出すことで、振動への対策も充分にできました。

青木:おっしゃるとおり、ブレずにリアビューがよく見えます。ミラーステーが何回も折り曲げられ湾曲を描いてベストポジションに収まっているのは、見て感心しました。ハンドルやミラーが当たってしまいがちなロケットカウルの泣き所を、見事なまでに解消していますね。精度の高い巧みなミラーの取り付けは「さすがホンダ!」とフォトグラファーや編集者たちも口を揃えます。

三木:ありがとうございます。

青木:市場の規模を考え、グローバルモデルが優先される昨今ですが、「HAWK 11」は日本市場向けとしているのも、なんだか嬉しいところです。そしてモデルコンセプトに「バイクを乗り継いできた大人の、革ジャン姿が似合うようなスポーツモデル」とあるように、想定するユーザー層は経験豊かなベテランライダーなんですね。

吉田:はい。もちろん幅広い層の方々に乗っていただきたいですが、「走りの楽しみを忘れない大人のバイク」としています。

青木:製品説明では「上がりのバイク」という言葉が出てきましたが、ボクのイメージからすると「ゴールドウイング」のようなフラッグシップというか、グランドツアラーのようなモデルが行き着く先と想像しがちですが、そうではないのですね?

吉田:どんなモデルが「上がりのバイク」なのかは人それぞれ、千差万別で答えはありませんが、夢のバイクというよりも、さまざまな経験を経て「バイクと付き合える時間」を熟知した大人のライダーに向け、そんな方々の生活と折り合うスタイルを提案したいと考えました。半日の時間の自由を見つけ、出かけて楽しいバイクです。

青木:休日の朝にワインディングに出かけて、午後には帰宅して家族と過ごす。あっ、なんかおっしゃっている世界観がイメージできました。カスタム的なキャラクターを持った、よりプライベートな嗜好に合わせたマシンで、ライディング時だけでなく、ひとしきり走った後の充足感までも重視した仕上がり。解放された特別な時間を過ごす相棒となるバイクなんですね。

 製品説明の中で、Honda Dreamでの成約状況は年齢層が40代から50代が中心で、「CBR」シリーズなどスポーツモデルからの乗り換えが目立っているとのこと。

 車体色はパールホークスアイブルーとグラファイトブラックの2色が設定されており、現状の成約ではカラー構成比がブルー56%、ブラック44%となっているそうです。

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みんなのコメント

13件
  • んー。最近の流れなんだろうけど、テール周りがもっとグラマラスでも良かっかと。何年か前のドゥカのモンスター辺りからテールカウル無しのデザインになってカタログで見るとそうでもないが、乗ってるとあれ、後ろが淋しいって思う。
  • >そんな(カウルを外す)ことはきっとないと我々は信じております!(笑)

    カウル外したら、冷えなくてオーバーヒートするVTR1000Fも、外しているヤツいるから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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