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なぜトヨタ「ハイエース」で復活? マツダ「ボンゴブローニイバン」が9年ぶりに登場した理由

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なぜトヨタ「ハイエース」で復活? マツダ「ボンゴブローニイバン」が9年ぶりに登場した理由

■9年ぶりに復活した「ボンゴブローニイバン」とは

 マツダの商用バンとして、新型「ボンゴブローニイバン」が2019年4月23日に発表されました。従来から用意される「ボンゴバン&トラック」は、マツダが自社で開発して生産も行っています。

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 新たに発表された「ボンゴブローニイバン」は、ボディがひとまわり大きいトヨタ「ハイエース」のOEM車となり、マツダがトヨタから供給を受けて販売します。なぜ、「ハイエース」のOEM車として新たに登場したのでしょうか。

 マツダは、過去に「ボンゴブローニイバン」の名称で、ロングボディバンの自社開発・生産を行っています。最終型は、現在販売されているマツダ製「ボンゴバン」のロングボディ仕様で、全長は4360mm・4690mm・4965mmの3種類を用意していました。

 現在、販売されている「ボンゴバン」は全長4285mmのため、「ボンゴブローニイバン」は全長がかなり長かったです(全幅はボンゴブローニイバンも含めてすべて1690mm)。このマツダ製「ボンゴブローニイバン」は2010年に生産を終えましたが、改めてトヨタ「ハイエース」のOEM車として復活したのです。

 新しい「ボンゴブローニイバン」のグレード構成は、DXと上級のGXしかありません。エンジンは、2リッターガソリンと2.8リッターディーゼルターボを設定しています。

 トヨタの「ハイエース」は、「ボンゴブローニイバン」と同じボディサイズの標準モデルに加え、全長5380mm×全幅1880mmのスーパーロング、全長4840mm×全幅1880mmのワイドボディという種類があります。

 またバンのほかに、スーパーロングやワイドボディを使った乗車定員が10名のワゴン、14名のコミューターも用意。これに比べると、OEM車の「ボンゴブローニイバン」は選択肢が少ないです。以前のマツダが製造した「ボンゴブローニイバン」と比べても、ボディとグレードの種類を抑えています。

 それにしても、なぜこのタイミングで「ボンゴブローニイバン」を発表したのでしょうか。先代型が生産を終えたのは2010年となり、マツダとトヨタの業務提携(2015年に開始)に応じて開発費用を節約できるハイエースのOEM車を調達するとしても、もっと早い段階で設定できたはずです。

 OEM車「ボンゴブローニイバン」について、マツダは「マツダが造っていたボンゴブローニイバンの生産終了から、すでに9年間が経過しています。それでもボンゴブローニイバンを使われているお客様がおられ、次に乗り替える商品を探しています。そこでハイエースのOEMを導入しました」と話しています。

 一方で、マツダの販売店ではOEM車「ボンゴブローニイバン」について、どのように見ているのでしょうか。

――OEM車「ボンゴブローニイバン」について

 ボンゴブローニイバンは、絶好調に売れるハイエースのOEM車ですが、売れ行きはあまり伸びないと思います。先代ボンゴブローニイバンの生産終了から10年近い時間が経過したので、3mに達する長い荷室長を求めるお客様は、すでにハイエースやキャラバンに乗り替えているからです。

 ボンゴブローニイバンの廃止と同時に、OEMを開始して欲しかったですね。プレマシーやビアンテが廃止されたときも、トヨタとの業務提携を生かしてヴォクシーやエスクァイアのOEM車が欲しいと思いましたが、今ではお客様が他社のミニバンに乗り替えています

――そうなると今さらボンゴブローニイバンが供給されても意味はないのでしょうか。

 商用バンのお客様は付き合いが長いです。ボンゴから荷室長の長い車種への乗り替えを希望することもあるでしょう。この時には、新しいボンゴブローニイバンを推奨できます。またボンゴの安全装備はシンプルですが、新しいボンゴブローニイバンには、ハイエースと同じく歩行者も検知する緊急自動ブレーキなどが設定されています。

 安全性を重視するお客様にも、ボンゴブローニイバンは最適です。ボンゴバンから新しいボンゴブローニイバンへの乗り替えが生じるかも知れません。

■自動車ビジネスにおけるOEMの重要さ

 OEMの供給開始は遅かったですが、今後の展開を考えると、メリットのある車種追加といえます。仮に、ボンゴのユーザーがさらに広い荷室を求めてハイエースに乗り替えてしまうと、マツダの販売店は貴重な顧客を逃します。

 クルマにはアフターサービスが伴うので、車検・点検・保険などの仕事も失われます。

 さらにボンゴの顧客がハイエースに乗り替えると、同じ法人が使う社用車のデミオがトヨタアクアに乗り替えられたり、アクセラがプリウスに変わることも考えられます。

 トヨタのセールスマンが熱心で、顧客にとって魅力的な提案をすれば、複数所有されるマツダ車がオセロゲームのようにトヨタ車に切り替わる可能性もあり、このような顧客の流出を防ぐためにも、OEMは大切です。

 今のマツダは、魂動デザインとスカイアクティブ技術により、ドライバー本位のクルマを造っています。BMWなどと同様、車両開発の方向性とブランドイメージが、背の高い商用車には合いません。同じ理由でミニバンからも撤退して、OEM車も加えていません。

 しかしそれなのにマツダは、1999年に登場した「ボンゴ」を今でも造り続け、トヨタ「プロボックス」のOEM車を「ファミリアバン」として販売しています。

「ボンゴブローニイバン」という車名もハイエースで復活させましたが、ここに自動車ビジネスの難しさがあります。法人の顧客は、セールスマンも述べたように付き合いが長く、保有台数も概して多いから失えば痛手が大きいです

 マツダ「CX-5」や「アテンザ」を快適な店舗で売り続けるためにも、商用車の顧客をOEM車で繋ぎ止め、堅実に売り上げを伸ばす必要があるといえます。

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