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【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#20 甲府でクアトロショック!!

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【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#20 甲府でクアトロショック!!

つまり優勝はオレだ!

秋田・男鹿半島への特攻ドライブのレポート中だが、今回は、先日開催された『スーパーカー・コレクション2025 in甲府城』に、大貴族号(筆者の先代マセラティ・クアトロポルテ)が参戦した模様をお送りする。

【画像】大貴族号、スーパーカー・コレクション2025 in甲府城に参戦す! 全42枚

スーパーカー・コレクションに、何ゆえ我が4ドア・マセラティが展示されるのか。たぶん、1台ボロいクルマを並べることで、参加者の皆さんの優越感を満たすためだろう(推測です)。

しかし、今やクルマ趣味は、安ければ安いほど、ボロければボロいほどエラい。つまり優勝はオレだ! 勝負はついている。なんて気楽なんだろう。私は気楽に甲府へ向かった。

現地には、大貴族号の父、マイクロ・デポ代表のタコちゃん(岡本和久氏)夫妻が、心配のあまり来場。その他、フェラーリ関係の知り合いも、だいぶ見学に来てくれた。みんな、ボロいクルマが珍しいのだろう。

といっても大貴族号は、パッと見、決してボロくない。よく見りゃ右ドアモールは白サビだらけだが、それを除けば外装はピカピカ(内装はベタベタ)だ。今のところ故障もほぼ皆無。夏に入ってから、暑さのせい(?)でハザードが出なくなったが、ウィンカーが出ないのに比べれば屁でもない。

20年前に乗っていたマセラティ430(愛称:まるでだめ男)は、走行中にウィンカーが出なくなったことがあり、仕方なく窓から手信号で右左折を合図した。あの時、後続車はわかってくれたのだろうか。ウィンカーが出ないと困るけど、ハザードが出なくても特に困らないことは実証済みである。

芝生のど真ん中のベストポジションに鎮座!

こうして大貴族号は、甲府城の芝生のど真ん中のベストポジションに鎮座した。まさに主役。しかし、パッと見は特にボロくないせいか、ほとんど人は集まらない。私も大貴族号を放置し、タコちゃんと他の参加車両を見学した。

オレ「タコちゃんはどれが一番好き?」

タコちゃん「私はもちろん、このビトルボEですヨ」

タコちゃんのお客さんのビトルボEはピッカピカ。大貴族号など足元にも及ばないエレガンスを発散させていた。

私は常々、先代クアトロポルテのデザインはウルトラ素晴らしい! ケン奥山の最高傑作! と確信してきたが、こうして比べて見ると、デザインの時間的耐久性は、シンプルかつ端正なビトルボ系のほうが上だったのかもしれない。ショック!

オーナーMさんの好意で、エンジンをかけさせていただいたが、キャブ仕様のせいか、『まるでだめ男』よりプリミティブな荒々しさがあり、現代的な精度ビンビンな大貴族号のエンジンに比べても、マニアック度ははるかに上だった。

往年のマセラティV6ツインターボなんて、フェラーリV8の足元にも及ばないと確信していたが、カーマニア的見地からすると、明らかに負けていた。ダブルショック!

いや、いいんだ。愛は比べるものじゃない、感じるものだ。俺は大貴族号がかわいい。ベタベタした内装も、ガツンと突き上げるサスもかわいい。ビトルボ系なんてみんなに愛されるキャラけど、先代クアトロポルテは超絶不人気。俺が愛さなかったら誰が愛する! うおおおおお!

たたずまいは高貴そのもの!

気を取り直して他のクルマを見て回ったが、私のナンバー1は、ブルーのディーノ208GT4だった。そのたたずまいは高貴そのもの。大貴族号のぬぺーっとうすらデカい図体に比べると、キュッと引き締まった真の貴婦人であった。トリプルショック!

タコちゃん「私もコレ、最高だと思いますよ」

オレ「ですよね……」

タコちゃん「結局、ガンディーニの勝利ってことですねウヒャヒャヒャヒャ!」

そうなのか。ピニンファリーナ様よりガンディーニ様だったのか。いや、そんな神々の争い、下々が優劣つける話じゃないですが、クアトロポルテに関しても、ガンディーニデザインの4代目のほうが圧倒的に人気であることは事実。クアトロショック!

私は甲府でクアトロショックを受け、ますます大貴族号への愛が深まった。いずれ内装のベタベタも、シコシコとリムーバーで除去するぜ!

(つづく/隔週金曜日掲載、次回は10月24日金曜日公開予定)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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