MotoGPに参戦しているマーベリック・ビニャーレスが、ヤマハで出場停止処分を受けてから、8月12日で丸一年が経過した。彼は現在アプリリアで好リザルトを残しつつある。つまり、ヤマハとの別離は、ビニャーレスにとっては最高のパフォーマンスを発揮するための”先触れ”だったとも言える。
ビニャーレスはスズキからMotoGPへステップアップし、2016年にホルヘ・ロレンソの後任としてヤマハへ加入。以降は浮き沈みのある成績の中、ヤマハとの関係が悪化していった。2021年に起きた両者の離別は、その最終的な帰結に過ぎないとも言える。いずれにせよ、2016年に両者が描いていたような未来予想図には終わらなかった。
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昨年の第11戦オーストリアGPを前に、ヤマハはビニャーレスの出場停止を発表した。これは前戦スティリアGPのレース中、ビニャーレスがエンジンを故意に壊そうとする操作を行なったことを受けた制裁に近い判断で、周囲を驚かせた。
ヤマハとビニャーレスの関係はそれ以前から芳しくなく、既にその2レース前には2022年の契約を失効させることで合意していたという。ただ、前述の行為が引き金となり、彼らは2021年中盤で早期に契約を打ち切ることになった。
キャリア継続の大ピンチに立たされたビニャーレスだったが、アレイシ・エスパルガロの後押しもあり、アプリリアへの加入が決定。2021シーズン終盤戦からRS-GPへ乗り換えてレースを戦ってきた。
そして2022年現在、ビニャーレスはどん底と言える状況から見事に舞い戻ってきた。先日行なわれたイギリスGPでは初のフロントロウを獲得し、レースでは終盤にドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤと優勝争いを展開。アプリリアでの自己ベストリザルトとなる2位を持ち帰った。
並列4気筒エンジンのヤマハから、V型4気筒エンジンのアプリリアへの乗り換えにもかかわらず、ビニャーレスは着実に適応し、進歩を見せてきた。スズキ時代のチームメイトでもあるエスパルガロは、ビニャーレスに称賛の言葉を寄せている。
「マーベリックはすごく上手いことやっているよ。シルバーストンではスズキとヤマハで優勝するなど、前から素晴らしい結果を残していたのも事実だけど、(アプリリアで)クオリティの面で一歩前進し、安定したやり方で実現しているんだ」
そしてチームCEOのマッシモ・リボラもビニャーレスの才能を認めるひとりであり、その能力が証明されたと語っている。
「マーベリックのようなライダーを獲得するのは、我々にとって夢のようなものだった」と、リボラCEOはmotorsport.comに語った。
「彼が加入した当時、多くの若手ライダーが(アプリリアのシートを)断っていたことを忘れてはならない。その時、我々が彼に示せたモノ、そしてアレイシのアドバイスが彼の決定に重要な役割を果たしたことは明らかだろう」
「彼の進歩はこれまでもずっと明らかなものだったが、彼はいつも、バイクに快適に乗れるようになったら、その瞬間に速く走れるだろうと話していたんだ」
「そして、その言葉はこの数日間で証明されている」
なおビニャーレスは2023年シーズンにはかねてより希望していたスズキ時代に組んでいたホセ・マヌエル・カゾーを、クルーチーフとして新たに迎え入れる。
「マーベリックは無名の時代を経て来ているが、当時は彼の話を聞いて、必要なモノを与えるために取り組んでくれる人を必要としていた。そして、敵対的な環境から(アプリリアへ)やってきたのだから、快適に感じられるというのは、必要不可欠な要素だろう」
ビニャーレスのチームスタッフのあるメンバーは、そう語っている。
そして、この人物はビニャーレスにはまだまだ改善の余地が残っているとも語った。
「私の考えでは、彼は今我々が彼のような才能ある人物に期待するレベルに達している。周囲の静かな今の環境は、彼がより力を発揮する助けにもなるだろう」
「移籍による変化は彼にとって大きなモノだ。スズキを離れヤマハへ加入したとき、彼はそこで多かれ少なかれ似たマシンに乗っていた。しかし今回は(マシンが)異なっている。ヤマハとアプリリアの間にある違いは、歴然としたモノなんだ」
なおビニャーレスの最近の安定感には、彼が”お父さん”となったことも関係しているかもしれない。現在27歳のビニャーレスは、昨年5月に第一子の娘が誕生し、父親としてレースへ臨んでいる。
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みんなのコメント
1回や2回上手く行ったからってwww
チャンピオンになるライダーは何か持っているものがあるけど、ピニャーレスにはそれを感じない。