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約7億9400万円のフェラーリの走行距離は2174キロ!「スペチアーレ ビッグ6」でもっともF1に近い「F50」に今後も注目

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約7億9400万円のフェラーリの走行距離は2174キロ!「スペチアーレ ビッグ6」でもっともF1に近い「F50」に今後も注目

ピュアであればこそ限定フェラーリ! その定石を体現した最後のモデル

マラネッロの限定スペチアーレ「288GTO」、「F40」、「F50」、「エンツォ」、「ラ・フェラーリ」は、ちょっと前まで「フェラーリ・ビッグ5」と呼ばれていたが、現在では「F80」が加わり「フェラーリ・ビッグ6」と呼ばれているそうです。RMサザビーズ北米本社が2025年2月27-28日にフロリダ州マイアミ近郊の町、コーラルゲーブルズにある歴史的なビルトモア・ホテルを会場として「MIAMI 2024」オークションが開催されました。ここに出品されたビック6の1台、フェラーリ「F50」に注目。そのモデル概要とオークション結果をお伝えします。

もっともF1に近いフェラーリ「F50」が約7億円弱で落札! 349台限定のスペチアーレはリザーヴなしでも高値安定の結果でした

F1直系テクノロジーを初めて標榜したフェラーリ・ストラダーレ

1987年にデビューした創立40周年記念スーパーカー、フェラーリF40の成功を受け、マラネッロのエンジニアたちは、間もなく迎えるフェラーリ50周年を記念するには、さらにピュアで上質なモデルが必要であると認識していた。

4年の歳月をかけて開発されたF50は、フェラーリのレーシングテクノロジーとの強い結びつきを特徴としている。ピニンファリーナのデザイナーは1980年代のウェッジモチーフを避け、カーボンファイバーとケブラー、ノーメックスハニカムで成形された曲線的なコーチワークで、1950-60年代のマラネッロにおける伝説的なレーシングスポーツを想起させる、自由で流れるようなラインを強調した。

さらに、このボディには取り外し可能なCFRP製ハードトップは付属のロードケースに収納されており、「バルケッタ」と「ベルリネッタ」の双方を選択することができた。

いっぽう、新開発の自然吸気4.7L V型12気筒「ティーポF130B」エンジンは、もともと1992年にフェラーリのF1マシン「F92A」に搭載されたものが起源で、同じノジュラー鋳鉄製ブロックを流用する。まずは4Lに拡大した「333SP」スポーツカー用ユニットとして搭載され、1995年から2001年にかけて「IMSA GT選手権」および「FIAスポーツカー選手権」にて、複数のドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを獲得した。

F50は希少性を考慮して349台しか生産されなかった

F50への搭載にあたって排気量は4.7Lに拡大されたいっぽう、より適正な回転数と扱いやすいロードマナーを目指してデチューンされたV12エンジンは、520psの最高出力を発生。当時の「ロード&トラック」誌のテストでは、静止状態から時速60マイルまでわずか3.6秒で加速し、最高速度は時速202マイル(約325km/h)を記録した。

ストッピングパワーは、アルミニウム製ピストンで固定された巨大なローター(フロント14インチ、リア13.2インチ)を備えたブレンボ製の巨大なブレーキによって行われた。

さらにF50にはレーシングスタイルの燃料電池から液晶ダッシュボードの計器類まで、F1スタイルのディテールがふんだんに盛り込まれていた。

フェラーリは、F40の生産台数が多すぎたために希少性が薄れ、それに比例して評価も下がったという批判に応えるかのように、1998年の生産終了まで349台しか生産されなかった。しかしF50は、そのピュア極まりない成り立ちとプレミアムな価値を獲得し、瞬く間に正真正銘のコレクターズアイテムとしての地位を確立したのだ。

乗るひとを選ぶ最後のフェラーリはマーケットでも高評価

今回RMサザビーズ「MIAMI 2025」オークションに出品されたショールームクオリティのF50は、同社曰く次のようにコメント。

「これまで販売されたF50のなかでも、もっとも望ましい1台」 シャシーNo.は#105768、1996年6月に工場で完成した154台目で、ヨーロッパ仕様としてラインオフ「ロッソ・コルサ」のボディカラーに「ロッソ(赤)」のインサート入り「ネロ(黒)」のレザーシートの組み合わせとされた。

オリジナルの保証書とサービス記録簿、そしてフェラーリのオーソリティであるマルセル・マッシーニ氏によるヒストリーレポートでは、このF50はドイツのカッセルにある「エーバライン・オートモービル」社を通じて、当時20歳のモナコ在住ロシア人レーシングドライバー兼コレクターに新車として販売された。

初代オーナーは、2001年にこの個体を手放すまでの数年間ときおり運転しただけで、次のオーナーは2012年まで保有。2012年後半には、F50はイギリスのフェラーリ・スペシャリストである「DKエンジニアリング」社の手に渡り、その後6年間は、少数のイギリス人オーナーを経つつも、同社が定期的にこのクルマを管理することになった。

その間2013年6月には、エンジンとトランスアクスル、コーチワークのマッチングナンバー継続を確認する「フェラーリ・クラシケ」のレッドブックおよびそれに対応する真正証明書が発行。このF50が最高の真正性を保持していることが確認された。

また、2017年末にDKエンジニアリング社は燃料電池を交換。これは高価な投資ながら必要な措置であり、フェラーリでは10年ごとの修理が推奨されていることを考えると、これからも2~3年はその完全性を維持できるはずとのことである。

外装ペイントは新車時のオリジナルのまま

そして、2020年代初頭に米国に輸入されたこのF50は、公式オークションカタログ作成時点でわずか2174kmしか走っておらず、完璧なコンディションを如実に物語っている。いくつかのハードウェアの仕上げとフロントバンパーの顎下のブラックペイントに小さなタッチアップが施されている。ちなみに、このクルマのロッソ・コルサの外装ペイントそのものは新車時のオリジナルと思われる。

くわえて、2025年1月に「フェラーリ・オブ・オンタリオ」で定期の点検・整備を受けるとともに、すべての機械部品がチェックされ、公道走行が可能な状態であることも確認。さらにオーナーズマニュアルや純正のラゲッジセット/ツールキット、取り外し可能なハードトップが工場出荷時のフライトケースに収められており、非常に完全かつオリジナルな状態でオークションに出品されることになった。

今後も高値安定が続くとみて間違いない?

RMサザビーズ北米本社の公式カタログでは

「FCA(注:フェラーリ・クラブ・オブ・アメリカ)の集まりやプレミアムなカーショーに理想的な、この極めてオーセンティックで公認されたマッチングナンバーのF50は、フェラーリ・エンスージアストにとって最高のコレクションとなることでしょう」

と語られるとともに、現オーナーと協議した結果として550万ドル~650万ドル(邦貨換算約8億2500万円~9億7500万円)というエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。

そして迎えた競売ではビッドが順調に伸びたようで、終わってみればエスティメートの範囲に収まる553万2500ドル、現在のレートで日本円に換算すれば約7億9400万円で競売人のハンマーが鳴らされることになった。

ところで、今回の「MIAMI 2025」オークションでは、このF50以上に低走行のエンツォ・フェラーリが、同じくエスティメート550万ドル~650万ドルで出品されながらも、こちらは落札には至らなかった。

新型コロナ禍の以前には、F50とエンツォのマーケット相場はほぼ拮抗していた印象が強いが、このところのF50は明らかにエンツォを上まわるプライスで推移しているようだ。この相場感は、昨今エンスージアストの間でいわれるようになった、同じ「ビッグ6」でもエンツォ以降のモデルについて少々陳腐化が進んだ……? とする観測にも合致しているかに映る。

他方F50については、乗り手に強烈なバイブレーションをもたらす、カーボンバスタブ直結のエンジン搭載方式をはじめ、ともすればそのピュアすぎる成り立ちが敬遠されがちだったはず。ところが、この種のハイパーカーでも多様化している成熟市場においては、それさえもF1的であるとリスペクトされている。

経済的な理由以外でも「乗るひとを選ぶ」、最後のフェラーリ限定スペチアーレ。そんなキャラクターで語られるF50は、今後も高値安定が続くとみて間違いないのではあるまいか……?

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みんなのコメント

6件
  • kmq********
    8億円と聞くと、森友事件で佐川がいた財務局が、安倍の指示で土地の値段を8億円引いたのを思い出す
  • mar********
    20年前は7000万位で売ってたよ。
    どのプレカーも億越えなんて無かった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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