レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、ハンガリーGPで大敗を喫したことにより、今季この先は勝利を争うことはできないだろうと悲観的なコメントを発した。しかしその後、イタリアGPとアゼルバイジャンGPを完勝。再びタイトル争いに加わるのではないか……そんな声も聞こえはじめてきている。
フェルスタッペンはこの先、ここ2戦で見せたような強さを発揮し続け、本当にタイトル争いに加わることができるのであろうか? 検証してみよう。
■抜かりないフェルスタッペン……ハードタイヤでスタートしたのは「モンツァのようなリスク」を避けたかったから
この記事の下部に掲載したグラフを見ると、フェルスタッペンはここ数戦のうち2度、レースペースが最速のドライバーだったことが分かる。それ以前にフェルスタッペンがレースペース最速だったのは日本GP、エミリア・ロマーニャGP、サウジアラビアGPの3戦。うち2戦では勝利を手にしており、サウジアラビアGPもペナルティがなければ優勝していたかもしれない。
フェルスタッペンが最近調子を取り戻したのには、いくつかの要因がある。
ひとつ目は、レッドブルのアプローチが変わったことだ。盲目的にデータを信じることをやめ、ドライバーのフィードバックがより重視されるようになった。これによりフェルスタッペンは、狭いながらもRB21の最適なセットアップを見つけられるようになったとされる。
また、新しいフロアも効果があったようだ。イタリアGPでレッドブルは、パフォーマンスの向上というよりも、マシンのバランスを改善し、しっかりとパフォーマンスを発揮できることを重視したアップデート版のフロアを投入した。これも効果があっただろう。
イタリアGPの舞台であるモンツァ・サーキットは、現在F1開催中のサーキットの中では随一とも言える超高速コース。特殊なサーキットであると言える。そのため、勝利したとしても、モンツァ特有の強さの可能性があるのではないかと言われた。
レッドブルもその可能性を考えていたようだが、アゼルバイジャンGPで得られたデータは、チームにとっては朗報だったようだ。
当時ローレン・メキーズ代表は、次のように語っていた。
「モンツァで見られたいくつかの良い点を、今回ここでも見つけられたと感じている」
「バクーには低速コーナーしかなく、ダウンフォースレベルも非常に低い。この組み合わせは、我々にとって非常にうまく機能した。モンツァとは異なる状況なので、これは我々にとって朗報だ」
アゼルバイジャンでのパフォーマンスはどうだった?
下のグラフは、アゼルバイジャンGPでの1周あたりの平均レースペースを示したものである。これを見ると、フェルスタッペンが十分なアドバンテージを持っていたことが分かる。
2位に入ったジョージ・ラッセル(メルセデス)との差は、1周あたりコンマ3秒ほど。ただ、全ての数値が完全に反映されているわけではない。金曜日のデータに基づくと、マクラーレンとフェラーリはもっと速かったはずだ。この2チームは、前を遅いマシンに抑え込まれ、本来のペースを発揮できなかった。
「ジョージ・ラッセルと比べれば、その差を比較的読み取ることができると思う」
そうメキーズ代表は説明する。
「差は、おそらく1周あたりコンマ2秒程度だろう。それ以上の差はなかったはずだ」
「マクラーレンはフリーエアで走っていなかったため、判断するのは非常に難しい。金曜日の午前と午後、そして土曜日の午前には、彼らが非常に速いペースで走っているのを目にした。決勝での彼らの本当のペースは、おそらく永遠に分からないだろう。しかし、我々の気が休まる余地は全くない」
■灼熱の市街地コース、シンガポールが最大の挑戦に?
メキーズ代表の「気が休まる余地はまったくない」というコメントは、間違いなく真実だ。そして真の試練は今週末、シンガポールGPであろう。
シンガポールGPのコースは理論的に、レッドブルのマシンには不向きな要素がいくつか揃っている。路面の凹凸が多い市街地コース、そして高ダウンフォース仕様のセッティングを必要とする……まさにレッドブルが苦手としてきたコンディションなのである。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、こう語った。
「シンガポールは大きなダウンフォースが必要なだけではなく、ものすごく暑くもある。我々のマシンは、暑さをあまり好まないようだ。だから、我々の実力を知るための、真のベンチマークとなるだろう」
レッドブルはリヤタイヤが比較的早くオーバーヒートしてしまう傾向にあるのに対し、マクラーレンはその点が優れている。そういう意味では、暑さというのは確かに重要な要素だ。イタリアGPとアゼルバイジャンGPでは、タイヤのデグラデーション(性能劣化)レベルが低かったため、この点はあまり問題にはならなかった。しかしシンガポールでは、路面温度は再び重要な問題となるだろう。
「シンガポールでは、計算式を少し変える必要がある」
そうメキーズ代表も認める。
「低速コーナーはそのままに、ダウンフォースを最大化する。ブダペスト(ハンガリーGP)では、いやブダペスト以前からそれにはかなり苦労していた。路面温度もかなり上昇するから、この点についても我々がいかに敏感であるかは分かっている。まあ我々だけでなく、ほぼ全てのチームがこの点について敏感だろうけどね」
ハンガリーGPの大苦戦は繰り返されないのか?
メキーズ代表がハンガリーGPでの苦戦について言及した。その理由は、下のグラフを見ていただくと分かる。
レッドブルはハンガリーGPで、マクラーレンから1周あたり1秒以上後れを取っていたのだ。比較的短いハンガロリンクでこの差は非常に大きい。今季レッドブルがこれほど遅れたのは、他にオーストリアとイギリスのみ。しかもオーストリアは、当時大苦戦に陥っていた角田裕毅のレースペースが参考になっている。フェルスタッペンは、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリとクラッシュしたことで、レース序盤にリタイアしたからだ。そういう意味では、オーストリアのデータは参考にはならないだろう。
つまり今季ここまで、ハンガリーGPはレッドブルにとって最も苦労したグランプリである。このハンガロリンクは、シンガポールGP同様ハイダウンフォースが求められ、しかも暑かった……これが、シンガポールがレッドブルにとって最大の試練となるかもしれない根拠だ。
ただメキーズ代表は、ハンガリーGPのような悲惨な状況が繰り返されることはないだろうと確信している。
「ブダペストでは問題があったものの、その後マシンのパフォーマンスを少し引き出すことができたと言っても過言ではないだろう」
そうメキーズ代表は語った。
「シンガポールがブダペストの再現になるとは思わない。その時よりも自信がある。優勝争いをするのに十分なパフォーマンスを発揮できるのか、それは正直言ってなんともいえない。でも、ブダペストのような展開にはならないだろう」
マルコ博士によれば、レッドブルはハンガリーGPの途中で苦戦の原因を把握していたものの、マシンがパルクフェルメ下にあったため、修正を加えることができなかったという。メキーズ代表は続ける。
「シンガポールGPはチームにとって、長年チャレンジングなサーキットだ」
「我々が見ようとしていることを踏まえると、何が突然機能しなくなり、逆に何が機能しているのかを、見極めることが非常に重要だ」
シンガポールGPで活躍できるか否かは、フェルスタッペンが今季のタイトル争いに加われるかどうかの試金石となる。そしてレッドブルにとっても、重要なベンチマークとなるだろう。
昨年はマクラーレンのランド・ノリスが勝った。フェルスタッペンは2位に入ったものの、ノリスには20秒もの差をつけられたのだ。
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