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スーパーフォーミュラとスーパーGT、いずれも2位……2度悔し涙を呑んだニック・キャシディ……シーズンを終えた心境を語る

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スーパーフォーミュラとスーパーGT、いずれも2位……2度悔し涙を呑んだニック・キャシディ……シーズンを終えた心境を語る

 モータースポーツの世界に限らず、どんなスポーツ競技にも必ず“勝者”と“敗者”が存在する。今シーズン、山本尚貴が国内最高峰レース二冠という快挙を成し遂げた一方で、2カテゴリーとも悔し涙を呑んだのがニック・キャシディだ。

 スーパーフォーミュラではランキングトップで最終戦を迎えたが、山本尚貴(TEAM MUGEN)に予選から先行されるも決勝では猛烈な追い上げを見せ、レース終盤は山本と白熱のドッグファイトを展開した。しかし0.6秒届かず2位に終わり、悲願のドライバーズタイトル獲得は叶わなかった。

■これぞホンダのエース……山本尚貴、2度目の戴冠にみた『進化した姿』

 その2週間後に行われたスーパーGT最終戦。平川亮と#1 KeePer TOM’S LC500を駆るキャシディは2年連続GT500チャンピオンの可能性を残し、ツインリンクもてぎでのレースに臨んだ。だが、こちらも#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)に一歩及ばず4位でフィニッシュ……悔しいランキング2位となった。

 特にスーパーGTのレース後は、メディアの取材に対してコメントを控えるなどナーバスな一面を見せたキャシディ。2カテゴリーともにチャンピオン獲得のチャンスが大きくあったにも関わらず、それを手にできなかった。彼を襲った悔しさは、我々には計り知れないものだったに違いない。

 シーズンが終了して2週間。TOYOTA GAZOO Racing FESTIVALに参加したキャシディは、この2018シーズンをどのように捉えているのか? その心境を訊いた。

「間違いなく、今年は良い経験になったと思う。ふたつのカテゴリーでタイトル争いができたことを誇りに思う。両方のカテゴリーで2位に終わったけども、今年はホンダ勢が全体的に速かったし、手強かった。だけど、僕自身はその中で素晴らしいファイトができた。この事は重要だと僕は考えている」

「確かに悔しさはあるけど、ふたつのカテゴリーで悔しさの感じ方が違う」

「スーパーフォーミュラは、シーズンを通して4回表彰台に乗ったし、ベストは尽くせたし、パーフェクトな仕事ができたと思っている。(もし負けた要素があるとすれば)最終戦でのボーナスポイントの差で負けたと思っている」

「正直、山本選手は鈴鹿だけは強かった。SUGOも優勝しているけど、セーフティカーのタイミングが合っての展開で、ラッキーな部分があった。でもそれ以外の全てのコースでは僕たちの方が強かった」

「(SFでタイトルを獲得できなかったことについては)不運なところがあっての最終的な結果だと思っている。ベストを尽くしてチャンピオンシップは戦い切ったけど、最後はちょっとした運の差で勝敗を分けた。だけど、最後まで戦ってくれた山本選手には心から敬意を表したい」

「ただ、スーパーGTの悔しさは違う。確かに、今年のホンダは強力なパッケージを持っていた。実際にシーズンを振り返ってもホンダ勢が上位を占めることが多かった。そこに対して、僕たちもたくさんミスをしてしまった部分があった」

「それはドライバーのミスだけではない。もちろんパーフェクトな仕事ができた良いレースもいくつかあったけど、もう少しうまくできたレースもあった。例えば第4戦タイではタイヤ交換に手間取ってしまって、大きくタイムロスをしてしまい、良いリザルトを手にできなかった」

「また最終戦ではレース戦略もベストではなかった。それがうまく機能していれば簡単にホンダを逆転できていたかもしれない」

「レースペースを見ると山本選手と比べるとバトン選手の方が(ペースが)遅い。その結果、最終的に100号車に追いつくことができて接近戦のバトルができたけど、仮に山本選手が(レースペースという意味で)全スティントを走っていたとしたら、僕たちには全くチャンスはなかった」

「もし、僕たちが早めにピットインすれば、それに合わせて100号車も早めにピットに入っただろう。そうすれば、バトン選手のスティントが長くなり、さらにチャンスが生まれたと思う」

「そう考えると、もてぎではベストな戦略を選べなかったと個人的には感じている。だから悔しいんだ。確かに今年のホンダは強かったけど、僕たちにもチャンスは確実にあった。それを活かすことができなかった。それが……ショックだった」

 そしてキャシディは、もてぎでのレース後にコメントを控えたことについて、このような理由を明かした。

「その時に一番重要だと思ったのは……結果がどうであれ、勝者を讃えるべきだし讃えたいと思った。(負けた後で感情はむき出しになって)何か悪いことを言いたくなかった。もちろん、僕たちがランキング2位で終わったということは理解していたが、あの日はチャンピオンになった山本選手とバトン選手、そしてホンダを心から祝福したかった」

 現在24歳のキャシディにとっては、彼のレースキャリアの中で一番と言っても良いくらいの悔しいシーズンになったことだろう。しかし、今季彼と2カテゴリーで王者争いをした山本も、過去にはたくさんの失敗と悔しい思いをして、それを糧にして戦ってきた。おそらくキャシディも今年の“負け”から何かを学び、彼が将来もっと大きな栄冠を掴み取る時の“糧”にしていくはずだ。

 この経験を積んだことで……きっと、来年はライバルから“もっと手強い”と思われるドライバーに成長して、サーキットに帰ってくることだろう。その姿を見るのが、今から楽しみである。

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