世界レベルの人材を輩出し続けるアルゼンチンの人気ツーリングカー選手権、スーパーTC2000(STC2000)の第4戦が5月18~20日に風光明媚な観光都市ポトレロ・デ・ロス・フネスで開催され、シボレーYPFの伏兵、ベルナルド・レイバー(シボレーYPFクルーズ)がポールポジションから予選・決勝レースを制する週末パーフェクトを達成した。
アルゼンチン中西部サンルイス州の州都で、美しい湖を周回するように設定された名物トラックでの1戦は、金曜プラクティスからあらゆる意味でシボレーYPFチームが話題の中心に。
STC2000第3戦:王者ルノー・フルーエンスGTがジョーカーラップ戦を制し連勝
その最初のドライバーはファクンド・コンタ(シボレーYPFクルーズ)で、ホームストレートを駆け抜けた彼のマシンは1コーナーに向けたブレーキング開始時点で制動トラブルが発生し、250km/hオーバーでバリアにクラッシュ。
すぐに病院へと搬送されたコンタだったが、幸い体へのダメージはなくチェックのみでトラックへと帰還。ただし、彼のクルーズは修復が困難なほどハードなダメージを負うこととなった。
そんなチームメイトの波乱に対し奮起したのがレイバーで、土曜クオリファイレースに向けた予選で見事にポールポジションを獲得。今季初のフロントロウからレースをスタートすることとなった。
その背後につけたのは、予選上位勢のペナルティにより2番手、3番手グリッドに浮上したルノースポールのマルティン・モッジア(ルノー・フルーエンスGT)と、TOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラ)。
スタート直後こそ、モッジアがレイバーに仕掛ける場面が見られたものの、その後4番手のシトロエン・トタル・アルゼンティーナ、ホセ-マニュエル・ウルセラ(シトロエンC4ラウンジ)を加えた4台は、ラップを重ねるごとに後続とのギャップを広げていく。
その予選ペナルティにより最後尾グリッドへの降格となったのは、シボレーYPFのエースで2016年のシリーズチャンピオンであるアグスティン・カナピノと、今季から久々のシリーズ復帰を果たした元WTCC世界ツーリングカー選手権ドライバーであるネストール・ジロラミ(プジョー408)のふたりだったが、7周の予選レースではそれぞれ14位、15位まで回復するのが精一杯。そのまま上位勢はポール・トゥ・フィニッシュのレイバーを先頭に、モッジア、サンテロの表彰台となった。
続く日曜正午スタートの決勝フューチャーレースは、ポールスタートのレイバー以下、モッジア、サンテロ、そしてセカンドロウ4番手のウルセラを含めグリッド順位どおりの順当なスタートに。
しかしオープニングラップを終えたところでウルセラに襲いかかったのは、プライベーターチームであるスポーツチーム・コンペティションのルノー・フルーエンスGTをドライブするマティアス・ミラで、ワークス・シトロエンをかわして4番手に浮上する。
一方、前日のQFレースで15番手までポジションを回復した元王者カナピノは、ファクトリー・シボレーの愛機に鞭打ち、2ラップ目までに9番手へと浮上。さらに前を行くチャンピオンシップリーダーで、現王者のファクンド・アルドゥソ(ルノー・フルーエンスGT)と熾烈な8番手争いを展開し、高速S字でもコンタクトを繰り返しながらのサイド・バイ・サイドを披露。
カナピノのシボレーYPFクルーズは、この際わずかにステアリング系にダメージを抱えたものの、元王者の意地を見せてオーバーテイク。さらに勢いに乗ったシボレーは7周目に前を行くトヨタ・カローラ編隊のダミアン・フィネンチ、マティアス・ロッシを捉えると、シケインのアウト側から豪快にパッシング。6番手にまでポジションアップを果たす。
その後、5番手ウルセラも捉えたカナピノだったが、プライベーター・ルノーのミラに追いつくと、このミラが決勝ファイナルラップで重要な役割を演じることとなり、ウルセラを抜いてカナピノに追いすがってきたカローラのロッシが、4番手浮上を狙うカナピノの背後でテール・トゥ・ノーズの状態に。
ミラの執拗なブロックに攻めあぐねていたカナピノは、ファイナルラップ時点で1周早く“チェッカーフラッグ”が出たと思い込み、その隙をついたロッシが最終周でオーバーテイクに成功。これでロッシが5位、カナピノが6位にダウンして“本当の”フィニッシュラインへ。
そのカナピノのチームメイトであるレイバーが予選レースに続けてのポール・トゥ・フィニッシュ。2位モッジア、3位サンテロと、表彰台メンバーも不動の週末となった。
次戦STC2000の第5戦は、高速周回路を持つアウトドローモ・シウダード・デ・ラファエラを舞台に6月1~3日に開催される。
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