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フェラーリ、ポルトフィーノ Mを世界初披露! 進化の内容を小川フミオがレポート

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フェラーリ、ポルトフィーノ Mを世界初披露! 進化の内容を小川フミオがレポート

Ferrari Portfino M

フェラーリ ポルトフィーノ M

フェラーリ、ポルトフィーノ Mを世界初披露! 進化の内容を小川フミオがレポート

ポルトフィーノの「改」モデルが登場

フェラーリが新型車「ポルトフィーノ M」を、2020年9月16日にお披露目した。「マラネロの歴史上初めての試みとして、新モデルのプレミアは完全なオンラインで行われました」とフェラーリ自身がプレスリリースでそう書くように、日本時間で夜9時30分からコンピューターのモニターに、この2+(プラス)GTが姿を現した。

車名に新たに入った「M」はイタリア語のModificataの頭文字。英語ではモディファイに相当し、フェラーリ車では「パフォーマンスを押し上げる進化を遂げたモデル」(フェラーリ)に使われてきたサブネームだ。

進化するゼロ ターボラグ

フロントに搭載されているのは3855ccのV型8気筒ターボチャージドエンジン。456kW(720CV)の最高出力と、760Nmの最大トルクを発生する。従来のポルトフィーノのユニットをベースに新しいプロファイルを持ったカムシャフトを組み込み、出力を20CV引き上げている。

ターボチャージャーにはタービンの回転速度を検知するスピードセンサーを追加。タービンの1分あたりの最高回転数が5000rpm向上したと謳われる「ゼロ ターボラグ」コンセプトを継承した。

これに「バリアブルブーストマネージメント」なる選択したギヤに合わせてトルクの伝達量を調整するフェラーリ開発の制御ソフトウェアが組み合わせられ、全回転域にわたり、もたつきなしの力強い加速をもたらすという。

ギヤボックスは7速から8速へ

ギヤボックスが8速化したのも注目点だ。従来の7速とはまったく異なる新ユニットで、オイルバス式デュアルクラッチ機構をベースにしているという。 SF90ストラダーレも先に8速変速機を採用しているものの、ポルトフィーノMでは高めのギヤレシオと、機械式リバースギヤを組み込んでいるのが相違点だ。

クラッチモデュールを20%小型化するなど、コンポーネンツの新たなレイアウトなどで、従来なら7速ギヤボックスの位置にうまく納まったという。一方でトルクデリバリーは35%拡大。よりパワフルなエンジンアウトプットに対応するそうだ。それでいて燃費は向上したという。

マネッティーノには「race」モードを新設

フェラーリ製のGTスパイダーとして初めて、5ポジションの「マネッティーノ」が採用されたのもニュースだ。「wet」「comfort」「sport」「race」「esc-off」が設定された。「クルマのハンドリングとグリップをさらに向上させるため」とフェラーリでは導入の理由を説明している。

今回新設定された「race」ポジションの目的は「ドライビングプレジャーの最大化」(フェラーリ)。横方向のダイナミック・コントロールシステムである「フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)」は、4輪すべてのブレーキキャリパーの油圧ブレーキ圧を調整する。

FDEは、ビークルダイナミクスコントロールやスタビリティコントロールと組み合わされて作動。コーナーの通過から脱出まで車両の横方向の動きを予測しやすくなる、と働きが説明されている。「race」ポジションでのみ作動するそうだ。

パワートレインを改良したもうひとつの理由

「たしかに従来よりダイナミックな運動性能を備えました」 オンラインの発表会で、チーフテクノロジーオフィサーを務めるミハエル・ライターズ氏は語った。

「従来とポルトフィーノ自体の位置づけは変えず、エレガンスとスタイルとコンフォートといった評価されている特徴は変えず、メカニズムをアップデートしたのです」

エンジンやギヤボックスを改良したのは、じつはもうひとつ理由がある、とライターズ氏。今後厳しさを増すことが予想される、欧州の環境規制への適合を視野に入れているのだそうだ。

変更のための変更はしない

スタイリングはキープコンセプト。「あえて変更のための変更は必要ないと思いました。今回は、フロントの一部と車体側面のエアベントの形状をいじったぐらいです」とは、チーフデザインオフィサーのフラビオ・マンツォーニ氏の発言だ。

なお、リヤの形状にもしっかり手を入れられている。ディフューザーは完全な新デザイン。特徴は、バンパーと分割された点だ。顧客の要望によって、カーボンファイバー製のパーツの装着も可能。「車両のスポーティな性格を強調することも可能」としている。ダイヤモンド仕上げのロードホイールもこのポルトフィーノ M専用だ。

インフォテインメント系もアップデート

インテリアにも手が入れられた。フェラーリの言葉を借りると「すべてのテクニカルコンポーネントを包み込む2つのシェルと、インストゥルメントパネルエリアとセンタートンネルとをビジュアル的に結びつけるブリッジから構成されて」いるとなる。10.25インチのタッチ式スクリーンも設置された。フル静電容量式マルチタッチスクリーンで、スプリットビュー機能を備えるため、異なるコンテンツを同時にチェックすることができる。

ダッシュボードにも、パッセンジャー専用の静電容量式ディスプレイがオプションで用意される。メインスクリーンと直接連係しており、車両の速度、エンジン回転数、ギヤポジションがそこに表示されるうえ、パッセンジャーがカーナビゲーションや音楽などインフォテインメントシステムを操作することも可能だ。

シートとバックレストには3段階調節式のベンチレーターが組み込まれている。寒い気候下でのドライビングのためのネックウォーマーも装備可能。ネックウォーマーはヒーターのレベルを3段階で調節できる。車両のスピードや外気温、リトラクタブルヘッドの位置に応じて、システムがヘッドレストからの温かい空気の速度を常に調節するという。

ローマとポルトフィーノ、それぞれの立ち位置

このクルマをベースに開発されたのが、2019年発表のクーペ「ローマ」。今回のポルトフィーノ Mにおいて、ふたつのモデルをどこまで近づける意図があったのか。

「クーペとオープントップという単純な関係ではありません」と、チーフコマーシャル&マーケティングオフィサーのエンリコ・ガレリア氏は意図を説明する。

「異なったマーケットを対象にした異なった2台のフェラーリなのです。異なる嗜好をもった顧客のニーズを満たすために、まったく別のモデルとして開発されました。実際、オープントップボディを好む顧客が、クーペに食指を動かすことはありませんから」

それに技術担当のライターズ氏が「そもそも、ポルトフィーノとローマのコンポーネンツは70%違いますし」と言葉をはさんだ。

「ローマはエレガントでミニマルなデザインが魅力のモデル。ポルトフィーノ Mはスポーティさとエレガンスを両立させつつ、乗り心地もよく、子どものいる35歳から45歳の家族にも乗ってもらいたいと思っています」

2020年のニューモデルはもう1台

欧州での発売は2021年の第2四半期が予定されている。価格はイタリアで20万ユーロ(約2470万円)を超えるぐらい、とのことだ。

フェラーリでは2023年までに15の新車を発表するとしており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による計画の変更もない、とマーケティングのガレリア氏は明言。20年内にもう1台、ニューモデルを発表する予定だという。

REPORT/小川フミオ(Fumio OGAWA)

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ ポルトフィーノ M

ボディサイズ:全長4594 全幅1938 全高1318mm

ホイールベース:2670mm

トレッド:前1633 後1635mm

乾燥重量:1545kg

エンジン:90度V型8気筒DOHCツインターボ

総排気量:3855cc

ボア×ストローク:86.5×82mm

圧縮比:9.45

最高出力:456kW(620cv)/5750~7500rpm

最大トルク:760Nm/3000~5750rpm

最高許容範囲回転数:7500rpm

トランスミッション:8速DCT

タイヤサイズ(リム幅):前 245/35ZR20(8J) 後285/35ZR20(10J)

トランク容量:292リットル

燃料タンク容量:80リットル

最高速度:320km/h

0-100km/h加速:3.45秒

0-200km/h加速:9.8秒

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