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2024年に日本登場!? モビリティーショーでも注目だったBYD版アルファード 新型「デンツァD9」の真の実力とは

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2024年に日本登場!? モビリティーショーでも注目だったBYD版アルファード 新型「デンツァD9」の真の実力とは

ジャパンモビリティショー2023で日本初公開された電動ミニバン

 大盛況のうちに終えることができた「ジャパンモビリティショー(JMS)2023」。

【画像】えっ、アルファードじゃないの!? 全長5.2mの大型ミニバン「デンツァD9」を写真で見る(18枚)

 その中で一際目立っていたのが中国のBYDのブースでした。すでに「ATTO3」「ドルフィン」が日本国内で発売され、来年早々には高級セダン「シール」が続くことも発表されています。

 そんな中で気になる存在だったのが大型ミニバン「騰勢(英名:デンツァ) D9」です。

 BYDのブースで、デンツァD9は、向かって右側の奥にひっそりと展示してあったため、もしかすると気付かない人もいたかもしれません。

 しかし、会場に行くと目ざとい来場者がその姿を発見し、多くの人がシートに座ってその感触を試していました。

 じつはJMS2023の前に筆者は中国・深圳市にあるBYD本社を訪れ、このD9のBEVに公道で同乗試乗する機会を得ていました。そこで今回はこれと合わせ、同時に試乗を体験したBYDの末っ子BEV「海鴎(英名:シーガル)」についてもレポートしたいと思います。

※ ※ ※

 デンツァはBYD社製ながら車体に「BYD」ブランドは使っていません。

 その理由は、このブランドがメルセデス・ベンツとBYDの合弁会社が中国国内で展開するサブブランドとなっているからです。そのため、この「デンツァD9」の車体を見回しても「BYD」のロゴはどこにも見当たりません。

 デンツァD9が発表されたのは2022年5月。その外観があまりにもトヨタ「アルファード」に似ていることで日本でも大きな話題を呼びました。

 JMS2023で展示されたのはバッテリーEV(BRV)でしたが、中国ではプラグインハイブリッド車(PHEV)もラインナップされています。両車はフロントグリルに違いがあり、BEVはトヨタの“エスクァイア似”であるのに対して、PHEVの方は“アルファード似”といった印象です。

 中国国内ではこのデンツァD9を見かける機会が数多くありました。聞けば、2022年8月の発売以降、販売台数は10万台を超える大ヒットを遂げているそうで、道を行くクルマを見てもそれを実感できました。

 中国での価格はPHEVで650万円前後、BEVで750万円前後で販売されているそうで、現地でアルファードが確実に1000万円を超えている状況を踏まえれば、割安感があることがヒットの要因なのかもしれません。

 ただ、中国滞在中はあくまで“中国で売れているミニバン”という程度の認識しかありませんでした。今回、中国を訪れた最大の目的は「シール」の試乗でしたが、個人的には次に日本へ導入されるクルマは何になるのかについても、ぜひ聞いておきたいと思っていました。

 というのも、後述するBYDの末っ子「シーガル」が価格帯からして日本で展開されるのが順当だろうと勝手に推測していたからです。

この確認を取るために、BYDジャパンの代表取締役社長 劉 学亮氏にこの質問をぶつけてみました。するとそこで返ってきた答えは意外なものでした。「それはJMS2023で明らかになる」としつつも、「シーガルを日本で販売する計画は今のところない」と断言されてしまったのです。

そして、JMS2023で披露されたのは「仰望(ヤンワン) U8」とデンツァD9の2台でした。ただ、ヤンワンU8は中国でも2000万円を超える超高級SUVであり、それを踏まえると日本での展開は厳しそうな気がします。

 となれば残るはデンツァD9で、ミニバンなら日本市場での人気も高く、価格次第では十分行けそうな気がします。つまり、BYDが次に日本市場へ投入するのはこのデンツァD9。筆者はそう推測するわけです。

 このデンツァD9のスペックは、資料によればボディサイズは全長5250mm×全幅1960mm×全高1920mmと、日本のミニバンと比べるとかなり大きめではあります。

 しかし、その分だけ車内スペースに余裕が生まれるわけで、ミニバンとしての実用性はかなり高いと言えます。ちなみにバッテリー容量は103.36kWhで、CLTC方式での航続距離は前輪駆動で620km、4輪駆動で600kmとなっており、BEVながら十分に足の長いスペックと言えるでしょう。

新型デンツァD9の乗り心地を公道で試した

 では、試乗してどうだったのか。運転免許の関係上、我々は中国で公道を走ることはできないため、セカンドシートに座ってその感触を体験することになりました。

 フロントはトヨタ・エスクァイアそっくりながら、車内はソフトな内装材に覆われた高級車のイメージです。

 シートはパワー機構が付いたセパレート型で、シートの手元には空調やオーディオなどを操作するスマホ大のコントローラーが設置され、反対側にはスマホのワイヤレス充電器を装備。また、前方中央には飲み物が入るサイズの冷蔵庫も配置され、オーディオはBYD車共通の「DYAUDIO」がインストールされていました。

 走り出すと、まず乗り心地の良さに驚かされました。

 路面からの振動もしっかりと抑えられ、ドライバーの運転が上手かったのかもしれませんが、走行中の揺れも少ないまま目的地へと移動できたのです。もちろん、電動車故に静粛性が高く、何よりも雨の中を走行してもロードノイズがしっかりと抑えられていたのが印象的でした。

 一方で、BYD本社ではあくまで敷地内でしたが、ハンドルを握って体験走行することができました。

 速度は30km/h程度までしか出せませんでしたが、車重が2.5tはあるボディをスムーズに走らせます。ハンドリングも適度な重さがあって、正直にいえば日本で試乗したATTO3やドルフィンとは比べものにならないしっかり感を体験できたのです。

 これが日本市場へ導入されるとなれば、スペック的にはかなり脅威になりそうな気がしました。

 ただ、気になるのは日本での価格です。

 中国での販売価格をベースに推測すると、900万円前後にはなるのではないでしょうか。日本ではアルファードの最上位グレードと真っ向からぶつかる価格帯です。

 アルファードとの違いは、デンツァD9はBEVであることで、そこに価値を見出すとなれば優位性はあるでしょう。ただ、日本での「アルファード」への信頼性は高く、その壁を打ち崩すのはそう簡単ではない気がします。

※ ※ ※

 最後に、BYDの末っ子BEV「シーガル」についてBYD本社の敷地内での試乗体験をお伝えしたいと思います。

 シーガルは2023年4月に開催された上海モーターショーで発表され、それから約半年で15万台近くの受注を獲得した人気BEVです。

 中国ではバッテリー容量別に30.08 kWhと38.88 kWhの2グレードがラインナップされ、航続距離はそれぞれ305 kmと405 kmとなっています。組み合わせるモーターの出力は73hp(55kW)で前輪を駆動します。

 ボディサイズは、ヤリスやノートとほぼ同じぐらいのコンパクトハッチとなります。しかし、車内は想像以上にゆとりがあり、前席を身長168cmの私に合わせた状態での後席は大人二人がゆったりと座ることができました。

 ただ、後席は分割式ではありません。それでも内装材はドルフィンと比べてもそれほど見劣りするものではなく、センターに操作スイッチが並ぶスタイルはドルフィンにも似ています。上位グレードにはワイヤレス充電やメモリー機能がないパワーシートも装備されていました。

 走りについては大人3人が乗車しましたが、立ち上がりはかなりスムーズな印象です。ただ、路面からの突き上げ感は強めで、一般道での乗り心地は少々物足りなく感じるかもしれません。

 とはいえ、この仕様で最上位グレードでも180万円強で販売されているのは驚きです。仮に日本へ導入されて多少の上乗せがあったとしても250万円前後で販売する可能性は十分に考えられます。となれば軽EVと比べても相当な競争力を発揮することは間違いないでしょう。

 デンツァD9とシーガルを振り返ると、個人的にはシーガルを優先して販売すべきではなかったかと考えます。その理由は、日本で中国車を買うとなれば、やはりその対象を身近な存在として捉えがちになるからです。とくに日本ではBEVをセカンドカーとして活用したいというユーザーも多く、その意味でもシーガルの立ち位置は明確になれると思うからです。はたして2024年、BYDは日本でどう認知されていくのでしょうか。

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みんなのコメント

18件
  • もうBYDの提灯記事はお腹いっぱいです。
    昔のフジの韓流ゴリ押しみたいで、げんなり。
  • それにしても、何回この車の記事が出てくるのですか、この車を本気で日本で売りたかったら、周辺国を脅すのをまず止めるべきだと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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