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コンパクトSUVの大穴! 新型プジョー2008試乗記

掲載 更新 5
コンパクトSUVの大穴! 新型プジョー2008試乗記

プジョーのコンパクトSUV「2008」に小川フミオが試乗した。フランス車ならではの魅力とは?

力強いエクステリア

趣味性の高さ、一歩リード!──新型ジャガー・Fペイス試乗記。

全長4.3mと日本でも扱いやすいサイズの、ちょっとユニークなスタイリングのSUV。それがプジョー「2008」だ。1199cc直列3気筒ガソリンターボ・エンジン搭載の「GT」は、走りのよさと燃費を両立した都会にも似合うモデルである。

欧州製のSUVのよさは、パッケージングだ。外寸はなるべくコンパクトにまとめるいっぽう、室内空間や荷室はできるだけ広くする。2008もそのよい例。ホイールベースは2610mmとけっこう長く、後席空間もおとなふたりに充分。長距離旅行にも対応できそうなぐらい、荷室も使い勝手がよい。

くわえて、2008の大きな魅力では? と、私が個人的に思っているのは、スタイリングである。たとえばフロントまわりは、ひとことでいうと、力強い印象だ。しかも個性的である。デイタイムラニングライトは、プジョーがシンボルにしているライオンの“カギ爪”をイメージしたというからおもしろい。上級車種の「3008」や「5008」より、アグレッシブさがうまく表現されているように感じられる。

かたちはちょっとゴツい、いわゆる“ヨンク的”であるものの、実際は前輪駆動だ。でも、ロードクリアランスさえあれば、たいていの悪路はなんとかなる、というのが、1970年代のルノー「5ロデオ」やシムカ(のちにマトラ)「ランショ」あたりからの、フランス車の”伝統”的な考え方。2008も同様だ。最低地上高は約20cmもある。

ソフトな乗り心地

230Nmの最大トルクを1750rpmで発生するエンジンゆえ、パワー感はしっかりあり、砂利道でのドライブでも(思いきりとばすことはしなかったものの)不安感はまったくない。四輪はしっかり路面をつかみ、勾配がキツめのところでも前輪はぐいぐいと車両を引っ張る。

オンロードでは、排気量から想像する以上に活発な走りを体験できる。8段オートマチック変速機は6速で直結、7速と8速はオーバードライブになって燃費をかせぐ設定だ。5速より下のギアは、操縦した感覚からいうと、近接していて、シフトアップ時にトルクの落ち込みを感じる領域がなかった。

GTラインであるものの、足まわりは、上級車種である3008と同様、けっこうソフトな設定だ。つまり、乗り心地は総じてよい。小さなカーブが連続する道を、右へ左へとステアリングホイールを切りながら走り抜けるようなドライブはあまり得意でないものの、高速での巡航はたいへん快適。全長4305mmの比較的コンパクトなボディのSUVとしては、期待いじょうに気持ちよい乗り心地が味わえる。

2008シリーズには、もうひとつ、ピュアEVの「e-2008」があり、ナチュラルな操縦感覚で好感がもてる。ドライブモードをスポーツにすればかなりダッシュ力があり、高速ツアラーとしても使い勝手がなかなかよい。それに対して、今回のガソリンエンジン仕様のよさは、力のあるエンジンをまわして走るときの加速感である。

遮音性が高く、メーカーとしては、エンジン音を積極的に聞かせようとは思っていないようだ。それでも、エンジン回転を上げると、乾いたと表現したくなる排気音が聞こえてきて、同時に軽いバイブレーションがドライバーに伝わる。それが気持ちがよい。

価値ある341万円

プジョーでは、おなじシリーズのなかにも、内燃機関と、今回のように電気自動車をラインナップすることを、「パワーオブチョイス」と呼ぶ。走りを楽しみたいひとと、燃費を重視するひと、どちらも楽しめるよう、パワートレインのバリエーションを用意するのだ。

今回の1199cc直列3気筒ガソリンエンジンの2008と、電気モーターで前輪を駆動しつつナチュラルなドライブ感覚を提供するe-2008を体験すると、なるほど、パワーオブチョイスの考えがよくわかる気がする。どちらを選んでも「選択を誤ったかもしれない」と、後悔することはなさそうだ。

2008の問題点としては、ステアリング・ホイールが邪魔をして、計器が見えづらかった。このあたりのデザイン優先思想は、独特である。個性のために多少の機能は犠牲にする、というのは、フランス車で時々見られる割りきりだ。

メーターの判読性とシート髙はかなり密接な関係にある。広い範囲で座面髙が調節できるシートを、クロスカントリーSUV的に上まで上げて、着座位置を高くしてしまうと、計器がまったく読めない目線になったのだ。計器を読むためには、なるべくシート高を下げて座るのがよい。

2008 GTラインの価格は341万円。雪、砂、ぬかるみといった路面状況に合わせて選べる走行モードシステムの「アドバンストグリップコントロール」や悪路の下り坂で働くヒルデセントコントロール、そして、アダプティブ・クルーズ・コントロールや衝突被害軽減ブレーキなどを備えた価格だからなかなかお買い得かもしれない。

今や日本製コンパクトSUVも機能や装備が充実しているから結構高価だ。たとえば新型ヴェゼルの中間グレードの「e-HEV Z」は289万8500円(FWD)である。2008とは約50万円の価格差があるものの、個性という点ではプジョーが抜きん出ていると思う。しかも安全&快適装備はヴェゼルに引けを取らない。ガソリンとハイブリッドと、パワーユニットは大きく異なるけれども、もし少しでも2008が気になるのであれば、奮発しても後悔はしないと思う。

文・小川フミオ 写真・望月浩彦

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みんなのコメント

5件
  • 大穴でも何でもなく、とにかくこの車の完成度はスゴい。
    日本車と違ってオプションがいらないから手厚い保証つけてもコミコミ400以下におさまる。
    この内外装のデザインだけでも買いだと思う。
  • 大穴ではなく、本命だと思う。
    故障率も特別悪くなく、初めての輸入車としては良い。同じ車種があまり走っていないというのも良い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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